「拝啓 山沢寿々さま
感謝しています。
連れ合いに出会えたこと
息子を授かれたこと
君との別れがなければ
気がつけなかった人生の「冒険」の意味
僕はもう 長くはないよ
でも、君のお陰で理解できた。
この僕の人生も悪くはなかったと
今胸を張って君に言い切れる。
長い間 考えて
いつも言いたくて
でも 言えなかった。
最後になるかも知れない手紙だから
君に言いたかった。
ありがとう。
病床にて 書く事ままならず
乱筆 短文にて。。。
渉 」
短いセンテンスの途切れ途切れな手紙を読んだ。
字は少し震えているし筆圧も薄い
どれだけ苦しい中で書いたものか
そう思うと 目頭が熱くなった。
『ありがとう』と言いたいのは 私のほうなのに。。。
言えなかった。
当時 私は幼くて あなたの考えていることの半分もわかっていなかった。
懐かしさと今更な気持ちと 様々に相まって 熱くなった目頭は涙に変わった。