「あなたは末梢神経障害。ダメになった神経はもう元には戻りません」

5月に病院でそう言われた時、私は真っ先に考えた。

そうだ、元気に歩けるうちに

行きたかったところに行っておこう、と。


1日置いてから、大切な旅行友だちのCに電話。

ねえ、今年の旅行は北海道の利尻島と礼文島にしない?


去年はCと長崎に行った。

その前は上高地や高山、長野、山梨と

互いに60を過ぎてから頻繁に旅行している。


2歳下のCとは、最初の就職先で出会った。恋、結婚、出産に子育て、仕事…

かなりのエピソードを共有し

笑いも、たくさんたくさん共にしてきた。


この先もしかしたら歩けなくなるかもしれない。

そんな不安をいだいた時

だから私は真っ先に彼女に連絡したのだ。


利尻島と礼文島に行きたいの

ずっと前から行ってみたかったの と。


旅行会社のパンフレットに書かれたキャッチコピーが笑える。

「あまり歩かずに楽しむ 利尻島・礼文島ゆったり旅 4日間」

〜65歳以上限定!〜


何これ!? 私のための企画か?

いいじゃん、これに決まりだ!


即行でCの「いいね」をもらうと

すぐさま旅行会社のサイトからこのツアーに申し込む。

歩けるうちに行きたいとこに行ってやる〜!


それから4ヶ月。

ついに行ってきました、利尻と礼文。

住んでいる地域は台風の影響で大雨警報が出ていたが

向こうは搭乗員さんも驚くほどの好天続き。

気温は26℃と心地よく

しかし日除けの帽子と日焼け止めクリームが欠かせないほど

陽射しは強く

「雲をかぶって見えないことが多い」と

言われていた利尻富士は

滞在していた3日間

実は見飽きるほど拝むことができたのだった。


流石に65歳以上限定のツアーだけあって

島内はほとんどバスで巡り

何ヶ所かあるハイキングコースは

時間たっぷりで無理がない。

普段から歩行がふらつき長時間歩くと下肢が痛む私には

うってつけのプランである。

それに、実を言うと

景観のいいハイキングコースなら不思議とスタスタ歩けるのよね(笑)


ツアーの企画ももちろん良かったが

この足で旅行するには

Cの存在が欠かせないと痛感する。


ホテルの露天風呂でのこと。

私の足の状態を知っているCは


足元がゴツゴツザラザラの溶岩であるにも関わらず

手すり一本ない露天風呂に先に入ると

「はいよ」と私に手を差し伸べてくれた。

足元が危険だなあ、入れるかなあと不安に思っていた私にとって

彼女の手はまさに、神様が垂らしてくれた一本の糸。

ああ、これに捕まれば転ばずにお風呂に浸かれるんだわ。

足腰の元気な人には分からないかもしれないが

足にちょっとした障害を抱えている私にとって

こういう気遣いは本当にありがたい。


Cよ、ありがとう。

「サンキュ」と自然に手をつかまらせてもらったが

その何気ない気遣いが、私は心から嬉しかった。


旅の思い出はまだまだ語り尽くせないので

本日はここまで。

残りはまた後日、書かせていただきます。