職場で大嫌いな男がいる。

「これまで行政の仕事をしていた」という

65歳のおっさん(年下だけど、おっさん)。

ロン毛を後ろでまとめているが、頭頂部はツルッツル。

だから私はヤツを「ロンハゲ」と、陰で呼んでいる。


とにかくひねくれ者。

人が助けを求めても、「俺には関係ない」と切り捨てるなどチームワーク力皆無。

若い女性職員に対して名字にチャン付けして近寄っていくから、とんだエロじじいかと思いきや、近寄るときクネクネと腰をくねらせ胸の高さで両手を振る仕草を見ると、年老いたオネエ?とも思われる。


オネエはいいけど、チームワーク力皆無のひねくれ者はご免だ。

というわけで、私たちは私的な会話を交わすことも必要以上に近寄ることもなく、半年間同じ職場で過ごしてきた。


ところが、ところがである。

ヤツと私の距離を縮める事件が起きた。

アメリカの野球チーム・ドジャースの優勝だ。


互いにドジャースのファンであることは知っていたが、だからといってそれをネタに会話したことは一度もない。

しかし今回の優勝はヤツと私を狂わせた。

互いにピ〜ヒャラ、ピ〜ヒャラと頭の中がお祭り騒ぎ。

ついつい私の方から、イェ〜イ!優勝したねーーー!と声をかけてしまうと、それに呼応して彼もイェ〜イ!とハイタッチを求めてきたのだ。


お、おい、おかしいだろ、私たち!!!


それから先は仲良し街道まっしぐら。

シフトが一緒になるたびにドジャースの話で盛り上がり、昨日なんぞ施設の利用者さんの食事介助をしながら、若き日に夢中になった音楽や映画、ラジオの深夜放送、原宿にあった人気の店と、同世代ならではの話題で大盛り上がりしてしまった。


そして早番の私が遅番のヤツに挨拶して帰ろうとしたら「おっつー(お疲れ様)! バイビー!」(かなり昭和な表現)と、ヤツが満面の笑顔で。

それに対して何のためらいもなく手を振った自分に、私自身驚いたのだった。


ありがとう、ドジャース。

あなた方のお陰で変な友だち1人増えました。