いつから笑えなくなったのかと問えば、彼は此方を向いて微笑むだけだ。
ぎこちなく、苦笑う。
いつから歩かなくなったのか問えば、彼は逃げるようにそっぽに歩き出してしまう。
目的はそこには無い。
いつからだろうかと考えたある日、
突然それを知らない自分に気がついた僕は
怒鳴り散らすような声でこう言うの
「僕は僕を知らない」
長い冬という冬はすごく短い冬なのに
あっという間に過ぎ去ってゆく季節に毎年奪われてゆく僕を僕は追いかけられずに
静かに春を迎えて歳を重ねる。
あの瞬間の彼は今何をしているんだろう。
あの瞬間の星は、また僕を見つけては笑っているのだろうか。
あの瞬間の風はどこまで吹いただろうか。
あの瞬間の光はどこまで届いただろうか。
あの瞬間の熱はどこにおいてきただろうか。
あの瞬間の僕は生きているだろうか。
まだ僕は生きているだろうか。
これがもし嘘だったら、気付くのはきっとまだ先の話。
寒い空の下、吐き出した紫煙を
冷たい吐息と勘違いして僕は1歩
ただ行方も知らずに一人で歩いてゆく
離れてゆく背中を眺めながら。
逸れて行く足跡を目で追いながら。
2010/01/24 (Sun) 1:00