歌、やっぱり好きだったんだ
だから
少しだって認めてもらえる歌が歌いたかった
拙いけれど
そんな歌を好きだって言ってくれた少しづつの言葉を糧にして
どこまでも飛躍できればいいと思った
「別にへたなお前の歌なんて聞きたくないよ」
聞いたことがない親父が放った言葉はこれだった
ばあちゃんもいた
いろんな人がいた
だけど誰もなにも言ってくれなかった
笑ってた
そのあと練習だった
絶望した
実感したから
誰もなんとも言ってくれなかった
ただつらつら歌うだけ
知らない歌詞
知らない感情
ボリュームは最大でも感情はミュート
歌、やっぱり好きだったんだ
泣きたくなるほどせつなかった日曜日
声嗄らして仕事した
今思えば
うまいなんか言われたことない
上辺ならたくさんもらった
だけど"良い"だけであって
伝えたい気持ちは揺さぶれなかったから
未熟だってわかってる当たり前だけど
笑いながら"へた"と言われる歌しか歌えない自分が情けなかった
声を大にして否定出来ない自分が情けなかった
免許取ったら乗せてねって言いたかった
だけど彼はもう冷たかった
迎えきてって言ったらタクシーつかえと言われた
家族誰ひとり電話は誰も出てくれなかった
流し込む錠剤さえ俺を見捨てるのに
唯一は自分なのに
自分が一番自分に必要無かった
歌は好きなだけだった