昨日は会ったこともない人のお通夜

悲しいなんて正直全然思わなかったのだけれど
 
私にもしまた身内の死が起きたら
やはり悲しいだろうなという思いが
ふと頭をよぎった
 
 
母は父と違ってとても社交的な人
明るくて元気な人
今でもスーパー元気な人
 
父が亡くなったとき
半狂乱になった母を見て
不思議だった
「そんなに愛してたの?」
 
「亡くなってからおとうさん、おとうさんと話しかけてないで、生きてる間にもっと優しくしてあげればよかったのに」
と冷めた目で見た
 
でもしばらく経つと
あの家で二人で暮らした
二人だけの時間があって
父と母だけのいろんな時間を過ごしていて
案外楽しい幸せな時間があったんだろうな
と思えてきた
 
 
父が亡くなったあと
長いこと長いこと泣いてばかり
げっそりと痩せこけて
周囲も心配した
 
「泣いてばかりいないで早く元気にならなきゃ」
 
みんなが励ましても
父の位牌に向かって
「おとうさん、おとうさん」
と話し続ける
 
 
こちらに引っ越してきてからも
ボロ空き家になった実家とお墓を掃除する
と言って月に一回戻っていく
私はそんな母をつれて一緒に戻る
 
祥月命日だけでなく
月命日にもお寺さんに来てもらって供養
父の好物だったおはぎを山盛り作る
毎日朝昼番供養
長い長いお経を唱え
どんどん信心深くなっていく
 
いつでもどこでも
「おとうさん」
に話しかける
 
そんな母を見て滑稽だと思うこともある
昨日の帰省だって私にとっては
ルーティーンだったのに…
 
 
 
なぜか夜父を思って涙が出てしょうがなかった
 
そして今朝は母のことを思う
 
 
若かった頃のトゲトゲもかなり取れて
性格も丸くなってきた母
「ありがとう」って感謝して生きている母
 
激しい性格も
私が寄りつけなかったあの不機嫌な顔も
「お母さん、大好き」って言えなかったあの時も
「なんで怒るの?」怖かったときも
みんな昔のことなのに
愛されてたって今では知っているのに
愛されてるってわかってるのに
 
 
 
大好きだけど
大好きだって言えてこなかったし
今も言えないまま
 
恥ずかしくて
涙が出そうで
言えない
 
父にも言えてなかった一言
 
 
 
 
 
マスターの間に言えるかな
 
 
誰もいない実家の庭に咲いてた