ハチジョウノコギリクワガタの雌雄型 | 虫けら屋の「ちょっと虫採り行ってくる!」

昆虫ーっす!

虫けら屋です。

 

さて唐突ですが、

ちょっと下の画像を見てください。

 

これは、ハチジョウノコギリクワガタという、

伊豆諸島の八丈島にしかいないノコギリクワガタの仲間なのですが、

 

真ん中の小さな個体にご注目!

 

 

…これ、

オスでしょうか?

メスでしょうか?

 

 

…真ん中の個体だけ拡大してみましょう。

体全体の雰囲気からするとメスのようであり、

しかし細くて長い脚はオスのもの。

そして小さいながらも大アゴもメスとは違います。

 

 

なんとも、オスともメスともつかない形をしています。

 

 

…実はこれ、いわゆる「雌雄型(しゆうがた)」と言われる、

オス・メスの特徴が混じったとても珍しい個体なのです。

 

最初の画像で、左のオス&右のメスと比べてみると、

頭部や前胸、胴体の形はメス、

大アゴや脚の形はオスの特徴が出ています。

 

雌雄型というと

「左右で半分オス・半分メス」というパターンが有名で、

もう少し詳しい方なら

「雌雄の特徴がモザイク状に特徴が混じり合ったあまり美しくない個体」

も知っているかもしれません。
 

しかし、中にはこんなふうにきれいに特徴が混じり合ってしまう個体も

出てくるのです。
 

あまりにきれいに混ざり過ぎて

あまり「異常感」がなくなってしまっていますが、

これも立派な雌雄型です。



…この個体を採集したのは、2010年5月22日の八丈島。


畑脇の捨てられた鉢植えをどかしたところ、

その下にとても小さなハチジョウノコギリがいたのですが、
頭がやたらと小さくてバランスの悪いオス…

 

………オス…?
 

 

……ん?
 

 

えっ? えっ? えっ?
 

 

これはまさかもしや…!?

 

 

…とまぁ、そんな感じで採集したのが本個体だったのでありました。





※こういう雌雄の特徴が混じったものに、

「雌雄同体」という言葉が使われているのをよく目にしますが、

雌雄同体というのは本来は、カタツムリ等のように、

もともと正常な状態で雌雄両方の機能を持っているものを指す言葉で、

今回のように本来はオスメスが別なのに、混じってしまった異常型を指す場合は、

「雌雄型」「雌雄篏合体(しゆうかんごうたい)」という呼び方が正しいものになります。