第4試合の凍雅選手について書いたので上原わかな選手について今回は書いていく。


夢プロレスは全部みていた。タレ目で童顔の愛らしい顔立ちではあるが、何となく腹黒そうという印象だった。学生時代、同じサークルの後輩でそうした顔立ちの腹黒い子がいて面倒ごとに巻き込まれたから。別人なのは分かっているし、試合やコメントなどではそうした素振りはないけれど上原わかな選手のその印象は変わらなかった。まぁ、平たく言えば何となく信用できないタイプ。

ところがねくじぇねで何人かの選手が彼女を『野心家』と言っていたのを聞いてイメージは変わった。腹黒いも野心家もほめ言葉としてはまず使われないが、プロレスだったり芸能の仕事をするうえでは悪い事ではない。彼女はとにかく上を目指すという気持ちが非常に強く、それが言動の端々に出ているんだろうなと。さすがに嫌いな相手へのdisとして『野心家』なんて大っぴらには言わないだろうし、良くも悪くも彼女の人柄を端的に現す意味で使ったんだろう。



さてさて夢プロレスでは彼女の成績は優等生だった。ところが最終結果では単独1位ではなかった。そしてプロレスを続けた。今年の1.4は僕も現地観戦だったのでデビュー戦もみたが、『鮮烈なデビュー!』という感じはなかったと思う。あんまりハッキリ記憶に残っていないから。


今回の試合は結果的に上原わかな選手がアジャ選手に負けた。3カウント入った瞬間、「あぁ、今日が本当のプロレスラー・上原わかなが誕生した日なんじゃないかな」と感じた。ボロクソに言っていたアジャ選手がちゃんとプロレスラーとして認めたという意味でも。

それは試合後にアジャ選手が上原わかな選手の頬を張ったシーンもそうだし、試合後コメントで「上原わかな“選手”」と呼んでいたことからも感じた。アジャ選手なりに成長とまでは行かないかもしれないが上原わかな選手の変化を感じ、同じレスラーとして一定の敬意

を払ったんじゃないかな?


試合後に頬を張られた上原わかな選手は泣き笑いのような表情だった。

勿論、負けた悔しさもあるだろうが、アジャ選手に何かしら認められたうれしさだったり、あるいはそうした経緯のあるアジャ選手との試合という緊張から解放された安堵感だったり、そうした様々なものが混ざり合っての泣き笑いだったように見えた。何となくだけど…これまでの彼女はどこか1枚薄いベールを通した表情しか見せなかったように見えたが、アジャ選手との試合後の泣き笑いの彼女は夢プロレスの時から通して初めて“素”の表情を見せたように思う。もしかしたら再びベールを通した表情になるかもしれないし、いきなりスゴい試合ができるようになるわけじゃないけれど、今回のがキッカケで人間味あふれる魅力的な選手に変化していくかもしれないという期待を持たせてくれる泣き笑いだった。