もしも、ロミオとジュリエットが行き違うことなく、上手に連絡をとりあい手を携えて逃げおおせることができたならどんな生活が待っていたでしょうか。出会いがあり、恋が生まれたそのあとには繰り返される「日々」が巡ってきます。秘密の玉手箱の中に育まれた濃密な心の物語が、見知らぬ人々の住む世界の、冷たい外気に触れたとき恋人たちは燃え立つ感情の内側に新しい、揺るがぬ理想を必要とするはずです。恋は二人だけのものではなくなり、閉じた恋の世界は外側に開かれ、二人のまわりに、新しい「世界」が出来上がったはずです。2015年の牡羊座の世界では、おそらく「ロミオとジュリエットが逃げおおせたあとの生活」を形作るような作業が生じます。もちろん、牡羊座の人々すべてが2014年に熱い恋のドラマを体験したわけではないでしょう。でも、多かれ少なかれ、なにかしら世間の制約や常識の枠、人々の予測からはみ出るような、愛や情熱、衝動や冒険を生きることになったのではないかと思うのです。感情の発露、情熱の爆発、直観にもとづく突進。スリリングな経験と変容の後に、そうした個人的な種子を、どう外側の世界に育て上げていくかということが、2015年のテーマの1つです。恋の感情は、ロミオとジュリエットの2人には自明のことであり、ほとんど、自分以外の力が自分を突き動かしたと感じられるほど、絶対的な意味を持っています。ですが、他人からして見ればあくまで「二人が勝手にやった、理解しがたい行為」であり、なぜそんなことをしたのか、と詰問されこそすれ、決して、簡単には受け入れてもらえません。ロミオとジュリエットほどの厳しい境遇でなくとも、たとえば、恋をして結婚を約束したにもかかわらずお互いの親や親族に強く反対される、というようなことは、ごく一般的に起こります。恋愛以外でも、仲間同士で「これをやろう!」と盛り上がったのに関係各所に申し出たところ、それを拒否されるといったことはいくらでもあります。では、周囲に理解されなかったり、反対されたりしたら、その愛や情熱は間違っているのでしょうか。決してそうではないと思います。ロミオとジュリエットの物語が人々の心を捉え続け、生き続けているのはその幼い恋に私たちが普遍的な真実を見るからだろうと思います。反対を押し切って、または、粘り強く説得を試みて、やっと成し遂げられたことが結果的に多くの人を幸福にするという展開もまた、全然珍しいことではありません。2015年の牡羊座の人々が、「やりたいことがあるのに、人から反対される」ということが言いたいわけではないのです。2015年、牡羊座の人々は、自分のやりたいことや愛を、情熱的に膨らませ、育てていきます。そうすると、自然と、それを「外の世界」に打ち出していかねばならなくなるのです。たとえば、恋愛はごく個人的なことですがこれが結婚に向かうとなると、単に「個人同士の問題」ではない部分が出てきます。どんなに個人対個人だけのことに納めようと思ってもどこかでは、「第三者」が出てきます。考えようによっては、二人の間に産まれる子供や、どちらかが死んだときに相続に関与してくる人なども愛の関係の外側からコミットしてくる「第三者」と言えるでしょう。また、趣味で始めたことを「発表会」や「展覧会」に出す、というようなことも、その一つです。自分の中では十分に完成して、納得のゆく作品なのにそれを人に見せることになったとたんに不十分な、未熟なものに見えてきたりします。情熱のこもった作品を、コンクールなどに出したとき、「批評」という冷たい外気に晒された作品は、その熱を失ったように見えることもあります。それでも、2015年の貴方は自分の情熱や愛を、外の世界に触れさせようとするはずです。自分の内側だけに収めておいてもよさそうなことを、敢えて「未知なる外の世界に出す」のは、思えば、不思議な感じもします。私たちはそこで、何を得るのでしょうか。恋人も、最初は「外界」であり、「他者」です。好きなことも、関わる人々も、遡って見ればどこかで、「外部」だったはずです。私たちは「外部」に身を乗り出してそれと結び付きを得ることを人生を生きる上で是非とも、必要としている生き物なのだと思います。「実現する」という言葉は、何かを心で思っているだけの状態には、用いません。かならず、なにごとかが「外の世界」に現れ出たとき、「実現した」と言います。誰かに好きだといわれたり、褒められたりしたとき、私たちは外界と自分が思いがけず結びついたような独特の感触を得ます。その感触は、言わば、私たち自身の命が「実現した」という感触なのではないかと思うのです。「内輪ウケ」に終わらせたのではつまらない、という思いは人間の不思議な、でも、ごくプリミティブな感覚なのだろうと思います。 *********************「子どもの頃、ピアノをやっていたから」「昔あの人は、ボクシングをやっていたんだよ」などという言い方があります。「○○をやっていた」というのは、「特技」であり、もっと言えば、その人の個性や特徴の1つと言えるでしょう。音楽やスポーツのある一分野を、一時期、集中的に習得したり、ずっと続けていたりすると、それをしていない人に比べて、何か特殊なものを持っているような状態になります。「数年間ドイツに住んでいたので、ドイツ語が話せます」というようなこともそうです。「以前○○をしていた」という言い方は、もともとは外部にあったはずのものがその人の中に流れ込み、身体化され、融合し、一体となっているというイメージを含んでいます。実際、自転車に乗ったり、料理の仕方を覚えたりするように、病気やケガで身体機能を失うので無いかぎりは、身体化された技能は失われません。いわば「そういう人になる」ということになります。外にあったはずのものが、内側に流れ込んできて、自分と一体化し、自分の特徴の一部となってしまう。子どもの頃はそんなプロセスのオンパレードですが、大人になってもおそらく、ときどき、急ピッチでそのプロセスが展開することがあり得るのではないかと思います。もしそうだとするなら、2015年は牡羊座の人にとって、なにかが「外側から流れ込んできて、身体化する」ようなタイミングと言えるのではないかと思います。一度や二度トライして記憶に残る、といった体験ではなく、身体かされきってしまって、いつどうやって覚えたのかもわからない、というような変容が起こるわけです。「身についたこと」は、外側から見ればその人の独特の個性と言えますが「身につけたこと」を自分の目で見ると、外側に広がったある一つの世界に、自分が入ることを許されたような状態と見えるかもしれません。クラブやチームに所属しているような、ある技能を持った人々の、目に見えない広がりの中に自分も加わっているようなイメージです。「自分」とは、一つの閉じた時空の感覚ですが、「身についたこと」は、「自分」の感覚を外に向かって拡げてくれるような意味を持っています。閉じているはずの自分が、「身についたこと」によって、窓を開くように、外へと開かれて、繋がりを感じられるようになるのです。2015年は、そうした「広がり」が実現しそうな年と言えます。 *********************「任務」「専門性」「責任範囲」といったことは、仕事の場では勿論ですが、だれにもある生活や人間関係の中でも非常に大事なキーワードと言えると思います。友情や愛情関係の中にも「責任」や「義務」や「役割分担」は存在するはずです。2015年の半ば以降、こうしたテーマが牡羊座の人の心を捉えます。「この任務を担うには、こういう知識が無くてはならない」という危機感を感じる場面もあるかもしれません。たとえば、初めて家族の介護や子育てをするときには、それに必要なことを学び、身につける必要があります。友人関係を作る時でも、遊びのルールを覚えたり、待ち合わせや帰るべき時間を決めたりと、義務や責任、役割はあります。公私ともに、「これから自分が担おうとしていることを全うするには、どんなことを学ぶべきなのか」ということを、一般論ではなく、あくまで「今の自分自身に必要なこと」として見つめ直し、自分で自分に新しいカリキュラムを組むような作業が必要になるのではないかと思います。 *********************[時期について]1月から2月中旬は、心の奥深くにある感情を呼び覚まされるような時間帯です。密かな戦い、自分自身との戦いが起こるかもしれません。これによって、見えない壁を打ち破り、自分の中の「型枠」の外へ飛び出すことができそうです。経験則や常識に縛られず、自分のエネルギーや創造性を自由に外に流し出すための水路をパイプの詰まりを解消するように、きれいに再構築できるでしょう。特に1月は、交友関係が広がる時期です。旧友との再会、古いチームの再結成などの気配があります。2月下旬から3月は、2015年の中でもっとも「盛り上がる」時期となるかもしれません。新しいことが次々に起こり、がむしゃらに前進するようなタイミングです。特に、何かを始めたい人、自分を変えたい人、イメージチェンジを計りたい人は、素晴らしいチャンスを掴めるかもしれません。自ら行動を起こせるときですし、「他者」を受け止めて、そこに宝物を見つけることもできるでしょう。3月半ば、過去4年ほどためらってきたテーマについてついに結論を出す人もいるかもしれません。燃やし続けてきた野心が、ひとつの着地点に到達します。3月下旬、かたく封印されていた心の奥の小箱を思いがけず開くような出来事が起こるかもしれません。4月は、上旬に人間関係の再編のような出来事が起こりそうです。ずっと積み重ねて来た努力が実るような形で誰かと重要な関わりを結べるかもしれません。さらに、2011年頃から取り組んできているテーマが4月から5月半ばにかけて、経済的な面での変化が大きい時期でもあります。精力的に収入を拡大しようとする人もいれば、投機的な関心が高まる人もいるかもしれません。出ていく方も、入る方も、少々ドラマティックで、振り幅が大きいようです。自分をごまかさず、何を欲しているのか見つめ直し、その上で、行動を起こす必要がありそうです。5月半ばから6月にかけては、「動き」が多くなるでしょう。あちこち出かけていくことになりますし、さらに、「何度か同じ場所にくり返し出向く」ことで可能性がひろがるかもしれません。「ここが自分の居場所だ」と思える場所、「ホームグラウンド」を拡げたり殖やしたりできるときです。6月下旬から8月頭は、居場所が少々バタバタしそうです。引越やリフォーム、環境の変化なども起こりやすいときですし、見知らぬ土地に強く惹きつけられ、その場所と深く関わることになったりする可能性もあります。家族が人生の転機を迎える場合もあるでしょう。生活を取り巻く条件に変化が生じます。8月から10月頭まで、素晴らしい愛と創造の季節が巡ってきます。とはいえ、この「愛と創造の季節」は、この時期いきなり始まるものではなく、すでに2014年の中程からスタートしているのですが、この夏から秋に「ピーク」を迎えます。何らかの熱いドラマをこの時期、体験することになるでしょう。自分からごく情熱的な物語を「紡ぎ出す」人も少なくないはずです。愛を得る人、子どもを得る人も多そうです。10月は、非常に忙しい時期となっています。夏から秋にかけては、前述の通り楽しく創造的な時期であると同時に「自分の役割」を意識するようになるタイミングでもあるのですが、その動きが9月末頃から本格化するのです。ちょうど、冒頭に述べた「ロミオとジュリエットがもし、悲恋ではなく、生活を勝ち得たなら起こっただろうこと」が、このあたりからかなりビビッドに意識にのぼります。生活習慣、リズム、責任範囲、ルーティンの内容、そして、健康。ごくベタな日常の中に刻み込まれている「人生の欠片」を再認識し、人生を創る要素である「日々」を見直す作業が始まります。11月から12月、人間関係の上で「熱い」出来事の多い時期です。刺激的な出会い、魅力的な人物との関わり、愛と情熱が渦巻いて閃光を放つような、生き生きしたストーリーが繰り広げられるでしょう。パートナーシップに熱がこもる時期でもあります。ぶつかり合ったり、相手の懐に入り込んだりしながら、繋がりをアップデートできる時期です。
********************* [愛について]2015年は、牡羊座の人にとってこれ以上無いほどに「愛」が強調されている年と言えそうです。「ロミオとジュリエット」を引き合いに出したことからもそれがおわかり頂けるかと思います。愛にいろいろな方角から光を当てながら、自分自身の愛する力を育て、開発していける時です。2015年が終わる頃、貴方の愛の世界は、これまでよりもずっと重層的で、ナカミが濃く、なによりも「深く」なっているだろうと思うのです。2014年後半から、貴方の愛の場所に大きな成長と拡大の星が入っているのですが、それに加えて、貴方の星座に愛と情熱の星が同座する2月下旬から3月、さらに愛の部屋に金星も長期滞在する6月から10月上旬と、幾重にも愛の追い風が吹き続けているのです。とはいえ、愛はとても複雑な世界です。欠点や弱点が強い魅力の源となったり、他の場では長所と見なされることが愛の場では鎧のように作用することもあります。ある人が用いた愛の武器を他の人は上手く使うことができない場合もあります。自分を表現しなければ、ふり向いてもらえませんが自慢やひけらかしは、愛を簡単に遠ざけます。2015年、牡羊座の人の世界では、内なる情熱や好意、肯定感、楽観、欲求などが、愛の世界でどんどん外側に打ち出されていきます。この「打ち出し」がある水域を越えてしまうと、強すぎる香水の香りのように、引き寄せる力が遠ざける力に反転してしまう可能性もないとは言えません。私たちは、愛の世界においてとても傷つきやすく、臆病なのですぐに「うまくいくのか、いかないのか」「運が良いのか、悪いのか」と考えてしまいます。でも、その「いいのか、わるいのか」に囚われたとき、愛の世界では、不都合なことが起こります。それは、「相手の存在から目線が逸れてしまう」ということです。目に見えない相手の気持ちを知りたくて、「運」や「未来」に目を向けてしまうと、相手の姿はもはや、視界に入りません。2015年の牡羊座の世界では特に、愛が「上手く行くかどうか」は、敢えて、見つめない方がいいのではないかと思います。この時期は、「強すぎる香水」が、もっとも危険なように思えるからです。香水が強すぎるかどうかは、相手の表情や反応をじっと見つめていないと、わかりません。そこから目をそらしてしまい、風向きだけに気を取られると、風の強さがわからなくなってしまうのです。扇風機を用いるように、風向きが「望ましい」のであれば、風の強さを調整する必要があります。「幸運ならば、上手く行くはずだ」と私たちは考えがちです。でも、たとえば多すぎるお金や幸運が、人を飲み込み溺れさせる事は多々、あります。豊かなときほど、そのゆたかさをどう扱うかに強い意志と高い理想、そして丈夫な価値観を総動員し無ければならないはずです。
********************* 2015年は、貴方の愛や創造性が、「外の世界」と出会う年と言うことができると思います。私たちは「外の世界」に出たとき、そこで、いろいろな作法や手段、方法を一から学ばなければなりません。でも、同時に、何かを学ぶときは必ず過去の経験や既にある知識が物を言います。貴方が今まで内なる世界で培ってきたものと、初めて見る外の世界で出会ったものとを、かさねあわせ、結びつけ、一体化することが2015年の真のテーマと言えるでしょう。この時期、貴方は自分の今担うべき役割を徐々に知るようになりますが、それは、単に外から与えられただけのものではなくここまでに貴方が燃やしてきた愛や情熱とちゃんと、融合するものであるはずです。
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