昨日、「明日がこわい」と書いたが、だからといって閉じ籠もっているような私ではない。

 

昨日食べそこなった地魚の刺身がど~しても食べたくて、ここ木更津東泉寺からわざわざアクアラインの根元、金田までお昼を食べに行った。

 

といってもせいぜい車で20分ぐらいの距離。ついでにコストコで安いガソリンも入れたいし。

 

さてさて、平日の早いお昼の時間、店(名前はいつまで経っても覚えられない)に先客はなく、馴染になった店員さんに「地魚刺身!」と言うと、板場へ「地魚いっちょ!」と伝えつつ、尋ねもしないうちから「今日はコチとギマとアカニシと、あれ?あと何だっけ?」

 

どうせ聞いても全部は覚えられないくせに、いつも「今日の地魚は何です?」と訊くもので。

 

「あ、まあまあ、名前が分からなくても頼むものは変わらないから。」

 

すぐに出てきた刺身を前に、ちゃんと説明があった。

 

「コチ。分かりますね?」

 

「ん、うん。」(実は分からないけど)

 

「あ、これはアカニシ貝ですね? オヤジさんがアワビよりも"旨み"があるって、いつも言ってる? たしかに旨いですよねぇ」

 

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「そうです。それからこれはギマ。」

 

「イマ?」

 

「ギマっす。カワハギに似た魚です。」

 

「へぇー」

 

「で、これがホシザメ。」ピンク色のつやつやした、見たことのない切り身。

 

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「え? サメって食べられるんですか? 臭みがあるとか聞いたことがあるけど。」

 

「ふふふ。これは新鮮だから食べられるんですよ。」

 

すっかり気に入ってしまっているアカニシ貝はもとより、コチはシコシコ歯ごたえが良いのにふんわりしていて美味しいし、ギマはコリコリというかムッチリというか、表現力に乏しい私にはそれくらいしか言えないが、とにかく美味しい。

 

で、おそるおそるピンクの物体も試してみると、おお、しっかり歯ごたえがあるのにトロリとやわらかくて、これは初体験の味。

 

ムシャムシャとカッ喰らっていると、板場からオヤジさんが出てきて「今日は珍しいでしょ?」

 

「いやまったく、初めて食べましたよ。うまいっすねぇ。サメなんてわざわざ捕るんですか?」

 

「網に色々入るからね。ホシザメは、夏場の河豚と同じくらい、珍しい高級魚だって言われてます。身が締まってて旨いでしょ」

 

「そうそう、歯ごたえがあって、でもトロみたいにやわらかくて」

 

「?」

 

あ、トロなんてあまり食べたことがないから、変な例えになっちゃったかな。

 

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満腹満足してお寺に戻り、マンドリンをちょっと弾いたり、夕立を気持ちの良いシャワー代わりに浴びながら、採り残しの白加賀(梅の実)をもいだり。

 

採り残しといっても、おとといの29キロには及ばずとも、ほぼ20キロがまた採れてしまった。

 

知り合いの人達に声をかけまくって少しずつ減らしているが、最後はお師匠様のところへ持ち込んでしまう心づもり。

 

そうこうするうち、K子さん(ご住職の母上)が「いつも同じものばかり食べてて飽きちゃったから、美味しいものを食べに連れて行って頂戴よ。」

 

この場合の「美味しいもの」はお魚を指す。肉はあまりお好みでないし、洋食よりは和食がお好き。

 

となると、まだあまり木更津に詳しくない私としては、お連れできるのはあそこしかないな。

 

飲み屋さんではあるけれども、特に魚料理が美味しくて、なおかつ量がとてつもなく多いお店。

 

私は前回、注文しすぎて懲りたので、ほどほどの定食と、それでもついつい我慢できずにマグロのカマの焼き物をK子さんとシェア。

 

K子さんはといえば、お寿司とお刺身とうどんが食べられるからと、レディスセット(私の定食よりも量が多い)。

 

それでもK子さん(91)は、生野菜のサラダ以外はほとんど全部、平らげてしまわれる。

 

毎日の草取りや畑仕事、バランスが良く素材にまで気を遣った健全な食生活、ストレスの少ない暮らし、そういうものがK子さんの健康と長寿を保障しているのだと思う。食欲も。

 

話を戻すと、今日も美味しいものがたっぷり食べられて、幸運・幸せな一日だった。

 

「明日がこわい」は順延かな。

 

それとも、あまり自覚がないうちに、アンラッキーを「先に処理」してしまっていたのだろうか......