※死産に関する内容です。少し前のことを振り返りながら書いています。






病院に着いて手続きを済まし、病棟に案内された。


部屋は4人部屋と個室があったが、不安や悲しみを抱えたまま周りに気をつかわないでいいように、看護師さんの助言もあって個室にしてもらっていた。
個室料金は発生するが、絶対個室にして正解だと思った。


部屋にはシャワーとトイレも付いておりテレビも普通に見れる。


部屋の中央あたりにベッドがあり、窓際には小さなテーブルと向かい合うように1人がけのソファが2つ。
収納スペースもある。


産婦人科の病棟は、私の病室がある棟と通常のお産の方で棟が分かれていて、お腹の大きな妊婦さんや産まれたばかりの赤ちゃんと遭遇することはほとんどないのがありがたかった。



夫と荷物の整理をしていると、主治医が入ってこられて夫に説明があった。

「胎動がないということで来院されて、先ほど診せてもらったんですが、赤ちゃんの心臓が止まっていて子宮内胎児死亡となります。今回このようなことになった原因は今のところわかりません。
赤ちゃん自身に染色体異常や病気があったのかもしれないし、赤ちゃんの頭が小さめだったこと、お母さんでいえば年齢のこと、血糖値が高くなっていたこと、子宮内膜症や腺筋症で体外受精されていたこと、何かが関係しているかもしれないし関係ないかもしれない。
ただ、決してお母さんが悪いわけではありません。
もっと早く病院に来ていたらって思うかもしれないけど、それでも助からない場合もあります。

赤ちゃんを通常のお産と同じように出してあげないといけないんですが、まだ子宮口はガッチリ閉じているので時間をかけて徐々に広げていって、少しでもお母さんの負担が少ないようにと考えています。今週いっぱいは子宮口を広げる処置をして陣痛を誘発して、お産は来週あたりになると思います。入院は2週間を目安と思ってください。
あと確実とは言えないんですが、染色体などを調べると原因がわかることもあるので、出てきた胎盤を検査に出すこともできます。料金もかかることなのでご夫婦でどうされるか相談してください。」

夫も黙って頷きながら聞いていた。



次に看護師さんが来られて一通り入院に関する説明などを聞いたあと、火葬について説明があった。

「赤ちゃんが産まれてきたら、死産届というものをお渡しします。〇〇さんの週数だと赤ちゃんを火葬してあげなければいけないので、その死産届を持って役所で火葬の予約をしていただくようになります。病院で提携している葬儀屋さんとかは特にないので、葬儀屋さんを探してもらって頼むか、ご主人やご家族に行ってもらうようになります。」

わかりました。とうなずく夫。

私は、死産や火葬という言葉を聞いて、やっぱり赤ちゃんはもう亡くなっちゃったんだ…と現実を突きつけられ、泣くことしかできなかった。



コロナの制限が緩和されたとはいえ、こちらの病院は面会は1人につき1日15分と決まっていた。

夫は
「来週がお産なら、俺来週は休み取るから。職場にも報告しとく。また明日も来るから」
と帰って行った。



昼食を出してもらったが、ほとんど喉を通らなかった。


看護師さんが来て、
「赤ちゃんが産まれたら、何かしてあげたいことはありますか?」
と聞かれた。

私:何ができるんですか?あ、抱っこはしたいです。

看護師:もちろん抱っこもできますよ。あとは沐浴とか、手形や足形もとったり、おっぱいを飲ませてあげたり、ご家族で写真を撮ったりとか。
赤ちゃんのお洋服とかって、準備されてます?

私:やれることは全部やってあげたいです!
服は準備してないんです。市販のものだと大きいだろうからどうしようかなと思って。。

看護師:手作りしてあげることもできますよ。こちらに布とかもあるので、それでよければぜひ使ってください。

私:ありがとうございます、作ってあげたいです!

看護師:あと棺はどうしますか?ご自分たちで用意される方もいますし、病院でも紙製のものならご用意できます。

私:主人と相談してみます。


産まれたら、火葬まで赤ちゃんと過ごせる時間は限られている。できることは全部やりたいと思った。


お産は来週になるってドクター言ってたけど…1週間もお腹に赤ちゃんいたままで大丈夫なのかなぁ?
羊水の中で傷んだりしないのかなぁ?

看護師さんに聞くと、その前に陣痛がはじまって産まれる子もいるし、1週間お腹にいたいのなら赤ちゃんは自分でそうするだろうし、その子のタイミングで出てきてくれるから大丈夫ですよと言ってもらった。



そういえば、大きなお腹を写真に撮ってなかったな。
1人で洗面台の鏡にお腹を写して自撮りした。

マタニティフォトといえる立派なものではないけれど…
ママのお腹に確かに赤ちゃんがいたという証拠。
これもママと赤ちゃんとの大切な思い出。


入院当日の夜から子宮口を広げる処置がはじまった。

流産手術の時と同じく、ラミナリアという水分を含むと膨張する棒のようなものを入れた。

子宮の入口を器具でつままれるときが痛い、、

入ってしまえば、お腹が少し重たい感じがするくらい。

子宮口はまだカッチカチらしく、ドクターに時間がかかるかもしれないねと言われた。


赤ちゃん、自分のペースでいいからね。

でもママはもうちょっと一緒にいたいなぁ。。

そんなに急ぎすぎないでいいよー。