『不妊治療をする』
夫は人生でこんなことを経験するとは思ってもみなかっただろう。
夫は私とは2度目の結婚で、前妻との間に2人子どもがいる。
親権は母親なので、私は子ども達には会ったことはない。
夫と付き合っているとき、私は自分の持病のことを全て話し、自然に妊娠する確率はかなり低いだろうということも伝えた。
夫はそれでもいい。子どもはいたらそれはそれでいいが、いなくても2人で楽しく暮らしていけばいい、と言ってくれた。
そう言われて私はいくらか気がラクだった。
私自身は子どもが好きなので、いたらいいな〜1人は産んで育ててみたいな〜。と思いつつも、自然に授かるのは難しいだろうなぁとも思っていた。
妊活をはじめるにあたりジエノゲストの服用をやめてから、毎月のように襲ってくる激しい生理痛。
最初は心配してくれていた夫も、何度も痛い!痛い!と叫ぶ私に、何もできないもどかしさからか少しイライラしはじめていた。
痛み止め飲むしかないじゃん!
俺に言われても何もできない!
生理の時期は夫にとっても苦痛な時間となっていた。
その度に私は、
痛みをとるには手術か妊娠って言われた!
妊娠するには不妊治療も考えないといけない!
あなたはその覚悟ある!?
とムキになって反論した。
そういうとは夫はいつも無言になった。
生理中はお互い感情的になり冷静に話ができない。
医者から不妊治療の病院を紹介しようか?と言われた日、夫に冷静に話をした。
このまま自然の流れに任せても、妊娠できないかもしれない。
年齢的に時間は少ないと思う。
生理のたびに痛いのも、雰囲気が悪くなるのも嫌だ。
あなたはすでに子どもがいるから、もう子どもを望んでいないかもしれないけど、私はあなたとの子どもを産んで育てたい。
あなたはどう思ってる?
自分の中では不妊治療に挑戦することに決めた!と思っていたのに、話しながら涙が止まらない。
これでいいの?
夫は本当に子どもを望んでいる?
本当に自分は覚悟ができてる?
自分の中で自問自答を繰り返す。
夫は黙って話を聞いていた。
なんだか穏やかな表情だった。
そして私が泣き止むとこう言った。
決めたんでしょ?
やるしかないじゃん!
いつも、あれはやだな〜、これはちょっと…と優柔不断な夫だが、この時はなんだかたくましく思えた。