◆最近の「大人の宝探し=中古レコ屋巡り」により、お茶の水&神保町にはよく「出没」している。ただ、自分にとってこの界隈は初めてというわけではなく、1980年の頃から頻繁に足を運んでいた。そしてその当時は中古レコ屋巡りというよりも、むしろ大規模新刊書店&古書店巡りが目的。2000年代に入ってからは仕事があれこれ忙しくて少々足が遠のいていた時期もあったが、しかしこのお茶の水&神保町界隈は常に自分にとって気になるエリアであり続けたのである。

さて、最近再び足を運ぶようになって感じているのが街の変化。何しろ、あの新刊書店のエ-ス的『三省堂書店』が消滅してしまった。また、自分は昔から新刊書店では「東京堂」が一番好きだったのだが、数年前に行ってみたら「東京堂」もなんか昔とは変わってしまっていた。そして飲食店も当時とは大きく変わった。昔は喫茶店も数多くあったし、学生街らしく「お値段お安めだけど、ボリュ-ムだけはありまっせ!」という「いかにも神保町」的な飲食店が多々あったと思うのだが、久々足を運んだ印象としては、なんかそういうタイプの飲食店は少なくなってしまった気がする。閉店してしまった店も多いようだ。そもそも再開発で街の雰囲気が変わってしまった。

また、お値段お安めではないが、依然として頑張っている老舗の名店は健在のようだ。「共栄堂」「さぼうる」「ボンディ」「ランチョン」「伯剌西爾」「ラドリオ」「マンダラ」‥‥等は昔から大好きな店だった。また、店名はちょっと忘れてしまったけど、街中華的なラ-メン屋さんで好きな店も2軒ほどあった(漢字が違っているかもしれないが、1つは「伊峡」という店だったと思う)。そして自分は殆ど行かなかったけど、天丼の「いもや」という人気店もあった。数年前に閉店してしまったが、その閉店前には往年のファンが多数押し掛けて、とてつもない長蛇の大行列が出来ていたそうだ(ネットにその時の長蛇の行列の写真が挙がっていた)。また、大昔は神田駅前にあったカレ-の名店「ガヴィアル」も神保町に移転してきた。ちなみに神保町のカレ-店では、自分は世評高い「ボンディ」よりも「共栄堂」や「ガヴィアル」の方が好みである。「共栄堂」はスマトラ・カレ-という事でちょっと癖のある味なので、人によっては好き嫌いが出そうだが、「ガヴィアル」は万人向けの欧風カレ-だし、店内もお洒落でオススメである。ちなみに「ガヴィアル」はレトルト・カレ-でも出ていて、以前はス-パ-とかでも買えたんだけど、そういえば最近は見掛けないな‥‥。

さて、神保町に関しては、最高レベルの「通」たる作家・紀田順一郎氏がいる。そして紀田順一郎氏といえば、創元推理文庫から「神保町を舞台とした」古書ミステリ数作が出ている。それが『古本屋探偵の事件簿』『鹿の幻影』『魔術的な急斜面』‥‥等である(全て創元推理文庫)。実は紀田順一郎氏はその後も「神保町もの」を数作出しているのだが、自分としては「その後のもの」はこれらに比べてどうもイマイチ‥‥と思っているので、それらはスル-させていただき、ここでは初期3作だけに絞らせていただく。この初期3作は間違いなく傑作である。ただし条件付きで。その「条件」は最後に書く。

これらは文庫再刊の際にタイトルが変更されている。第1作目の『古本屋探偵の事件簿』は当初は分厚い1巻本で出ていたものだが、現在では確か2分冊の形で再刊されていると思う(自分は昔の「1巻本にまとめられている」形が好きだが)。第2作目の『鹿の幻影』は『古本街の殺人』と改題されており、第3作目の『魔術的な急斜面』は『古書収集十番勝負』と改題されていたんじゃなかったかな?共に旧タイトルの方が自分としては好みなんだけど。

この3つの作品、自分にとってはどれもが「とてつもない愛読書」である。確か1990年代中頃の辺りで読んていたんだと思うが、それって自分がちょうど神保町という街にハマりまくっていた頃だったため、もう熱中して繰り返し繰り返し読んでいたほど。

ただ、この紀田順一郎氏の一連の「神保町シリ-ズ」は、「神保町という街や古書や古書店に大いに関心がある」という方々ならばとてつもなく面白く感じられるだろうが、「神保町だの古書だの古書店には何の関心もない」という方々の場合、これらの作品に手を出すことは絶対に絶対にやめた方がよい。間違いなく「これの何処が面白いの?」「全然つまらないんだけど‥‥」という結果になる。つまるところ、これらはミステリではなく、神保町を舞台とした古書の世界を描いた小説なのである。

というわけで、古書マニアの方々、古書店マニアの方々、そして何より神保町という街のファンの方々であれば、前述の紀田順一郎氏の3作品は絶対のお薦めです。それぞれスト-リ-は独立しているのでどれから読んでも大丈夫なのですが、やはり発表順に読んだ方が無難かな‥‥とは思っています。

 

◆8月17日(土)の自宅音楽鑑賞。

 

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