◆チェスタトンは自分としては不思議と愛着がある作家。そして代表作たるブラウン神父シリ-ズは古典ミステリに於ける必読書とされている。ただ、チェスタトンの文章は難解である上、使われているトリックも今となっては「古めかしい」ものばかりなので、もはや単なる「古典」に過ぎず、「賞味期限切れ」ミステリ‥‥‥といった印象を受ける。

昔のブログで書いたのだが、要はチェスタトンの作品って「正統派ミステリ」と言うよりも「大人のメルヘン」として読むべきものだと思っている。1つ前のブログで取り上げた『ルル-/黄色い部屋』はどの角度から見ても「ミステリ!」なのだが、チェスタトン作品はそうしたものとはかなり異なっている。よって、まともなミステリだと思って「真面目に」「真剣に」読んでいると、終盤辺りで「はあ‥‥?」という事になる。人によっては怒り出してしまうかもしれない。だから前述の通り「大人のメルヘン」であり、「純粋なミステリ」というよりも「チェスタトンの思想とか世界観を楽しむもの」なんじゃないですかね?

チェスタトン作品には『木曜の男』や『詩人と狂人たち』といった優れものもあるが、やはり飛び抜けて有名なのは「ブラウン神父シリ-ズ」だろう。シリ-ズ全5巻の全てを収めているのは創元推理文庫だけなので、ここでは差し当たり創元推理文庫版の『童心』『知恵』『不信』『秘密』『醜聞』をベ-スに書く事とする。この全5巻は全て短編集であり、この「短編集」という点が読書スランプ中の自分には大変ありがたい。事実、ちょっと暇になった時などは、自分はチェスタトン作品を順不同で繰り返し繰り返し読んでいる。

ちなみに自分としては「ちくま文庫」の南條竹則・訳のものが一番読み易いと思っているのだが、その「ちくま文庫」版だと現時点では1作目と2作目しか出ていない。全5巻が南條竹則氏の新訳で出れば、それが決定版となると思うが、しかし現時点では2作目の『知恵』までしか出ていない。そしてその『知恵』が出てからもう数年が経つのに、3作目以降は依然として出ない。出そうな気配すら無い。たぶん3作目以降はもう出ないんじゃないかな‥‥。残念な事である。ちなみに1作目は創元推理文庫版だと『童心』というタイトルになっているが、その「ちくま文庫」版の南條竹則・訳だと『無心』というタイトルになっている。

さて、5つの短編集の中で一番の優れものは、やはり飛び抜けて1作目の『童心』であろう。収録されている短編の「全てが」とにかく高水準。自分は「ブラウン神父シリ-ズ」全ての中で『秘密の庭』『見えない男』『奇妙な足音』がベスト3だと思っており、特に『秘密の庭』は自分としてはシリ-ズ中ベストワン作品と考えているのだが、この3つは全て『童心』中の作品である。その『秘密の庭』は『童心』中の2つめの作品だが、ただ、この『秘密の庭』はこれだけを単独で読んでも真価はわからない。『童心』1つめの、つまりブラウン神父初登場作品たる『青い十字架』から読まなければ真価は絶対にわからない‥‥という厄介な作品でもある。

『童心』以外のものだと、世間では『不信』が評価が高い。特にここに収録されている『犬のお告げ』は、人によってはブラウン神父シリ-ズの最高傑作としているようだ。しかし自分としては『犬のお告げ』は「どこが良いのかさっぱりわからん‥‥」的な作品なので、ここではスル-させていただく。そして『不信』の他の作品も、自分としては『童心』ほどの完成度ではないと思う。むしろ自分としては、『不信』ならば『秘密』の方が「隠れた名作」が多く収録されているような気がする。

さて、全5作ある「ブラウン神父シリ-ズ」の中で、一番マイナ-で一番話題にならないのが、最終5作目の『醜聞』である。確かに何度読み返してみても、『醜聞』には「おっ‥‥」と思えるような短編は見当たらない。事件の中心を占める謎自体も、なんか規模が小さくてこじんまりしているものばかり。当初は自分は「シリ-ズ最終の5作目って事で、チェスタトンもネタ切れになったのかな?」なんて思っていたのだが、このたび読み返していて、そうではないと思うようになった。トリックというか、作品の「アイディア」自体のレベルは、実は最高傑作たる『童心』とさほど変わらないと思う。ただ、そうしたアイディアの「使い方」が、あの『童心』ほどではないんだな。この『醜聞』の中では『古書の呪い』『緑の人』『ブル-氏の追跡』がベスト3だと思っているが、やはりトリックというかアイディアの「使い方」が『童心』ほどではない。せっかく思いついたアイディアなのに、巧く使えていないのが実に残念といったところ。というわけでこの『醜聞』、無理に読むほどのものではないと思っているが、中でもまとまりが良かったのは『古書の呪い』かな‥‥。尤も、それでも『童心』収録の傑作群には遠く及ばないが。

 

◆8月7日(水)はちょいと外出していたので、自宅音楽鑑賞は無し。

外出先での飲食は、ここ。

またここか‥‥‥といった感じ。

 

 

 

 

◆8月8日(木)の自宅音楽鑑賞。

ただしこの日はCDやSACDは使わず、レコ-ドのみ。

 

↓レコ。1990年代に中古で入手したものだが、これって「ひょっとしたら海外オリジナル盤か?」と思っているもの。

オリジナル盤でないとしても、少なくとも海外初期盤であることは間違いないと思う。

ちなみにこれは、CDや国内廉価盤レコでも所有している。

ただしこの音盤に関しては、CD化されたものの方が、明らかに音質は上だった。

 

 

↓レコ。

キングMX盤レコだが、やはり1990年代に中古で入手したもの。

CD、そしてキングMZ盤レコでも所有している。

 

 

↓レコ。

これは数ヵ月前に中古で入手したものだが、音盤もジャケットもとてつもなく美品だった。

ちなみにこれはCDでは持っていない。

 

 

以前も書いたが、自分はCDやSACDを聴く時には、原則としてアンプのト-ン・コントロ-ルは使わない。

しかしレコ-ドを聴く時には「アンプをいじる楽しみ&自分で音を作る楽しみ」を味わおうと、積極的にト-ン・コントロ-ルを使っている。

先のアンセルメのファリャを聴いている時は、アンプのト-ン・コントロ-ルをこんな感じにしていた。

「TREBLE/MIDDLE/BASS」の3バンドのト-ン・コントロ-ルだが、ただ、「TREBLE」を使う事は滅多に無いかな‥‥。