◆本日は「連投」で2つ目の記事です。
1つ前のブログでは角川文庫の横溝正史復刊について「なぜあれを復刊しない!」と散々文句をつけました。
同様の事は創元推理文庫のカ-復刊についても言いたい。
取り敢えずカ-も新訳復刊が着々と進んでおり、最近では『幽霊屋敷』などという超レアな作品の新訳復刊が為されました。
この『幽霊屋敷』、自分が小学校低学年の頃に既に絶版になっており、その後は全く復刊されなかったもの。
自分が小学校低学年といえば1970年頃。
小学校低学年でありながら、なぜ創元推理文庫の『幽霊屋敷』が絶版になっていたことを覚えているのだ?‥‥と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょうから説明しておくと、当時から自分はカ-作品をジュニア版で幾つか読んでおり、カ-作品というものに凄く興味を持っていました。
で、その頃『創元推理文庫解説総目録』という冊子をたまたま入手しまして(本屋さんに「ご自由にお取りください」と置かれていた)、それを当時の自分は受験生の参考書のように「ボロボロになるまで」愛読していたわけです。
そしてそれを読むことで、クイ-ンやクリスティ-やカ-やクロフツに関し、「なるほど、ジュニア版では出ていないけど、こういう作品もあるのか‥‥」という事をあれこれ頭に入れていたわけです。
その総目録の中にはカ-の『幽霊屋敷』なんて無かった。
確実に無かったです。
その時点で既に「絶版⇒カタログ落ち」していたんでしょうね。
その後、創元推理文庫版『カ-/幽霊屋敷』という作品が大昔に出たものの、長らく絶版状態が続いており、古書での入手困難度は最高ランク‥‥なんて事を知りました。
それにしても考えてみて欲しい。
現代のネット時代ならそうした入手困難な古書も色々と入手方法があるでしょうが、ひと昔前のコレクタ-は、そうしたレア本を自分の足で古書店を廻って探していたわけで、そうした入手困難度最高ランクの古書をゲットした方々(現実にいる)は凄い古書ハンタ-だと思うわけですよ。
話が逸れましたが、まあ、そうしたいわくつきの『カ-/幽霊屋敷』(創元推理文庫)、1ヵ月くらい前に新訳復刊されたみたいです。
「いきさつ」を知っているのか、某大規模書店では新刊コ-ナ-にこれを3列くらいで平積みにしていました。
ちなみに自分はこの創元推理文庫版『幽霊屋敷』は所有していませんが、同一の作品が早川ポケミスでは『震えない男』という別タイトルで出ていたんですね。
この早川ポケミス版も大昔に絶版になって入手困難本だったのですが、1990年代半ば頃に復刊されたので、自分はその時に購入して読んであります。
まあ、カ-としては「普通」の作品かな‥‥。
少なくとも全盛時の神憑り的大傑作と比較したら「う~ん、ちょっと‥‥」という出来栄え。
だからこれなんかは無理して買わなくてもいいのでは?‥‥と正直思っています。
まあ、カ-の大傑作群を既に読み終えている人が、「他にはどんなものがあるのだ?」という興味から手に取る類いのものでしょうかね。
さて、それでですね、自分としては現時点で創元推理文庫でさっさと復刊して欲しいカ-作品が3つあります。
それは『魔女の隠れ家』『孔雀の羽根』『死時計』。
尤も自分はこれらを大昔に購入して所有しているから、まあ、どうでもいいんですが、ただ、これらが絶版になっているために人にお薦め出来なくて困っているというわけ。
まあ、この3つでは『孔雀の羽根』と『死時計』は後回しでもいいから、何はさておき『魔女の隠れ家』をさっさと復刊して欲しい。
旧訳も特に読みづらくはなかったので、わざわざ新訳にせず旧訳のままでもいいから、とにかく「さっさと」復刊して欲しい。
この『魔女の隠れ家』、純粋なミステリとしての出来具合で評価すれば、カ-作品の中では「中」程度のレベルだと思います。
しかし「お話」とかは凄く面白い。
「お話の面白さ」だけならカ-の作品の中でもトップクラスです。
しかもですよ、この作品って、あの名探偵フェル博士の初登場作品なのです。
金田一耕助シリ-ズでいうところの『本陣殺人事件』みたいなもんです。
この点を何より強調したい。
フェル博士とはいかなる人物なのか?‥‥が、これを読むことでよくわかります。
そしてその後しばらく「フェル博士シリ-ズ」でレギュラ-・メンバ-として活躍するランボ-ルとドロシ-もこの作品で初登場。
二人のロマンスもこの物語に花を添えています。
ついでに言うと、これ、自分が初めて読んだカ-作品。
当時の自分はジュニア版で読んだんですけど、そうした意味でも懐かしい。
というわけで、とにかく創元推理文庫は『魔女の隠れ家』を早々に復刊して欲しい。
そしてもし復刊されたら、皆様、これは是非とも「買い」ですぞ。
購入お薦め度★★★★☆
図書館で借りるお薦め度★★★★★
◆本日9日(金)の音楽鑑賞。