昨日、こんな記事を書きました。
あの記事に関連して「水木しげる」なんざを取り上げたものですから、ふと「水木しげる作品でどうしても触れておきたいもの」について書きたくなってしまいました。
自分は幼稚園児の頃から「怖いお話」とかが好きだったものですから、その当時から「水木しげる」漫画を読んでいたんです。
確か当時大学生だった従兄弟が「面白いよっ!」って、「鬼太郎もの」を1冊プレゼントしてくれたのが始まり。
その後は『ゲゲゲの鬼太郎』の他の作品は言うまでもなく、他にも幼稚園児の時点で「鬼太郎もの」以外の水木しげるの怪奇短編漫画なんかにも手を出していったんですよね。
この「鬼太郎もの」ではない怪奇短編漫画は、その当時「朝日ソノラマ/サン・コミックス」から幾つか出ておりまして、これが実に面白かった。
鬼太郎シリ-ズよりも、むしろこちらの方が「怪奇短編漫画」としては面白かったほど。
ちなみにこの「朝日ソノラマ/サン・コミックス」で出ていたものって自分は数冊持っていたんですが、何しろ幼稚園時代に買ったものですから、今となっては自宅のどこかに完全に行方不明。
それらが30年くらい前に神保町の古書店で「1冊5000円」程度の古書値が付いているのを見掛けまして、「うおおおっ、あれらは自宅のどこへ?」と悔しがったもんです。
さて、その幼稚園時代、自分の狙いはひたすら「怪奇もの」だったわけですが、ただ、「『怪奇もの』というより、むしろ『幻想もの』」という作品で、凄く印象に残っていたものがあったのです。
それが『丸い輪の世界』。
前述のように「幻想もの」といったタイプの作品なんですが、しかししかし、より正確に言えば「悲しいお話」といった感じ。
他の「怪奇もの」は今ではスト-リ-を忘れてしまったものも多いのですが、なぜかこの『丸い輪の世界』だけは隅から隅まで、つまり「スト-リ-」や「構成」は勿論のこと、「絵柄」や「ペ-ジのコマ割り」まで覚えていたほど。
それだけ強烈に印象に残っていたのでありましょう。
自分的にはこれが水木しげる漫画のベストワンでした。
さて、2010年夏のNHKの朝ドラで、水木しげる夫妻を主人公にした『ゲゲゲの女房』ってのが結構ヒットしていましたよね。
そのヒットの影響でか、その2010年に、雑誌『月刊Pen』が「水木しげる特集」を組んだのです。
その特集の中に、なんとこの『丸い輪の世界』が完全版の形で復刻収録されていたんですよね。
他の作品なんて解説的に部分部分が取り上げられているだけなのに、この『丸い輪の世界』だけが初出時の完全復刻の形で「全体が」収録されている!
もう遥か昔に読んだ『丸い輪の世界』を改めて完全な形で再び読めるっ‥‥ってこと!
自分はもう狂喜乱舞ですよ。
そこに付いていた解説によれば、これって「水木ファンの間で『生と死を見事に表現した傑作』として知られる傑作短編」とのこと。
そうだろう、そうだろうよ!
幼稚園児だった大昔の自分の感性は実に実に正しかったのだな‥‥と、ちょっと誇らしげな気分になりましたね。
というわけで、自分はこの復刻版『丸い輪の世界』目当てで、この雑誌を買ってしまいました。
実に数十年ぶりに読んだ『丸い輪の世界』でしたが、いや~歳をとって涙腺が緩くなっているのか、もう泣けましたね。
歳をとって、この「お話」の「はかなさ」というか「やるせなさ」というか、それが一層強く感じられるようになったのでありましょう。
当然必読ですって!‥‥‥‥といっても、今では読めないでしょうが(笑)。
購入お薦め度★★★★★(といっても今では入手不可能でしょうが)
図書館で借りるお薦め度★★★★★(といっても図書館には置かれていないでしょうが)
ただ、★★★★★なんて評価をつけましたけど、これを読んだら、その「はかなさ」「やるせなさ」で、その日一日は何もする気が起きなくなることを忠告しておきます。