怖い系は映画だろうと小説であろうと、まるっきり平気な自分なんですけどね。
子供の頃に読んだ「ある短編マンガ」だけは、ラストで「ひょえええええっ!」となったのですよ。
今回はこの漫画をご紹介しようと思うのです。
これ、はっきりとは覚えていないのですが、自分が小学2年だか3年の頃に読んだ気がします。
買って読んだわけではなく、立ち読みだったんじゃないかな?
実は15年くらい前だったかな?この作品、ある文庫版漫画に「おまけ」みたいな感じで復刻され、ひっそりと付け加えられていました。
自分はこれを購入し、数十年ぶりに読んだわけですが、この文庫版も今となっては自宅の本の山の中に埋もれて行方不明。
曖昧な記憶を辿りながら書いてみますが、よく覚えていない箇所は自分で勝手に補う事としますので、かなり不正確ではあると思います。
その点をご承知おきください。
タイトルは『赤い海』というもので、作者は「つのだじろう」です。
同年代の方々ならご存知かと思いますが、当時の心霊ブ-ムの先駆けとなった『恐怖新聞』とか『うしろの百太郎』等のヒット作を描いた人。
自分的には『恐怖新聞』も『うしろの百太郎』も、ち~っとも怖いとは思わなかったので、この『赤い海』も大した期待もせずに読み始めたわけです。
荒っぽい船員たちを乗せた大型漁船が舞台。
天候は悪く、嵐で大荒れの海。
そこに密かに隠れて乗船していた少年がおり、船員たちに発見されてしまいます。
この少年を仮に「太郎君」といたしましょう。
荒くれ者の船員たちは「なんだお前はっ!」「ふざけるなっ!」と太郎君に暴力をふるったり「こいつを海に突き落としてしまえっ」みたいなことを主張するのですが、その中に一人、「子供相手に乱暴はよせっ!」と主張する正義の「お兄さん」がいるわけです。
まあ、よくある展開ですよね。
というわけで、このお兄さんのおかげで、太郎君は取り敢えずこの船にそのまま居られるようになりました。
さて、航海中。
荒くれ者の船員たちが、一人、また一人‥‥と死体となって発見され始めます。
死体には喉の所に二ヶ所ほど刺し傷みたいなものがありました。
船員たちは「太郎が怪しいっ!あいつが乗り込んできてから事件は起きているのだ!」と、太郎君に詰め寄り、とっちめようとします。
それをかばってくれたのが前述の正義の「お兄さん」。
取り敢えずその場は収まりましたが、しかし一体この連続殺人の真相は?
船に謎の殺人鬼でも乗り込んでいるのでしょうか?
船員たちは「次は自分が殺されるのかも?」と恐怖のどん底に‥‥。
この船には一人のヨボヨボの老人が乗っていたのですが、その老人は太郎君にこっそりこう言います。
「これは吸血鬼の仕業じゃよ。ワシは見たんじゃ」と。
太郎君は「そんなバカな!」と思うのですが、しかし「喉に二カ所の刺し傷」ですよね。
これは本当に吸血鬼の仕業なのか?
この船に実は吸血鬼が潜んでいるのではあるまいか?
その後も殺人は続き、ついにはその老人も死体となって発見されました。
喉にはやはり二ヶ所の傷が‥‥。
やはり吸血鬼が船内に?
こうして船内での連続殺人は続き、ついには太郎君と船長と正義のお兄さんの三人だけが生き残っている状態に‥‥。
嵐の晩。
一体誰がこんなことを‥‥と怯えながら甲板に出た船長に、怪しい影が忍び寄ります。
怪しい影は吹き矢を構えると、船長の喉に向かって矢を射るのです。
喉に矢が突き刺さった船長は「ぐえっ!」と叫んで死んでしまいましたが、そのとき物陰から「やはりお前だったのか!太郎!」と、例のお兄さんが飛び出します。
どうやらお兄さんは以前から太郎君を疑って、目をつけていたようです。
太郎君はそれまでの怯えておとなしかった子供から一変し、「ふふふ、バレてしまったなら仕方ない」と、お兄さんに向かって真相を語り始めます。
どうやら太郎君は昔、やはり船員だった自分のお父さんを、この船の船員たちに殺されたそうなのです。
だから復讐のためにこの船に乗り込み、吸血鬼の仕業に見せかけるよう、先が2本になっている吹き矢を用意して、船員たちを次々に殺していった‥‥というわけです。
太郎君から真相を聞いた正義のお兄さんは愕然とします。
まさか‥‥まさか、この太郎がそんなことを‥‥。
「散々親切にしてもらえたのはありがたかったけど、真相を知られてしまったからには、お兄さんにも死んでもらうしかないよね」と、太郎君はお兄さんに吹き矢を向けます。
や、やめるんだ、太郎っ!‥‥とお兄さんは言いますが、太郎君は吹き矢を発射。
吹き矢はお兄さんの喉元に刺さります。
ぐわわ~っ!‥‥と悲鳴を上げながら、お兄さんは夜の荒れた海に転落していきます。
どぼんっ‥‥。
独り船に残った太郎君は、甲板にて延々と独りごと。
終わった。自分の復讐は全て終わった。
あとは通りすがりの船に助けを求め、「吸血鬼がみんなを殺して回った」と言えばいいさ。
ふふふ。
はははは。
あ~っははははは。
この漫画を立ち読みしていた自分は、やはり途中で「この太郎が怪しいっ!」とは感づいていました。
ふん、やっぱり犯人はこの少年か‥‥と。
そんなふうに思いながら、このペ-ジ左下の最後の1コマを見ていたら‥‥。
ん?
おや?
あれ?
あれれれれれ?
なんだこれ?
そしてペ-ジをめくると‥‥。
おおおおお~っ!