最近やたらと『都筑道夫/蜃気楼博士』の復刊を!‥‥なんて騒いでいたこともあり、久々あの作品を読みたくなった。あの作品は(1)初出が自分が小学校低学年の頃に朝日ソノラマから出ていた箱入り本、そしてその後(2)朝日ソノラマから出ていたソノラマ文庫から文庫化‥‥といった形で発売されたわけだが、自分が初めて所有したのは(1)。しかしこれが遙か昔から行方不明になっており、小学校低学年に読んで以来「読み返し」が出来ず。大人になってから古書店などで探していたのだが、なかなか見つからず。古書にて比較的入手しやすそうに思えたのが(2)だったので、これを探究書としていたのだが、滅多に見つからない。ソノラマ文庫に強そうな古書店を何軒か回ってみたが見当たらず。1990年代後半に都内下町某所の古書店で一度だけ見つけた事はあったが、しかしプレミア価格が付いていて「この値段で買うのもな‥‥」と諦めていた。ところが2005年頃でしたかね?「本の雑誌社」から『都筑道夫少年小説コレクション』全6巻という作品集が出たのですね。

 

_20190502_131417.JPG

 

ここに見事に『蜃気楼博士』は収録されておりました。

 

_20190502_131439.JPG

 

これを買わない手はないっ!‥‥というわけで、自分は発売と同時に購入。

無事『蜃気楼博士』と「再会」することができたわけです。

 

このシリーズの素晴らしい点は「初出時の挿絵」までをもきちんと復刻していること。そうそう、そういうことが復刻では大切なのだよ。

 

 

で、話を冒頭に戻して、久々に今日、『蜃気楼博士』を読み返してみたくなったわけなんですが、なぜか『蜃気楼博士』を収録した巻が見つからないっ!今朝、散々探したのだが、見つかったのは『妖怪紳士』が収録された第4巻だけで、『蜃気楼博士』を収録した第3巻がいくら探しても見つからないのである。「いやはや、文字通り蜃気楼のように消え失せてしまったか‥‥」なんて冗談を言っている場合ではない!しかし複数の部屋に平積みになっている複数の本の山から『蜃気楼博士』を探し出すとなると、これはもう一日がかりの突貫作業となるわけで、う~む‥‥それはそれで時間がもったいない。まあ、自宅2Fのどこかにあるのだろう‥‥ってことで、取り敢えず探し出すことは断念した。

 

 

ところで今朝見つかったこの第4巻であるが、前期の通りここには『妖怪紳士』という作品が収録されている。

 

_20190502_100629.JPG

 

この『妖怪紳士』という作品も『蜃気楼博士』と同じ朝日ソノラマのシリーズから出ていたものなのだが(当時の自分は友人から借りて読んだ)、実はこれ、かつては『蜃気楼博士』以上に古書市場ではレアものだったらしい。なるほど『蜃気楼博士』は取り敢えずプレミア付きの古書を見つけたことはあったが、そういえば『妖怪紳士』の方は見かけることすらなかったもんな。

この2005年に出たシリーズのおかげで、こちらもありがたく入手できたことになった。こちらはミステリではなく怪奇小説の部類なんだろうが、怖いというよりも冒険小説的。勇敢な少年が善良な妖怪と手を組んで、日本を征服しようとする邪悪な妖怪たちを次々に倒していく‥‥といった、まあ、よくありがちなお話だが、これがまた面白いんだな。『蜃気楼博士』ほどの出来ではないと思うが、しかし懐かしの一冊ではあった。