それは、ある時、本当にある日突然でした。

お母さんは毎日、夜に祖母に電話しているのがルーティンなのですが、私がTVを見ていると母が突然泣き出したんです。滅多に泣かない母、何かあったの?と声をかけたら。


 「お父さんが癌になった」


涙を流し、震えた声でそう言いました。そう、私のおじいちゃんが癌になってしまったそうなんです。

その言葉に私は「え?」その一言だけしか言えませんでした、おじいちゃんは優しくて大好きで、ほんとーに大大大好きだった。いつかそういう日が来るとは私も覚悟していました、だけど"いつか"だと思って、余りにもタイミングが悪すぎて現実に押し潰されそうでした。

 姉も母も泣いていて、だけど私泣かなかったんですだって、現実感がなかったから夢の中にいるようなそんな感覚でした。

 そして私はまだ知りませんでした、この最悪のタイミングのせいで地獄の日々が始まっていくことを。