時は江戸時代、天保。老中水野忠邦によって、質素・倹約を旨とする天保の改革がなされていた時代。
舞台は吉原の小見世山田屋。
そこで春をひさぐ花魁達を描いた群像劇です。
群像劇といっても、互いに独立した話ではなく、合縁奇縁で寄り集った花魁をそれぞれの角度から描いていて、それぞれの物語が合わさって一遍の長編物語になっています。
著者30歳の若さで書いたとは思えないほど心理描写・情景描写が濃密で、味わい深い一冊でした。
自由を奪われ、その身を切り売りするしかない女達。
吉原に通い詰める男たちの宿業。
そして、間夫が許されぬ身だからこそ燃え上がる男女の逢瀬。
けれど、悲劇や心中ばかりが描かれているわけではありません。
女達の力強く、たくましく生き抜く様。
同業者達の絆と縁。
それらが強く胸を打つのは、やはり登場する人物達が生き生きと描かれているからでしょう。
一人一人が実在の人物だったかのようなリアリティがあり、引き込まれて読みました。
特に物語中盤の主人公である三津の生きざまに心打たれました。
命がけの愛と性のドラマ。
男女ともにお勧めの一冊です。
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