第47回 岸田演説はアメリカが書いた? SELF-DOUBT 「自己疑念」への疑念(令和6年5月23日)

 

【前半】ウクライナ支援金を日本が肩代わりか?

    岸田総理の米議会演説は

    アメリカが書いた?(山口敬之氏)

    SELF-DOUBT「自己疑念」への疑念

【後半】世界の社説でself-doubtをチェック

 

■□- - 疑惑の岸田総理・米議会演説 - -□■

 

 去る4月11日、訪米した岸田総理が議会で演説をした。

 この演説に疑問を投げかけたのがジャーナリストの山口敬之氏

「岸田9兆円対米密約を巡る情報戦と、売国大量移民政策」

  https://www.youtube.com/watch?v=OCPb4rgjJLo

 原稿はアメリカが書いたのではないか?

 本当なら何のために?

 興味深かったので、氏の説明を辿ってみた。

 

◆疑問点

 米のウクライナへの軍事支援金を日本が肩代わりするという約束を岸田政権がしたのではないか。

 時系列で岸田政権と米要人の言動を追うと、疑問が浮かび上がる。

 演説の中にもそのことが表れていて、さらにはアメリカ(バイデン側)が原稿を書いたという疑惑も浮かぶ。

 

◆ウクライナ支援反対のトランプが急転、賛成へ

・バイデンは去年9.4兆円という支援パッケージ案を出した。

・トランプは国民の税金は国境警備などに使うべきと強硬

二人が折り合う見込みはなかった

・当然、予算案は共和党により否決

しかし、急転、予算案は通ることになる

 

・山口氏の動画で示された経緯

山口、経緯

 

・以下は、経緯の解説

2月10日 ★予算案否決

4月11日 岸田議会演説+岸田vsジョンソン会談(1対1)

    (共和党下院議長でトランプの子飼い)

     <岸田総理からジョンソンへ説明したと推測>

4月13日 ジョンソンはフロリダに飛びトランプと会談

    ★トランプが「融資」なら認めると立場を急変

<トランプも日本の肩代わりを知ってOKしたのではないか>

 

4月14日 山口氏に共和党関係者からの電話

     「日本がアメリカのウクライナ支援を肩代わりす  

     るのは本当か?」

4月16日 ★「極秘」日米財務相会談

       (事前発表なしは異例)

     終了後に発表

      (鈴木財務相イエレン米財務長官)  

     <ここで日本の肩代わりの話があったと推測>

4月19日 ★下院で予算採択へ

      <イエレンの根回しがあったと推測>

4月20日 予算成立

 

< 大蔵省OBの高橋洋一氏も、Xで推論を述べている。>

高橋洋一x

◆岸田総理の米議会演説(フル動画Youtube)

https://www.youtube.com/watch?v=E11f_ZT0h8k

 CBS NEWS  Japanese Prime Minister Fumio Kishida addresses joint meeting of Congress | full video

 

【演説内容】外務省のHPから引用(URLは後に記載)

 

冒頭

 「ありがとうございます。日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません。」(拍手)

 

 このジョークが大いに受けたことを日本のメディアが伝えていたし、国会で野党がいやみを言っていたが、それはどうでもよい。

 大事な部分は、これ以降の内容なのだ。

 

★-------- 日米の一体感を、しつこく強調 ----------★

 

 「皆様、米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。

 私は、これを米国への強い愛着から述べているのではありません。私は理想主義者であると同時に、現実主義者です。自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です。

 日本国民は、これらの価値に完全にコミットしています。人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が 否定された社会、デジタル技術で 毎日が監視下にある社会を、私は我々の子供たちに残したくありません。

 皆様も同じく感じておられますよね。これらの価値を守ることは、日米両国、そして世界中の未来世代のための大義であり、利益でもあるのです。

 「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。

 共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、なすべきことをする、その準備はできています。

 世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。

 皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。

 米国は独りではありません。

 日本は米国と共にあります。

 

 読んで「くどい」と感じたのは私だけではないだろう。

 日米の連携や一体感を言うだけなら、こんなに何度も強調する必要があるだろうか。

 まるで、日本はアメリカのポチだと言わんばかりではないか。

 もし、ウクライナ支援金の肩代わりをさせられたのが本当なら、この演説でそれを言わされたと考えれば、納得できる気がする。

 山口氏もそのように推測していた。

 

★-------- 不可解な発言と言葉遣い ----------★

 

演説の第2章の最後の辺りから引用する。

 

1.self-doubt 「自己疑念」への疑念

 

 「米国は、自由こそが人類にとっての酸素 のようなもの だと信じていました。」(拍手)

 

 「この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。」(拍手)

 

 And yet, as we meet here today, I detect an undercurrent of self-doubt among some Americans about what your role in the world should be.

 「しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。」(拍手なし)

《《 Youtubeの動画では、23:36 辺りからself-doubt を含むセンテンスに入る。》》

 

 章の最後のセンテンスで、キリの良い箇所なのだが、まったく拍手がない。

 岸田さんは急ぐように次の章に入る。

 

 This self-doubt is arising at a time when our world is at history’s turning point. The post-Cold War era is already behind us, and we are now at an inflection point that will define the next stage of human history.

 「この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます。」(ここでも、まったく拍手なし

 

 この部分、山口氏は、「自己疑念」を持っている米国国民とは共和党のことであり、日本の総理が米国内の対立に触れるなどということは、普通は有り得ないと指摘している。

 

 同感だ。

 相手国の揉めている部分に触れるなんて、民間企業だってそうだ。

 大事な挨拶で相手の傷口に触るか?

 国家同士じゃ、国際問題になりかねない。

 非常に不可解な発言だと思う。

 

 聞かされた共和党員は、いや、民主党員だってギョッとしたのではないか。

 だからだろう、self-doubtが使われた2つのセンテンスでは、まったく拍手が起きなかった

 この場面、山口氏によると、ジョンソン議長はしかめっ面をしたらしい

 

 これは、共和党を批判するためだと考えると納得がいく。

しかし、日本の外務省がそんな原稿を書けるはずもない。

書いたのはアメリカで、バイデン政権(民主党)側だと考えれば素直だし、それ以外には考えにくいだろう。

 

 そして、山口氏はself-doubtに注目。

 この用語を使うことが不可解。

 私の英語社説のデータベース(2万件以上)を検索しても12件しかヒットせず、かなり出現頻度が少ない言葉だと思われる。

 そして日本語だが、山口氏も指摘されているように「自己疑念」という日本語も見慣れない表現だと思う。

 邦文を先に作ったとしたら、わざわざ「自己疑念」という言葉を使うだろうか。

 英文が先だとしても、外務省がそんな表現を使う理由が不明だし、当てた訳語も疑問。

 英語の専門家ではないが、不思議に思う。

 

2.自衛隊員 service members

 

 もう一つだけ、自分で気になった英語表現を挙げる。

 

 Right now, Japanese and U.S. service members are working side by side to deter aggression and ensure peace.

「今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。」

 

 service members は、兵士、軍人と訳されることが多い。一方、日本の自衛隊員は、自衛隊員倫理法をJapanese Law Translationで見ると、self-defense forces personnelと訳されていて、実際にもこれが使われることが多いようである。しかし、米軍が書く時にはservice members が使われることがある。

 

(例)米軍岩国基地の海兵隊HP

 自衛隊員のことをJAPANESE SERVICE MENBERSと書いてある。

https://www.mcasiwakuni.marines.mil/Iwakuni-News/News-Stories/News-Article-Display/Article/697090/japanese-service-members-enhance-english-skills-with-marines/

(試訳)日本の自衛隊員が海兵隊員とともに英語スキルを向上

 

 まあ、私が知らないだけで普通に使われる表現なのかもしれないし、アメリカでの演説だからかも知れない。しかし、もしアメリカ側が原稿を書いたとしたら、この表現はごく自然なのだろう。

 

◆岸田演説全文(英和)いずれも外務省のHPより

(邦文)米国連邦議会上下両院合同会議における岸田総理大臣の演説

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652739.pdf

 

(英文)Address to a Joint Meeting of the U.S. Congress KISHIDA Fumio, Prime Minister of Japan For the Future: Our Global Partnership

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100652738.pdf

 

 

■□- - 世界の社説でself-doubtをチェック - -□■

 

 データベースでヒットした12件のうち2件だけ引用する。

 

◆フィナンシャルタイムズ社説 2013年4月8日

  The lasting legacy of Mrs Thatcher  サッチャー氏の遺産

 

 Three decades on, it is difficult to recall the dire state of Britain in 1979 when she took office. The winter of discontent and rising inflation had raised questions about the governability of the UK. Abroad, the Soviet Union cast a menacing shadow across the world. The west seemed enfeebled and trapped in self-doubt. Her transatlantic conservative double act with President Ronald Reagan helped reverse the tide as they liberalised at home and pursued peace through strength abroad.

 30年経った今、彼女が首相に就任した1979年当時の英国の悲惨な状況を思い出すのは難しい。不満の冬とインフレの高まりは、英国の統治能力に疑問を呼び起こした。海外では、ソ連の脅威が世界中に影を落としていた。西側諸国は衰弱し、自信喪失に陥っているように見えた。ロナルド・レーガン大統領との大西洋を越えた保守的な共同行動は、国内では自由化を推進し、国外では力による平和を通じて潮流を変えるのに役立った。

(参考)at home 自国で、国内で

 

< レーガン、サッチャーの時代は米ソの冷戦中で、西側諸国は自信を喪失していたと社説は書くが、今から40年前の日本経済はまだ順調だった。しかし、その後デフレに陥った日本は、失われた30年を歩み、自信を失いつつある。>

 

ストレーツタイムズ(シンガポール)社説 2000年6月27日

 Warning for LDP (日本の)自民党への警告

 

 THE ruling Liberal Democratic Party did not win over the Japanese voters in Sunday's election to the Lower House; rather, the mandate to govern was renewed most grudgingly. Most telling was the implied rebuke that the grand old party would have been in worse shape had the main opposition, the Democratic Party of Japan (DPJ), offered a cogent governing alternative aside from cutting the national debt by reducing state spending on public works. For all their inchoate programme, the Democrats still raised their representation by a third, from 95 in the old 500-seat House to 127 in the reduced 480-seat House. This did not look like a mere protest against the LDP. It was being put on notice that it had to do a better job of managing the fitful economic recovery and, more importantly, raise the morale of a people trapped in self-doubt and resentment over their unsettled lives and declining fortunes. In short, exercise leadership.

 日曜日に行われた衆議院議員選挙で、与党自民党は有権者の支持を得ることはできなかった。最も印象的だったのは、主要野党である民主党が、公共事業への国家支出を削減することで国債を減らす以外に、説得力のある政権交代案を提示していたら、自民党はもっとひどい状態になっていただろう、という暗黙の非難だった。民主党は、その不完全なプログラムにもかかわらず、旧500議席の下院の95議席から480議席に縮小された下院の127議席へと、代表権を3分の1増やした。これは自民党に対する単なる抗議には見えなかった。自民党は、不安定な景気回復をうまく管理し、さらに重要なこととして、不安定な生活と衰退する運勢に対して自信喪失と憤慨に陥っている国民の士気を高めなければならない、と通告されたのだ。要するに、リーダーシップを発揮するのだ。

(参考)national debt 国債 inchoate 不完全な、初期段階の a mere ほんの、単なる fitful 不規則に変わる、不安定な

 

< これは、森喜朗総理の頃の記事だ。当時、野党も与党と一緒で公共事業を減らそうとしていた。デフレに突入していたから、政府がもっと国債を発行して公共事業などの投資を増やし、国内需要を強く牽引する必要があったのに、当時も今も、国債=借金だと誤解したままの政治家が多い。シンガポールから見た当時の日本人は自信喪失だったようだが、今はデフレに加えて円安も進み、日本は外国人に買われ続けている。>

 

◆まとめの斜説

 肩代わり疑惑は9.4兆円という巨額。

 日本がポチのように米に従う理由は何か?

 簡単に言えば、独自の核を持っていないからだ。

 米に頼るしかないと考える政治家が多いのだろう。

 岸田さんの核廃絶とは合わないが、

 自前の核武装で真の独立をしよう。

 平和を求める独立日本が持てば、

 強欲な連中も勝手はやりにくくなる。

 

では、今回はこの辺で。

 

(注)このブログの内容を使った結果について、管理人は一切の責任を負いませんので、自己責任でお願いします。