第42回 オバマ「イエス・ウィ・キャン」から「ノー・ウィ・キャント」へ (時事)(令和6年3月16日)

 

イエス・ウィ・キャン

 Yes, We Canは、

 オバマの大統領選のスローガンだった

 日本でも芸人ノッチが黒塗りで

 真似していたのを思い出す(笑)

 

◆オバマの前のブッシュ時代

 911テロの後は

 アフガンだイラクだと戦争だらけ

 きついテロ対策で社会はガタガタ

 そんな時、オバマは「やり直せる」と言った

 イエス・ウィ・キャン

 で、大統領になった

 

公約の一つが

 グアンタナモ収容所の廃止

 キューバの一角を借りた米軍基地だ

 テロの一味と疑われたイスラム系が

 どんどん収容された

 無実だと言ってもお構いなし!

 イスラム社会の反発も強かった

 

しかし、4年経っても

 オバマには廃止できなかった

 イスラム社会は厳しく批判

 廃止できないじゃないか

 何が Yes, We Can じゃあ!

 No, We Can’t だろうが!

 

◆そういう見出しの社説があった

 イスラムはサウジアラビアのArab News 紙である

 

2010年1月11日【 No, we can't 】我々にはできない!

 

 見出しに続いてWhatever happened to Obama's promise to shut Guantanamo Bay?

 (グアンタナモ収容所を閉鎖するというオバマの約束はどうなったのか?)ときた。

 

 そして、If there's one potent symbol of President Barack Obama's leadership failure, it's the Guantanamo Bay. (バラク・オバマ大統領のリーダーシップの失敗を象徴するものといえば、グアンタナモ収容所だろう。」と続く。

 

 The "Yes We Can" messiah had made the closure of the infamous US military prison one of his campaign promises.  (「イエス・ウィー・キャン」の救世主は、悪名高い米軍刑務所の閉鎖を選挙公約のひとつに掲げていた。)

 

 The first executive order Obama issued after entering the White House was on the closure of Gitmo within a year, signaling a defining departure from the shame of Bush years. (オバマのホワイトハウス入り後、最初に出した大統領令は、1年以内のグアンタナモ収容所閉鎖に関するもので、ブッシュ時代の恥ずべき年月からの決定的な脱却を示すものだった。)

 

< この社説には、次のようにアメリカのメディアが大多数の被収容者が無実と報じていることも書かれていて、イスラム社会の強い願いが窺われる。>

 

 America's own mainstream media, including the mighty New York Times and Washington Post, have run series of stories proving the innocence of the majority of detainees who just happened to be at the wrong place at the wrong time. 強力なニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙をはじめとするアメリカの主要メディアは、「間違った時」に「間違った場所」にいただけで、大多数の被拘禁者の無実を証明する一連の記事を掲載してきた。)

 

< mighty(強力な)という言葉を入れてメディアを持ち上げているが、ここにもイスラム社会の切実な気持ちが表れているように思える。>

 

< オバマ大統領は、論理的で演説もうまいと言われていたが、人情に欠けるという批判も少なくなかった。グアンタナモ収容所の閉鎖ができなかったことは、そのせいでもあるまいが、公約に掲げた彼の汚点にもなった。同社説は厳しい言葉で突く。>

 

 However, halfway into his presidency, Guantanamo Bay is far from shut and remains a source of shame for America.  (しかし、グアンタナモ収容所は閉鎖からほど遠く、米国にとって恥の源泉であり続けている。)

 

< source of shameを恥の源泉と訳したが、この表現は、私の社説データ集を探しても、今のところ5カ所しか見つかっていない。社説の数は、プロフィールで2万以上としてあるが、実際はその倍ほどありそうなので、かなり出現頻度が低いようだ。こんな表現まで使ったところにもイスラム社会の恨みの深さが表れたのか。>

 

< 社説の結びでも、次のように、繰り返し恥だ災厄だと書かれている。>

 

 The Guantanamo Bay - and all that it has come to represent - is a blot on America's image. If he gives in to the neocons on Gitmo, just as he has given in to Israel on settlements, he'll go down in history as a political disaster that was all hype and little hope. (グアンタナモ収容所は、そしてそれが象徴するものはすべてアメリカのイメージに泥を塗るものだ。もし彼が、入植地問題でイスラエルに屈したように、グアンタナモでもネオコンに屈すれば、彼は誇大宣伝ばかりで希望に乏しい政治的災厄として歴史に名を残すことになるだろう。)

 ・Gitmoはグアンタナモ米軍基地のこと

 

< なお、グアンタナモ収容所は、現在でもまだ閉鎖されていない。恥は深い。>

 

 

では、今回はこの辺で。

 

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