第41回 トランプよ、学校で習わなかったのか? Where was he in school? (時事)(令和6年3月8日)

 

【前半】「日本国憲法を作ったのはアメリカだ」とバイデン

    「日本に核武装させないためだ」とも

    それを「トランプは習わなかったのか」とあざわらう。

【後半】日本の核武装を期待するアメリカの社説

     We think Tokyo should have that power.

【余談1】日本国憲法は日本人が作ったというヨタ話

【余談2】ワシントンとニューヨークで違うポストとタイムズ

 

◆アメリカではトランプが連戦連勝。

 最近、トランプ氏の元気モリモリな映像が流れている。

 反してバイデン大統領は、歩き方でさえ、どうにも頼りない。

 しかし、昔はもっとずっと元気だったのだ。

 

2016年の夏だから、前回、トランプ氏が大統領になる前の選挙戦の頃のこと。

 当時の副大統領バイデンが演説でトランプを罵っている。

 

X(旧twitter)で西村幸祐氏がポストされた動画がある。

  https://twitter.com/i/status/1740066886623396200

 

 バイデンの声は今よりもずっと大きく、言葉も明瞭である。

 この動画では全く元気だ。

 

バイデンは何を叫んでいたのだろうか?

 

》》イギリスの有力紙インデペンデント(2016年8月15日付)

【Joe Biden: Donald Trump can’t be trusted with America's nuclear codes】

(バイデン:トランプにアメリカの核は任せられない)から引用しよう。

 

 "Does he not realise we wrote the Japanese constitution so they could not own a nuclear weapon? Where was he in school?" Mr Biden asked. "Someone who lacks this judgement cannot be trusted."

 「彼は、我々が核兵器を所有できないように日本国憲法を作ったことを知らないのか?」「彼は学校で習わなかったのか?」と バイデン氏は尋ねた。

「こんな判断力のない人は信用されない。」

 

 どうやら、アメリカが日本の憲法を作ったことをバイデンは学校で習ったらしい?

 

 Where was he in school? は、直訳すれば「彼は学校でどこにいたのか?」だ。

 上記Xの日本語訳は「学校で何を習ったのか?」だけれども、私は「学校で習わなかったのか?」にしました。

 

》》インド紙Hindu (8月18日付)の見出しは直球だった。

【Biden says U.S. wrote Japan’s Constitution】

「バイデンは言った、アメリカが日本の憲法を書いた」

 

》》AP通信(8月18日付)【Biden’s remark on Japan Constitution raises eyebrows】

「バイデンの日本国憲法に関する発言に眉をひそめる」でも、次のように書かれている。

 

 It’s no secret that U.S. forces occupying Japan after World War II drafted the constitution, though Japanese scholars were involved in reviewing and modifying it before adoption.

 第二次世界大戦後、日本を占領していたアメリカ軍が憲法を起草したことは秘密ではないが、日本の学者も憲法制定前の見直しや修正に関与している。

 

 ここで日本人が関与していると書かれているが、これについては後で触れる。

 

》》もう一つ、8月17日付WSJウォール・ストリート・ジャーナルは、他紙とは異なることに重点を置いていて、トランプの主張についても取り上げているので紹介する。ただし、有料版なので一部しか読めない(笑)。

 

【Biden Gets Japan’s Attention With Nuclear Remark】

 Vice president’s remark that Japan’s constitution doesn’t allow nuclear weapons strikes some as blunt

 「バイデン氏、核発言で日本の注目を集める」

 「日本の憲法は核兵器を認めていない」という副大統領の発言は一部では鈍感だと受け止められている

 

 この見出しは、アメリカが日本国憲法を作ったことを否定はしていないが、認めてもいない。そして、同紙の関心は日本の核武装にある。

 

 Mr. Trump has suggested in interviews that if Japan refuses to pay more to support the U.S. military presence in East Asia, it might have to defend itself without U.S. help — perhaps even by acquiring its own nuclear weapons.

トランプ氏はインタビューで、もし日本が東アジアにおける米軍駐留経費の増額を拒否した場合、米国の支援なしに自衛する必要があるかもしれない、場合によっては自前の核兵器を保有することすら考えるかもしれないと示唆している。

 

 ここでトランプは、アメリカが日本防衛から手を引いた時に、日本が自衛のために核武装することを否定していないのである

 

◆大きなことを言うようだが、私自身は、日本が自前で核武装することで日本の安全は飛躍的に高まるし、世界でもトップクラスに平和志向の強い日本が核武装で主権を取り戻すならば、インド・太平洋の安全も高まるだろうと思っている。そして、その方がアメリカの真の国益にも適うはずだと思う。

 上の意味で、トランプ氏が大統領に復権することは日本と世界の平和にとって大きな転機になるのではないだろうか。

 

 

【【さて、後半である】】

驚いたことに、アメリカの新聞で日本の核武装を期待する社説があるのだ。

 2003年5月27日付のワシントン・タイムズ社説の一部を引用しつつ、私の「斜説」(笑)も挟んでみる。

 見出しは

【Relaunching the Rising Sun】(旭日を再び)

 

 この社説の前週に、ブッシュ大統領は小泉首相を牧場へ招待した。

 この頃は、北朝鮮がミサイルをぶっ放して核への野望を露わにしていた。ブッシュ、小泉の北朝鮮やイラクでの戦争に対する見解は一致していたらしい。

 

●On military affairs, Japan's biggest problem is that its usefulness in Asia is limited by an outdated pacifist constitution. The increasingly belligerent stance of Pyongyang singlehandedly has re-awakened efforts to change the Japanese military posture.

 軍事面での日本の最大の問題は、時代遅れの平和憲法によってアジアにおける日本の有用性が制限されていることである。北朝鮮が単独でますます好戦的な姿勢を強めていることにより、日本の軍事姿勢を変えようとする意欲が再び目覚めた。

 

< 北朝鮮があまりに危ないので、日本人も軍事に目覚めて来たという状況。>

 

●After North Korea fired rockets over and toward Japan, kidnapped some of its citizens and invaded national waters, the Japanese people are less comfortable leaving defense in the hands of a third party, the United States, which might not always have the will to go to war to defend them.

 北朝鮮が日本上空や日本に向けてロケット弾を発射し、国民の一部を拉致し、領海を侵犯して以来、日本人は、国防を第三者、すなわち、米国に任せておくことが安心できなくなった。米国にしたって、日本を守るために戦う意志を常に持っているとは限らないかも知れないからである。

 

 < 特に、核を持っている相手とアメリカが戦うとは思えない。ウクライナを見れば明らかで、バイデンは事前にアメリカは兵を出さないと宣言していたくらいだ。日本人は、戦後の経緯と理由はあるが、アメリカを信用し過ぎていたのだ。 >

 

●Under their 1947 constitution crafted by Washington, Tokyo "forever renounced" the use of force to settle disputes.

 米国が1947年に制定した憲法の下で、日本は紛争解決のための武力行使を 「永久に放棄」 した。

 

< 昭和22年、日本国憲法はアメリカによって制定された。これは、探せばあちこちに資料や証言の残っている事実である。核のことは書いてないが、バイデンのいうとおり、アメリカが作ったことは確かなのである。日本のあまりの強さに恐れをなして、抑え込もうとしたのである。それを知らされなかったのは、日本の一般国民だけであった。当時の共産党も反対したくらい、日本の安全にとって有害な代物である。 >

 

●Such a prohibition is no longer practical.

 そのような禁止令はもはや現実的ではない。

 

 < 朝鮮戦争が始まってすぐに、アメリカは間違いに気がついたが、当時の日本は憲法改正を断った。また、ベトナム戦争時代にニクソンがやはり口説いたらしいが、この時も日本は断ったと伝わる。しかし、この憲法が現実的でないことは確かである。 >

 

●Not only would offensive capability deter North Korea, the potential for a reinvigorated and even nuclear-armed Japan would provide strong motivation for China to make greater efforts to play a constructive role in pressuring North Korea to halt its nuclear program.

 攻撃力は北朝鮮に対する抑止力になるが、そればかりでなく、日本が再度活性化して核武装するかも知れないと思わせるならば、北朝鮮の核計画中止という圧力を掛ける上で、中国にもっと真剣な努力と建設的な役割を演じるための強い動機を与えるだろう。

 

 < これは大切なことを突いている。日本が自前で核武装すると思わせるだけで、北朝鮮だけでなく、中国もビビって協力すると言っているのだ。そのとおりだと思う。>

 

A nuclear Japan also could be useful to check Chinese hegemony across Asia.

 核武装した日本はまた、アジア全域で中国の覇権主義を抑制するためにも有効だろう。

 

 < これもそのとおりだろう。中国は騒いで脅しもかけてくるだろうが、アメリカと共同して核武装してしまえば、日本による軍事的な均衡によってアジアはずっと平和になるだろう。問題はアメリカが邪魔しないことなのだ。 

 

●Constitutional change is in the air in Tokyo.

 日本では、憲法改正の空気が漂っている(機運が高まっている)。

 

< 当時は、憲法改正が検討されていたと記憶する。 >

 

●For decades after the nation's defeat and destruction in World War II, Japanese public opinion was overwhelmingly opposed to remilitarization as a safeguard against disaster. The need for global nuclear disarmament was an infallible doctrine to the Japanese, the only people ever hit with nuclear weapons. Both positions are crumbling.

 第二次世界大戦の敗戦と破壊から数十年、日本の世論は災厄防止の安全弁としての再軍備に圧倒的に反対だった。世界的な核軍縮の必要性は、唯一の被爆国である日本人にとって揺るぎない原則だった。その両方の立場が崩れつつある。

 

< 世論調査で、65%の日本人が攻撃抑止のためには軍事力を使うことに賛成で、75%が北朝鮮は脅威だと考えていることが紹介されている。また、衆議院では、2週間前に、攻撃的軍事力への道を開く3つの法案を可決し、参議院は6月19日までに、その法律制定のための決議を行う予定であることも挙げている。>

 

●There is fear in Asia over the dangers of letting the Japanese military genie out of the bottle. Memories are long, and the lore of Imperial Japan's brutality is part of modern history in most places in the region.

 

 アジアには、日本軍の魔人の入った瓶を開けてしまう危険性についての恐れがある。記憶は簡単に消えるものではない。日本帝国主義の残虐性についての伝説は地域の多くで現代史の一部になっている。

 

 < 欧米人が便利に使う「アジア」とは、実際には朝鮮半島と中国、そして華僑だけだ。白人の植民地にされていた頃、アジア人がどれほど悲惨な目にあったか、その証言や証拠は数知れない。残虐はどっちなのかハッキリしている。日本は、いったんは白人をコテンパンにして追い出した。しかし結局、日本は多勢に無勢で敗れたが、アジアは次々と独立し、その波はアフリカにも届いた。その大きな流れは忘れてはならない。日本軍を魔人と感じたのは、アジアではなく白人だったろう。魔法の憲法で封じ込めたくなる気持ちは分かる。 

 

●The fact, however, is that Japan is a changed country.

 しかしながら、事実は、日本という国は以前とは変わったということである。

 

<よく言う。戦前、日本が平和を望んで譲歩に譲歩を重ねたことを知ってるくせに。>

 

●Now a pro-American capitalist democracy, its foreign aid is the highest in the world. But its geopolitical usefulness should be more than doling out cash.

 現在は、親米資本主義民主主義国家であり、対外援助額は世界一となっている。 しかし、その地政学的な有用性は現金を配布する以上のものであるはずだ

 

 < 「現金を配布する以上のもの」の部分だが、世界日報紙の訳では<分担金拠出国としての重要性>とされている。ずいぶん気を遣った言葉遣いだ。しかし、実際、アメリカは日本のことをキャッシュを吐き出すATMくらいにしか思っていない。彼らのやり口を見ているとそうとしか思えない。なので、そのまま現金配布と訳しておきました。しかし、日本が必要十分な軍備を持てば、彼らの態度はコロリと変わるだろう。 >

 

●Japan's natural role is to guarantee a balance of power in Asia. It can only do that if its neighbors fear offensive projection of military force.

 日本の当然の役割は、アジアの力の均衡を保証することである。それは、近隣諸国が軍事力の攻撃的潜在能力を恐れて初めて可能である。

 

< これは、そのとおり。近隣諸国を明記すれば、中国、ロシア、北朝鮮だが、反日教育やレーダー照射事件を考えれば、韓国も入れていい。 >

 

We think Tokyo should have that power.

 われわれは、日本はそのような力を持つべきだと考える。

 

< 日本の自前の核武装は、核アレルギーの方は嫌がるでしょうが、結果として日本とアジア、ひいては世界の安全を高めることになると確信しています。 >

 

< このように、アメリカの新聞にも日本の核武装を期待する社説がある。ワシントン・タイムズは、どちらかというと、いわゆる「ジャパン・ハンドラー」の一部だと思うが、現実を見て、日本が核武装して独立することがアメリカの国益に適うと気づいた勢力もいるということである。政府や政治家は、そういう人たちと手を結んで欲しい。>

 

【余談1】日本国憲法は日本人が作ったというヨタ話

 

 国内外では「日本国憲法は、日本人の学者も関与したし日本の国会で可決されたから、日本人が自分で作ったということだ」というような主張する人たちがいる。先のAP通信の記事でも、「多くの日本人は、日本を平和と繁栄に導いた戦後憲法を受け入れるようになったが、一部の保守派は、戦争勝者によって日本に押し付けられたとする文書に長年憤慨してきた。」というようなことを書いている。

 

 よく言う、と思う。

 

 まず、GHQが日本国憲法を書いたことは、当時もその後も長く一般の日本人には知らされなかったそのことをメディアは国民に知らせるべきだろう。

 

 そして、GHQ(占領軍)は、自分たちに都合の悪い日本人を「公職追放」した

 仕事を奪うことで日本人を脅迫したのである。

 逆らえば、戦犯にされ死刑になったかも知れない。

 議員、政府職員、学者、教師、言論人、経営者などなど、  まともな日本人が全国で20万人以上も仕事を奪われ、やむを得ず連中の言いなりになってしまった。

 こうして主権が奪われ、日本政府も国会もGHQという支配者の下にあったのだ。

 主権がないから、GHQの気に入らない「関与」などできるはずもなかった。

 ヤクザに脅されてハンコを押した契約書が有効だろうか?

 主権のない状況で作った憲法は無効だという意見が出るのは当然だろう。

 日本人が自分で作ったなどと言う人は、誰かに脅されたり、脅す側に忖度してはいないか?

 

【余談2】ワシントンとニューヨークで違うポストとタイムズ

 

 ワシントンには、民主党寄りのワシントン・ポスト紙と、共和党寄りのワシントン・タイムズ紙がある。また、ニューヨークには、民主党寄りのニューヨーク・タイムズ紙と共和党寄りのニューヨーク・ポスト紙がある。

ワシントンとニューヨークで、タイムズとポストの立場が反対なのが面白い(笑)

 ちなみに、ワシントン・タイムズ紙はスクープ記事もけっこうあって、以前は日本でもNHKを始めとして引用していたが、最近は見当たらないのはなぜか。日本の旧来メディアの政治的フィルターのせいかも知れないと思う今日この頃です(笑)。

 

では、今回はこの辺で。

 

(注)このブログの内容を使った結果について、管理人は一切の責任を負いませんので、自己責任でお願いします。