31回 ブラック・アンド・ホワイト、久しぶりのウイスキー(令和5720日)

 

 先日、旅先で久しぶりにウイスキーを飲んだ。BARとスナックの間くらいの良い感じの店だ。同行者のボトルはニッカの「宮城峡」、初めて飲んだが、水割りの流れが喉に心地良くて、お代わりを続けてしまった。飲みながら、棚に並んだいろんなウイスキーボトルを見ていてフト思い出したことがある。

 今は亡きサミーデイビスJrが出ていたサントリーウイスキーのCM。

 ティン、カン、コン、ティンコン、カカンカコン・?・とか言ってリズムを刻むやつ。

 あれである。

 

サミー

 

 あれとは、サントリー・ホワイトという安い部類に入るウイスキーのことで、オールドファンならお分かりだと思うが、オールドではなくホワイトである(笑)

 

 黒人が白を宣伝するブラック・アンド・ホワイトという組み合わせ。なかなかカッコイイと思ったと同時に、アメリカ国内だったらどうだったのだろうかと想像した。そのことを口に出したら、同行者が、サミーデイビスは「俺にホワイトと言わせるのか」と言ったのだそうな。本当かどうかは知らないが、まだ黒人差別がけっこうあった頃だろうから、さもありなんと思った。

 

 それで、black-and-white で社説のデータベースを検索してみたところ、いくつも出てくるではないか。ついでに、black-and- でも引いてみた。「ブラック・アンド・何とか」で何が出てくるかという検索である。

 

◆まずは、2004年6月7日付のニューヨークタイムズから、black-and-white。

 

 ロナルド・レーガン元大統領が亡くなった直後の社説だ。タイトルも「Ronald Reagan」。同大統領が当選した時代、ニューヨークタイムズ紙には、どうやら大統領制度と国家そのものが大きな暗雲の下で働いているように見えたとのことである。その時に、ある人物が言ったセリフの一部にこれがあった。

 

 Today, we live in an era defined by that particular kind of simplicity, which expresses itself in semi-detached leadership and a black-and-white view of the world. Gray is beginning to look a lot more attractive.

 今日、私たちは、特定の種類の単純さによって定義される時代に生きており、それは、半ば孤立したリーダーシップと白か黒かの世界観で表現されています。 グレーがより魅力的に見え始めています。

 

ドラマなどで「イエスかノーで答えろ!」などという場面をたまに見るが、元より、この世は単純に白黒に分けられるものでもない。アメリカよりも、日本のように歴史の長い国の国民の方が、グレーというか、もっと複雑な世界観を持っているのではないだろうかと思う。

 

◆もう一つ、世界観の社説。2002年9月5日 クリスチャン・サイエンス・モニター(米国)タイトルは、Successes and failures, post-Sept. 11 (911後の成功と失敗)。これもblack-and-whiteだ。

 

 The Bush administration has been slow to recognize this. "Either you are with us, or you are with the terrorists," the president proclaimed in September 2001, sounding like John Foster Dulles during the cold war. This is a black-and-white view of the world, and the world is not like that.

 ブッシュ政権はこのことを認識するのが遅かった。大統領は2001年9月、冷戦時代のジョン・フォスター・ダレスのような口調で、「あなたたちは我々の味方か、それともテロリストの味方か、どちらかだ」と宣言した。これは白か黒かの世界観であり、世界はそんなものではないのだ。

 

あの頃、911の衝撃で、アメリカは一種の狂気に陥っていたのかも知れないし、それを利用して国家統制を一気に強化したという意見もある。いわゆるショックドクトリンだが、日本でもこの政策は時々使われていると個人的には思いますな。そのことを別の機会に書いてみたい気もする。

 

◆3つ目、「ブラック・アンド・何とか」で引いたら「黄色」が出て来たが、商店街のくじ引きではない(笑)black-and-yellow である。

 2002年5月13日 ニューヨークタイムズで、The Bermuda Tax Triangle バーミューダ・タックス・トライアングル。題名からして何だか怪しい内容を想像させるが、共同通信の海外論説速報は、このタイトルを「税金逃れの企業移転」としていた。

 

 Stanley Works ought to change its name to Stanley Flees. The maker of distinctive black-and-yellow tools that for 159 years has made its home in New Britain, Conn., is planning to reincorporate in Bermuda in order to stiff Uncle Sam.

 「スタンレー・ワークス」は「スタンレー・フリース」に社名を変えるべきだ。159年間、コネチカット州ニューブリテンに本拠地を構えてきた黒と黄色が特徴的な工具メーカーは、アンクル・サムをこらしめるため、バミューダでの法人化を計画している。

 

《 社説全体を読んでみたが、black-and-yellowには「黒と黄色」以外の意味はない。しかし、この一節には私の好きなダジャレというか、言葉遊びがある。社名のWorksをFleesに変えろというのは、長年真面目に働いてきたworks会社が租税回避のような逃げfleesを打つとは何事かということを、この社説は対照的なニュアンスを持つ2つの言葉を使って強調しているのではないか。つまり、上手いことを言っているのである。 》

 

 他にもblack-and-gold なんていう福引の大当たりみたいなやつがあった。ただ、内容はNASAの打ち上げる衛星の色が、単に黒と金色だということだけだったので、取り上げるのは中止にした。

 

 最近は、飲む機会が続いたのと図書の電子化、いわゆる「自炊」(笑)、作業が忙しくてブログは後回しになっていたが、現在、東北新幹線の中で作成中。

 トンネルが続くせいか、ネットの接続がブツブツと切れる。うまくアップできるだろうか。できた!(笑)

(ほとんど揺れないし、前後の座席の間隔が広く、背もたれを倒されてもほとんど気にならない。新幹線は素晴らしい。また乗ろう。)

おっとっと!!

 

では、今回はこの辺で。

 

(注)このブログの内容を使った結果について、管理人は一切の責任を負いませんので、自己責任でお願いします。