29回 民間軍事会社は「トリガーハッピー」!(令和579日)

今日は暑かった!

 先日、ロシアで一瞬ですが、クーデターかと思わせる「反乱」があったのはご存じのとおりです。これは、ワグネル・グループという民間軍事会社トップのプリゴジン氏が起こしたものですが、彼は現在、行方不明ということです。プーチン大統領が後始末をどうするのか注目されています。ワグネルはクライナ戦争で力を発揮する一方で残虐行為もしているようです。また、アフリカでロシアの利益に絡む国々にも配置されているようです。

 ワグネルはウクライナ戦争で一気にその名を広めましたが、民間軍事会社ということでは、筆者は「ブラックウォーター」という名前を思い出します

 

この名前は、イラク戦争(2003年~2011年)の時に有名になったアメリカの民間軍事会社のものです。Wikipediaによると「1997年にアメリカ海軍特殊部隊SEALsを退役したエリック・プリンスにより、ブラックウォーターUSAとして創設された。イラク戦争で巨額の収益を得た。」ということですが、バグダッドのニスール広場でイラク市民を銃撃し、17人を殺害、20人を負傷させた事件で評判を落とし、その後は他の会社に買収されたと報じられました。

 

◆そこで、イラク戦争当時にサウジ・アラビアの新聞が書いたブラックウォーターに関する社説を紹介することにします。

 

20071010 アラブ・ニュース(サウジアラビア)

Blackwater Goons 】(ブラックウォーターの傭兵たち)

 

(参考)goon (ロングマン現代英英辞典第三版) especially American English - a violent criminal that is paid to frighten or attack people 特にアメリカ英語...... 金をもらって人を脅したり襲ったりする凶悪犯罪者

 

●PERHAPS George Bush should read Niccolo Machiavelli’s “The Prince” to learn why using mercenaries in war is a bad idea. Over 500 years ago the Italian writer described mercenaries as “disunited, ambitious, insubordinate, treacherous ... useless and dangerous”. Indeed, the official Iraqi report into the slaying of 17 innocent civilians by Blackwater mercenaries guarding a US diplomatic convey moving through the crowded streets of Baghdad seems to justify Machiavelli’s disdain for private military operatives. The Blackwater men opened fire in Nisoor Square and again at an intersection two blocks away without even a stone being thrown.

 おそらくジョージ・ブッシュはニッコロ・マキャベリの『君主論』を読んで、なぜ戦争で傭兵を使うことが悪い考えなのかを学ぶべきだろう。00年以上前、このイタリアの作家は、傭兵を「バラバラで、野心的で、反抗的で、裏切り者で...役立たずで、危険だ」と評した。実際、バグダッドの混雑した街路を移動中の米外交官輸送車を護衛するブラックウォーター傭兵による17人の無実の民間人殺害に関するイラクの公式報告書は、民間軍事工作員に対するマキャベリの軽蔑を正当化しているようだ。 ブラックウォーターの男たちはニソール広場で発砲し、さらに2ブロック離れた交差点でも、石すら投げつけられないまま発砲した。

 

アラブニュース紙のサウジアラビアは、イラク戦争当時アメリカと強い同盟関係にありましたが、民間軍事会社の所業には腹が立っていたようです。

 

●The Iraqis are demanding the suspects be brought before Iraqi courts. They have also now told the Bush administration that the State Department must cease using Blackwater within six months. It has further emerged its license to operate in Iraq actually ran out last year and no renewal was sought. It is therefore arguable its men do not enjoy the controversial immunity the US unilaterally dictated. These men must be tried, the facts established and those found guilty punished. If the Americans refuse to prosecute the Blackwater operatives in America or hand them over to the Iraqi courts, the next step could be to bring a prosecution at the court of last resort, the International Criminal Court at The Hague. Unfortunately, Iraq is not one of the 104 signatories to the Rome Statue that brought the court into existence. Nor is America.

 イラク側は容疑者をイラクの裁判所に連行するよう要求している。彼らはまた、ブッシュ政権に対し、国務省は6か月以内にブラックウォーターの使用を中止しなければならないと伝えた。さらに、イラクでの活動許可が実際には昨年失効し、更新が求められていなかったことが明らかになった。したがって、アメリカが一方的に決めた論争の的となる免責特権を、その国の男性たちは享受していないと主張することもできる。これらの人々は裁判にかけられ、事実が立証され、有罪とされた者は処罰されなければならない。もしアメリカ人がアメリカ国内のブラックウォーター工作員の訴追やイラク裁判所への引き渡しを拒否した場合、次のステップは最後の手段であるハーグの国際刑事裁判所で訴追を行う可能性がある。 残念なことに、イラクはこの裁判所を設立したローマ憲章の104カ国の調印国のひとつではない。アメリカもそうだ。

 

《 筆者がざっと調べた限りでは、アメリカの軍事会社の「犯罪」は訴訟になったが、その判決は判然としませんでした。参考までにChatGPTに聞いてみたところ(笑)次の答えが返ってきました。「ブラックウォーターの事件に関しては法的な裁判での結論が出る前に、様々な法的な問題や証拠の取り扱い上の困難などが生じたため、事件のすべての責任を明確にすることは難しかったです。また、後の政治的な変化により、一部の事件に関する訴追が取り下げられるなどの影響もありました。総じて言えることは、ブラックウォーター(アカデミー)による一般イラク人の殺害行為は重大な問題であり、法的な責任追及の試みは行われましたが、完全な結論が出るまでには至りませんでした。」機会があれば、また調べてみようと思います。 》

おっとっと!!

●Yet the accused Blackwater mercenaries are not servicemen, even if many have military backgrounds. They are hired guns with no responsibility to anyone and have incurred the anger and scorn of many ordinary US troops serving in Iraq. The contempt with which these mercenaries have treated all Iraqis, even to the extent of gunning down innocent bystanders, must be addressed. Blackwater is not the only private military contractor to have been acting with impunity in Iraq; Custer Battles, founded a month after 9/11, has been accused of using unrestrained force.

 しかし、告発されたブラックウォーターの傭兵たちは、たとえその多くが軍人の経歴を持っていたとしても、軍人ではない。 彼らは誰に対しても責任を負わない雇われ傭兵であり、イラクに派遣されている多くの一般米軍兵士の怒りと軽蔑を買っている。これらの傭兵がイラク人全てを軽蔑し、無関係な立ち見客さえも射殺するという行為は、対処される必要があります。ブラックウォーターはイラクで免責された唯一の民間軍事会社ではない; 9/11の1ヶ月後に設立されたカスターバトルズ(これも民間軍事会社)は、抑制のない武力を行使したと非難されている。

 

要は、アメリカの民間軍事会社は、どれもこれも武力の行使に歯止めがないようである。

 

●In essence, does the attitude of these goons actually represent the US view of all Iraqis whose country they invaded and occupied? This cannot be compared to the Vietnam quagmire. In Vietnam, Americans relied on soldiers, conscripted soldiers who were in many cases reluctantly drafted and sent to war. In Iraq, the US relies on tens of thousands of military contractors - many of them armed, trigger-happy soldiers of fortune choosing for themselves to speed around Baghdad in tinted, unmarked GMC Suburbans.

 要するに、このチンピラどもの態度は、自分たちが侵略し占領した国であるイラクのすべての人々に対するアメリカの見解を実際に表しているのだろうか? これはベトナムの泥沼とは比較にならない。ベトナムでは、アメリカ人は兵士に頼っていた。多くの場合、徴兵された兵士は、しぶしぶ徴兵され、戦争に送られた。イラクでは、米国は何万人もの軍事請負業者に依存しているが、その多くは武装した引き金を引くことが好きな兵士たちであり、自ら選んで、色つきの覆面GMCサバーバンでバグダッドを疾走している。

 

《 ベトナム戦争時代は徴兵された兵士が多かったが、イラクでは、自分の意志で雇われた「トリガー・ハッピー」な連中だということである。これじゃあ、悪事を働いても不思議はないし、軍の兵士にも軽蔑される。 》

 

●The behavior of these people comes as no surprise to fair-minded observers who believe freedom and democracy are entirely secondary to Washington’s geopolitical goals. George Bush could attempt to reclaim some credibility by bringing justice for the murder of 17 Iraqi bystanders. However, don’t hold your breath: considering the type of man he is, he probably will not bother.

 これらの人々の行動は、自由と民主主義はワシントンの地政学的目標にとって完全に二の次であると信じている公正な観察者にとっては驚くべきことではない。ジョージ・ブッシュは、17人のイラク人傍観者の殺害を裁くことで、ある程度の信頼を取り戻そうとする可能性がある。ただし、期待しないほうがいい。彼のタイプを考慮すると、おそらく気にしないだろう。

 

アメリカはどうか知りませんが、ロシアの軍事会社には「囚人」もいるという情報がありました。そうだとすれば、ソ連が満州でやったことと同じ犯罪がウクライナでも起きていると想像してしまいます。

 

また、アメリカの軍事会社は日本にも来ていたことがWIRED.jpで報じられています。「「傭兵会社」ブラックウォーター:日本でも警備業務」という記事では、弾道ミサイル防衛システムの レーダーの運用と基地警備で100人が、つがる市車力地区で任務に就いているという。彼らの監督に米国兵士2名がいるそうです。地元が心配になります。

 

 もう一度書きますが、この社説は、当時、アメリカと強い同盟関係にあったサウジアラビアの新聞のものです。よほど腹が立っているのでしょう。

 

 では、今回はこの辺で。

急げ!

 

(注)このブログの内容を使った結果について、管理人は一切の責任を負いませんので、自己責任でお願いします。