第2回 翻訳サイトの違いが面白い(令和5年5月3日)

 

 前回が「拘束」という少し重苦しいテーマだったので、少し肩の力を抜いたテーマで書いてみました。

 私は普段、無料の翻訳サイト3種類を比較しながら使わせていただいています。

 10年以上前と比べると翻訳エンジン自体が非常に優秀になっていて、本当に使い勝手がいいのですが、シロートの私でもたまに「あれれ?」と思う結果が出ることもあり、つい笑ってしまうこともあります。

 今回は、そのような事例をご紹介しますので、お気軽に読んでください。

 

 アメリカの公共放送である PBSをご存じの方もいらっしゃると思います。

 PBS(Public Broadcasting Service)はNHKのように視聴料を取るのではなく、政府の交付金や寄付金、コマーシャルなどで運営されていて、あのセサミストリートも配信しています。詳しくは、調べてみてください。

 

 そのPBSが提供する「PBS-NEWSHOUR」が今年の5月1日に配信したNew book ‘Merchants of the Right’ explores culture surrounding guns in America という新刊本の紹介ニュースがありました。

 翻訳サイトで確認しながら見ていたのですが、ある部分の翻訳にサイトごとに違いがありそれが面白かったのでブログに書くことにしました。

 

 翻訳サイトをA、B、Cとして進めます。

 

 まず、新刊本の概要ですが、2020年の新型コロナのパンデミック以来、アメリカでは銃の購入者が大きく増え、その中で初めて買う人もかなり多く、社会不安の増大を表していて、民主主義の危機でもあるというものです。

 

 著者のWilliam Branghamのセリフ

 

◆Back in 2020, a year of a global pandemic and ongoing social unrest, millions of Americans bought guns, including nearly eight-and-a-half-million who had never purchased a firearm before.

(試訳)世界的なパンデミックと社会不安が続いていた2020年に遡ると、多くのアメリカ人が銃を購入し、その中にはこれまで銃を買ったことのない人も〇〇人近く含まれていました。

 

 ここで eight-and-a-half-million という部分の翻訳がそれぞれ違っているので、試訳では〇〇と謎にしておきました。

 

◆翻訳サイトA

 「世界的なパンデミックと社会不安が続く2020年当時、数百万人のアメリカ人が銃を購入し、その中にはこれまで一度も銃器を購入したことのない約8.5億人のアメリカ人も含まれていました。」

 

 ここでは、「8.5億人」!と訳されています。全体が数百万人なのに、その一部が「億人」はおかしいですし、だいたい、アメリカの人口3.3億人をはるかに超えています。いくら何でもそんなには買いに来ないでしょう(笑)

 

◆翻訳サイトB

 「世界的な大流行と社会不安が続いていた2020年には、何百万人ものアメリカ人が銃を購入し、その中にはそれまで銃器を購入したことがなかった約800万人も含まれていた。」

 

 ここでは「800万人」とされていて、a-half は訳してもらえなかったようです(笑)

 

◆サイトC

 「2020年、世界的な大流行と継続的な社会不安の年にさかのぼると、何百万人ものアメリカ人が銃を購入しました。」

 

 ここでは、eight-and-a-half-millionの部分が全部スルー(笑)されています。

 

◆ということで、こんなに極端に違うことは少ないのですが、皆さんも翻訳サイトを使う場合、特に数字に関する部分には注意してみてください。

 

◆ここで誤解のないようにお願いしたいのですが、翻訳ソフトを揶揄しているわけでは決してありません。

 現在の翻訳ソフトは非常に精度が高くなっていて、シロートの私も無料のサイトを日常的に使わせていただいて深く感謝している次第です。一方で、辞書を引くのが次第に面倒になり、かなりの怠け者になりつつあります(笑)。

 

◆さて(笑)、今回はオマケ的ですが、eight-and-a-half-million のように”-and-a-half-” を含む社説の事例を1件だけご紹介します。なお、この事例の翻訳は、各翻訳サイトで一致しましたので念のため(笑)。

 

◆フィナンシャル・タイムズ(2003年10月22日)

 【 Mutual mire 】(試訳)投資信託の不正取引で関係者は互いに泥沼に

 Canary Capital Partners, the hedge fund, had arrangements to trade until 8.30pm, four-and-a-half-hours after the close.

 (試訳)ヘッジファンドのカナリー・キャピタル・パートナーズは、取引終了から4時間半後の午後8時30分まで取引できるよう取り決めていた。

 

 今回は以上です!

 

(注)本ブログを利用して生じた結果につきましては、管理人は一切の責任を負いませんので、自己責任でお願いします。