工藤重典 (Meister Music) 192khz/24bit
良すぎて感想が書けないアルバムというのがたまにある。音楽の良さを言葉で表現する事はやっぱり難しい部分があって、ただ「いい」としか言えなかったりする。
日本を代表するというより世界のトップフルーティストと言ったほうが相応しい工藤重典氏が1995年に録音したアルバム。当時からそのCDは評判になっており後2006年にリマスターされて再発売されたが、昨今のハイレゾ普及に伴い今回はハイレゾリマスター版となる。元々は192khz/24bitで録音していたのだが当時はCDしか再生のしようが無く44.1khz/16bitにダウンコンバートして発売された。今回はそのオリジナルレコーディングスペック192khz/24bitデジタル配信のためCDのような音情報の欠けがない。One Point録音で有名なマイスターミュージックはCDでも音が良いと評判なのにスーパーハイレゾグレードなので音質についてはほんとに最上級。
実はアンサンブルのメンバーはヴィオラ豊嶋泰嗣、チェロ金木博幸、ヴァイオリンは小林美恵、皆さん日本を代表する名手たち。そんな彼らの27年前の演奏というのも興味を引く部分でもあり、また工藤さんを中心としたこのカルテットの一体感がハンパなく素晴らしい。緊密すぎず緩すぎず、軽妙で流れるような音符の連続はまさに期待するモーツアルトの音楽。つい、工藤氏の師匠ランパルとスターン、アッカルド、ロストロポーヴィチというスーパーアンサンブルの同曲のjCDはどうだったっけと聴き比べてしまったが、アーティストの芸術性と高度な録音技術が組み合わさったこのアルバムは日本発の名盤の一つだと思う。
2022-1356