SATIE: Le Fils De Etoile | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。


AlessandroSimonetto

ラヴェルやドビュッシーに多大な影響を与えたエリック・サティ。『星たちの息子』は前奏曲3曲と本幕用3曲の全6曲からなる劇音楽。サティには珍しく20分もある曲が3曲もあり全体で1時間を越える。前奏曲の方はよく取り上げられるが本編含めた全曲演奏は余り多くない。掲題の劇に付けたのは6曲だが実際に演奏され出版されたのは前奏曲3曲だけでその後楽譜もどこかに行ってしまい、本編はその後長らく忘れられていたが、1970年代に草稿が発見されてから研究がされてきている。風変わりな曲も書くサティだがこの曲もまた不思議な、神秘的な曲調で前奏曲で使われたモチーフが幕音楽では形を変えながら繰り返される。印象的な旋律も結構あって、どこかで聴いたことがあるなと思った部分はグノシェンヌの基になったものらしい。アンビエントな雰囲気が濃く漂う不思議な感覚の曲だが、神秘劇のために書かれた音楽なので瞑想的なのは当たり前かもしれない。

               2022−1330