BACH Solo -Hurdy Gurdy | チーフ・エディターのブログ

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音楽配信の仕事上年間クラシック中心に毎年1,200枚ハイレゾの新譜を聴く中で気になったものを1日1枚。

Tobie Miller ,hurdy gurdy (Raumklang)96khz 24bit

Eaely Musicでたまに耳にするhurdy gurdyでバッハのパルティータと無伴奏チェロ・ソナタを弾くというとてつもない挑戦をしている。


カナダ出身のTobie millerは政府、複数の財団から助成金を得ているhurdy gurdy界の逸材。


hurdy gurdyは手廻し式鍵盤付きヴァイオリンというような楽器でボディに着いている手廻し器でホイールを廻してそれで弦をこする。左手は鍵盤を押さえて弾くところはニッケルハルパと同じ。共鳴弦が張られているところも似ていて、独特の擦れた音のする素朴な古楽のねいろがする。

ルネサンスの頃までは盛んに用いられたが、弓で弾くわけではないので多声を出せないということもあり廃れてしまったのだが、18世紀のフランス宮廷で懐古趣味として復活、詳細な演奏法が記録され残されている。

Millerはこの偉大な曲に取り組むにあたり伝統的な奏法とバロックスタイルを組み合わせて独自の解釈としている。hurdy gurdyは民謡を弾く農民楽器というイメージだったのでバッハのソロということには驚かされた。前作の『ヴィヴァルディの四季にもとづく春または楽しい四季に』はアンサンブルだったが今回はソロということでいかにも難易度高そう。ヴァイオリン、チェロさながらにかなり速いテンポで弾きこなしており、ああこの人はホントにヴィルトゥオーゾなんだなと感じ入った。


2022-1019