5月16日、告知の日を迎えた。
夕方頃に最後のMRIを撮った。肝臓のMRI。
夕飯を済ませたら呼ばれるだろうと思っていたが、なかなか呼ばれない。外科医は一日にそんなに何人もの人間に告知しているのだろうか、とふと思った。

結局呼ばれたのは8時半頃。いちおう応接室みたいなところに行く。MRIの音なのか、ゴウンという機械音が一定毎に聞こえる部屋だった。
研修医が二人、主治医と共に入ってきた。
一枚の画像を指して説明が始まる。
病名は膵頭部癌/上腸間膜動脈浸潤、手術適応外。

膵頭部と言っても膵体部との境界にあるそうだった。動脈に癌が絡みついているので、手術出来ない。
今後の治療方針としては、抗がん剤治療か抗がん剤と放射線を使う治療のどちらか。
使用できた抗がん剤はタルセバ+ジェムザール、ジェムザール、TS1の3種類。(FOLFIRINOXは当時治験中だった)
当時タルセバ、ジェムザールは制限がかかっていて、第一治療に選ばないと以後は使えないこと、経過観察のため二週間の入院が必要だった。
放射線は膵臓が胃の裏側にあるため、あまり芳しくないとのことだった。
彼がステージと余命を尋ねたが、主治医は明確には言わなかった。
説明を受けている間、私は黙っていて、あとは彼の決断に委ねられていた。なんか少し急かされるような空気だった。

彼が選んだのはタルセバ+ジェムザールだった。
早速、入院予定が組まれて24日から開始する事になった。

応接室から出て、私の口から出たのは、タルセバを選ぶとは意外だったということ。彼は「だってそんな雰囲気だったじゃないか」と答えた。

病室に帰ると取るもとりあえず、帰る支度を始める彼。驚いたが長居は無用って感じだった。24日に改めて入院すればいいと、さっさと退院することに。
看護師は驚いてたけど、明日、改めて入院の相談をするということで、退院の許可がおりた。

夜中だったけどばたばたと退院。私の家で休むことに。明日には学校の保護者会があったので、早々に休んだと思う。

すごい緊張をしたのを今でも思い出す。
彼は想定内という感じで淡々としていた。
けど、あんなに早く退院するとはよほど病院が嫌になってきたのだろうとは思う。


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