朽ちていく小さなむくろ野ネズミは
淡きグレーのしみとなり果つ
食うことをやめて蟷螂さみどりの
からだをふるわせ死をまつ夕べ
ゆきむしがひかりまといて漂う
うごめきゆっくりと呼吸する夕暮れの
レモンバームに手を触れられず
雨の日の植物園に傘は傾きながら
近づきゆく 緑色のガラスのかけらを
きらきらと ちりばりており
朝とよるのすき間の舗道に
たまごの殻は小魚の群れに囲まれ
漂う海面ちかく 世界から隔絶された
金曜の夜が更けてゆく
夢までのためらいと その窓から
あなたは月光を浴びる 影を落として
ガラス器の冷えゆく夜のキッチンに