ズドン!

 

 

3月29日金曜日

 

真っ暗闇の中

大きな音がして目が醒める。

 

何が起こったか

わからなかったけど

 

すぐに

母が転倒した音だと気づき

 

一瞬で目がさめて

母の寝室へ見に行く

 

 

ベッドの脇の床に

両足を投げたした姿勢で座り

呆然としている母

 

 

「どうしたの?」

 

「ころんだ」

 

 

早朝に目が覚めたので

もう起きてしまおうと

ベッドの手すりにつかまって

立ち上がったら

 

足に力が入らなかったのか?

そのまま床の上に尻もちをついて

転んでしまったと言う。

 

 

本人は

「どうしてこうなってるかよくわからない」

 

その瞬間の記憶はなく

気がついたら床の上だった。

 

 

腰を強打したようで

 

「痛い、動けない」

 

硬い床の上では痛いし

体が冷えてしまうので

 

なんとかベッドの上に乗せたいのだが

 

母は足に全く力が入らず

立ち上がれない。

 

 

外は大雨

 

離れの家で寝ている弟を呼びに

外へ出る気もしなかった。

 

 

しかたがないので

なるべくベッドに近づいてもらい

 

そこから両脇を抱えて

一気にベッドの上へ持ち上げた。

 

こういうときは

母が小柄で痩せていることに

感謝する。

 

 

 

腰が痛くて

あお向けに寝れないと言うので

 

横向きの楽な姿勢で寝てもらう。

 

打撲や傷、骨折などないかと

腰からお尻にかけて

痛いと言う場所を

手で触れながら確認するが

 

傷やアザなどは見当たらず

 

本人も

どこか特定の所で強い痛みを感じる、

というわけではなく

 

「この辺が痛い」と

まんべんなく腰をさすっている。

 

 

まだ外は暗い。

 

 

ひとまず

横になって休んでもらう。

 

その日はちょうど訪問リハビリの日で

理学療法士の先生が来てくれるので

見てもらって指示を仰ぐことにする。

 

私も仕事があるし

まだ早いから

もう一度休むことにした。

 

 

。。。。。

 

 

その日、母は1日寝て過ごし

気が動転しているのか

少し言うことも変だった。

 

まあ、

91だからこんなもんか?

 

まあ、私だって

いつも言うことは変だしね。

 

 

 

その後

 

様子を見てくれたリハビリの先生から

ケアマネさんや看護師さん、

福祉機器の方まで

連絡が行き届き

 

その日の夕方には

リハビリ先生の手配により

福祉機器センターから

立ち上がり補助手すりが届き

ベッドサイドに設置された。


母は何とか

手すりを使ってベッドから下り

 

立っているところを

後ろから車椅子でキャッチ

 

車椅子に座っても

腰もお尻も痛みは大丈夫な様子。

 

 

夕食は食卓のテーブルへ

車椅子で移動

 

食欲はあり、美味しく食べた。

 

 

よかった。

 

。。。

 

 

最近

2週間に1〜2度ぐらいの割合で

家で転倒することが増えてきて

 

「健康寿命」

 

ということを考えると

 

今住んでいる

段差だらけで

暑さ寒さの厳しい

田舎の古い民家(築120年以上)

での暮らしは

 

もう限界に近づいてるんじゃないかと

たびたび思う。

 

 

住み慣れた我が家に固執するより

体と年齢に見合った場所へ

臨機応変に移住して暮らす方が

 

健康寿命を伸ばすことに

なるのではないだろうか?

 

 

何度もの転倒で

頭や腕、腰などをたびたび痛め

 

その積み重ねで

 

脳の血管が破損したり

疲労骨折などにつながる

リスクを考えたら

 

もっと安全で

安心して過ごせる環境への

移住というのは

 

当然「あり」だよなぁと思う。

 

 

母も

もうちょっと体が元気な頃は

住み慣れた我が家がいい、

デイサービスなんて嫌だと

抵抗していたのだが

 

今の体調では

「行った方が安心」と

言うようになって来た。

 

頭や内臓は元気、

だけど体が、手足が

思うように動かない。

 

そうなって初めて

そう思うようになるものなのか。

 

私たちは

母の姿を見て

勉強(予習?)させてもらっている。

 

 

体が不自由になったお陰?で

要介護の認定がおりた。

 

現在、要介護3

 

困ったことだと嘆く反面、

様々な支援が得られ

色々なことに気づかされた。

 

日本の福祉の行き届いた素晴らしさ、

関わってくれる人たちの

優しさ、明るさ、瑞々しさ(若いからね)、

職務への熱心さ。

 

 

日本は良い国だと

あらためて感じたし

 

熱心に働く若い人たちを見て

日本の未来は明るいと思えた。

 

人の優しさが

本当に有り難く感じられた。

 

幸いにも

良い人ばかりに恵まれている。

 

母は運が良い。

(しかも晴れ女)

 

 

そして

 

在宅介護という経験をしながら

日々、考えさせられていること

 

 

人は何のために生きるのか?

最後に残るものは何なのか?

 

 

「喜び」とか「感謝」とか

そういったものだけが

 

天国へ持って行ける

唯一の財産なのかも知れない。

 

 

どんな状態・状況であっても

 

自分の気持ちを決められるのは

自分だけだから

 

物事の受け止め方やとらえ方

 

そういうの、

自覚的でいるようにしようと思う。

 

母も、そして私たちも

良い財産を持って天国へ行けるように。

 

。。。。

 

人間同士だと

つい

悲観的なことを考えたり

話したりしがちだけど

 

 

猫といると

勝手に顔がニヤけてきて

「かわいい」しか頭の中になくなる。

 

ただの親バカになる。

 

この差は一体何なんだろう?

 

クヨクヨしているような猫は見たことがない。

ちゃーくんはいつも母のベッドを独占、

母が寝に来るまでは

伸び伸び気持ちよさそうに爆睡する。

 

そんな我が子?を見て

なぜか

「この子の介護をして看取るまで

私は元気でいなければ」

 

と、

またもや未来の心配に

考えが行ってしまうのだった。

 

ヒトとは、いや、私とは、

なんと面倒くさい生き物なんだろう。