わたしやわたしの家族に対するどんな侮蔑の言葉を言われても、約束を反故にされても裏切られても、あなたのわたしを抱きしめるときの少し上がるその体温を、その暖かさを、わたしはどうしても求めてしまうからです。
そうしてどんなに裏切られてもないがしろにされても、わたしはあなたをゆるし続けてしまうからです。
でもそれは愛とはよべない。
わたしはそんなものを愛だなんて思わない。
わたしが本当に愛していたのは
あの頃のあなたで今のあなたではないからです。
早朝の出勤途中に、お婆さんに携帯電話の操作方法を聞かれて歓喜していたあなたのことが、その磨かれたようにピカピカの心が、大好きでした。
全身全霊の愛で、わたしと一緒になれたら、3人で暮らせたら、もう他に何もいらないと、心から言えてしまうあなたと、ずっと一緒に居たかった。
ピカピカの心からの愛を穢したのも、またあなたでした。
あなたは自分は子どもだから、と言い訳のようにいったけれど、それは違う。
あなたは大人になってしまったのです。
他のたくさんの人々と同じような合理的なやり方で。
それを悪いことだと言う権利は誰にもありません。
一生をかけて育てていこうと心に誓った愛は、いつの間にか大人になったあなたの心の中からすっぽり抜け落ちてしまったのです。
わたしは大人でも子どもでもないただの私です。人を信じないし、だからあまり人と仲良くならない、ただの臆病者です。
そんなわたしを抱きしめたときに、指に赤い糸を巻き付けてサイズを計ってくれたのが、あなたでした。
初めて婚姻届というものを渡してくれた男の人があなたでした。
そんなものを渡されたのが初めてだったので、その時からあなたは、男の子ではなく男の人になりました。
来年は一緒に田舎にかえろうね、
満面の笑顔を向けるあなたは太陽でした。
弱くて寂しがり屋で優しくて少し自己中なあなたをわたしは、全部愛そうと決めました。
あなたの中から愛が消えてゆくのを、わたしは為す術もなくみつめていました。
それでもしばらくは、あなたの愛を取り戻してやり直すために、そばにいました。
取り戻せないと分かったのは随分前からでした。
ただそれを認めたくなかったのです。
さよならを言えないので言いません。
生まれ変わったら
もう1度わたしをみつけてね
どこの国にいても
どんなに醜い姿をしていても
たとえ人間じゃなくても
見つけたら
もう1度指に赤い糸を巻き付けてね
今度は手を放さずに
命が尽きるまでそばにいてね
大好きなきみへ
砂漠でアルマジロに生まれ変わるわたしより