1938.6.21-26(昭和13) 国民精神総動員都市教化講習会(於神戸市・湊東区荒田町永昌寺)


湊区は先年以来,道添同区長の熱心なる躬行示範,そのよき補佐役たる矢野嘱託等の指導により区民一致の整然たる歩調は,まづ区民の指標たる区是を定め,全面的教化活動の基幹たる教化協同会が誕生し,次で町会,部,組の組織が整ひ,〓て末梢細胞として五乃至七戸を単位とする隣保班が結成せられて,全区教化網の完備を告げたのは,今次事変の直前であった。

 

自治制五十年の警鐘と共に,国民精神総動員実践網設定の急が叫ばれ全国都市を挙げて町会の整備乃至は末梢細胞組織の急が要求せらるゝ時,これに先だつこと一年,かゝる組織の整頓を見つゝあったことは,全国都市の魁として何人も容認せざるを得ざる所である。

 

本会が今次第四回の都市教化講習会を特にこの地に選んだのは,この生ける現実を眼前に展開せしめて,理論即実際の妙諦を発揮し,その効果の百%を期待したのであった。

 

ただ本稿を終った頃,不幸にも未曾有の水魔が神戸市を襲ひ,惨害甚だしとの悲報が得られたが未だ詳報に接しない,眞に痛心の極みである。