「隣保組織を整備し/五人組制度結成/兵庫県で協議会開催」『教化運動』1938(昭和13)年5月11日(第199号,5ページ)

 

自治制発布五十周年を記念するとともに今後一般の飛躍を期する為市町村に隣保組織の整備をはかることゝなり,去月三十日兵庫県県会議事堂でその協議会が開かれた。主催者の県からは安岡総務部長をはじめ地方,社会教育の各課長,市町村側からは西宮,明石の市当局,代表的の町村長および学校長,古川町村長会長,〓尾同副会長ら十余名出席,県当局より隣保組織の原案を説明しこれに対して意見を求めたがいずれも原案で適当とする旨の意思表示があったので近く市町村長に通牒を発し七月末までに組織を完了することになった。

 

隣保組織はわが国古来の美風である隣保団結の精神を発揚し互助相扶の郷土生活を営むためのいはゆる五人組制度であって,このたび県が実施しようとする組織の〓〓は市においては市,区,町,部,組,隣保の系統〓〓とし町村においては町村,部落(大字,町),組,隣保の系統としいづれも隣保は五戸乃至十戸の隣人によって結成するもので各隣保には世話係をおき各戸の連絡に当らせ,必要に応じ適時会合を催し生活改善,教育教化,経済更生,自治行政の幇助選挙粛正など社会百般の事柄について協議懇談をとげ力を合せて実行に移してゆく。また組は数個の隣保をもって組織しこれに組長,副組長をおき部落と隣保間の連絡を円滑にし必要に応じては組内隣保の共同施設を講じてゆく,さらに部落では区長が主催者となって毎月一回以上日を定めて常会を催しこれには各種団体の幹部と各戸から一名以上が必ず出席して諸般の事項を懇談するといふ仕組である。

 

神戸市湊区においてはすでに二年前より隣保組織を整備してゐて好成績を収めてゐるが県下全般にわたってこの組織が完成すれば自治体の基礎はいよいよ鞏固を加ふるとともに社会各般の施設にも好影響をおよぼすものとして当局者は非常な期待をかけてゐる。