〓に昭和六年十一月開催せる第八回全国教化関係代表者大会において,東京府教化団体連合会より「都市ヲ中心トシテノ教化方法如何」の協議題が提出せられ,審議の末,その研究調査を本会の教化事業調査会に委託されたるをもって爾来同調査会にて研究調査の歩を進めて居たのであった。然るに,いまだその成案を得るに至らぬうち本年五月開催せる第十回全国教化連合団体代表者大会に愛知県教化事業協会より一都市ニオケル教化網組織ニ関スル件の協議題が提出せられ審議の末,これ亦その研究調査を教化事業調査会に委託さるゝに至った。彼といひ此といひ近年都市教化に対する世の関心漸く増大し,その方法施設を講究の要愈々緊切なるものあるを認めたるをもって本年八月宇治山田市において都市教化懇談会を開催したる際,教化事業調査会にて立案せる都市教化留意要項を提示し,参加者の意見を求め,その意見を参酌して補正を加へ,更に教化事業調査会の議にかけ慎重審議を重ねた末,決定したのがこの要項である。もとより複雑多様なる都市の留意事項として完璧とは言ひ難いが,教化事業調査会が過去三年に亘り研究調査を重ね且つ全国重要都市教化関係者の貴き体験に基く意見を参酌して作成したものであるから大体においてその要を得たるを確信し此度世に公にして都市教化の実際施設に資せんとするものである。

 

〓に本要項の作成については,教化事業調査会常任委員加藤咄堂氏,主としてその任に当られたることを附記しておく。

 

[中央教化団体連合会(1933)『都市教化留意要項』]