(126)

かゝる市街地に於ける新たなる隣保の芽生えとしての隣組こそは,農漁村に遺存する近世の封建的感化をうけた五人組のうちにある弊風が,その隣保自体の衰頽とゝもにはなはだしく薄らいでゐるだけに,これらの陋習にとらはれることもないので,よく内外の進運に即応した新発達の隣保が急速に展開せられ,日本隣保史,否,世界隣保史上に輝かしき一頁をつづるであらうことを期待して止まないのである。
 

(127-130)

いま天文八年から明治五年までの約三百年間に於ける近世五人組が尊守した代表的重要事項を,約四百種の五人組帳から摘出すれば,左のごとくである。

 

敬神尊皇に関する規約

人倫に関する規約

勤倹貯蓄に関する規定

公益に関する規約

綱紀粛正・公正に関する規約

慈善博愛に関する規約

保安自治に関する規定

風紀矯正に関する規定

 

[桑原三郎(1941.3.5)『隣保制度概説/隣組共助読本』二見書房]