内務省訓令第十七号
庁府県
隣保団結の精神に基き市町村内住民を組織結合し万民翼賛の本旨に則り地方共同の任務を遂行せしむる為左の要領に依り部落会町内会等を整備せんとす仍て之が実績を挙ぐるに努むべし
昭和十五年九月十一日
内務大臣 安井英二
部落会町内会等整備要領
第一 目的
一 隣保団結の精神に基き市町村内住民を組織結合し万民翼賛の本旨に則り地方共同の任務を遂行せしむること
二 国民の道徳的錬成と精神的団結を図るの基礎組織たらしむること
三 国策を汎く国民に透徹せしめ国政万班の円滑なる運用に資せしむること
四 国民経済生活の地域的統制単位として統制経済の運用と国民生活の安定上必要なる機能を発揮せしむること
第二 組織
一 部落会及び町内会
(一)市町村の区域を分ち村落には部落会,市街地には町内会を組織すること
(二)部落会及町内会の名称は適宜定むること
(三)部落会及町内会は区域内全戸を以て組織すること
(四)部落会及町内会は部落又は町内住民を基礎とする地域的組織たると共に市町村の補助的下部組織とすること
(五)部落会の区域は行政区其の他既存の部落的団体の区域を斟酌し地域的協同活動を為すに適当なる区域とすること
(六)町内会の区域は原則として都市の町若は丁目又は行政区の区域に依ること但し土地の状況に応じ必ずしも其の区域に依らざることを得ること
(七)必要あるときは適当成る区域に依り町内会連合会を組織することを得ること
(八)部落会及町内会に会長を置くこと会長の選任は地方の事情に応じ従来の慣行に従ひ部落又は町内住民の推薦其の他適当の方法に依るも形式的には少くとも市町村長に於て之を選任乃至告示すること
(九)部落会及町内会は必要に応じ職員を置き得ること
(一〇)部落会及町内会には左の要領に依る常会を設くること
(イ)部落常会及町内常会は会長の招集に依り全戸集会すること但し区域内隣保班代表者を以て区域内全戸に代ふることを得ること
(ロ)部落常会及町内常会は第一の目的を達成する為物心両面に亘り住民生活各般の事項を協議し住民相互の教化向上を図ること
(ハ)部落会及町内会区域内の」各種会合は成るべく部落会常会及町内会常会に統合すること
二 隣保班
(一)部落会及町内会の下に十戸内外の戸数より成る隣保班(名称適宜)を組織すること
(二)隣保班の組織に当りては五人組,十人組等の旧慣中存重すべきものは成るべく之を入るゝこと
(三)隣保班は部落会又は町内会の隣保実行組織とすること
(四)隣保班には代表者(名称適宜)を置くこと
(五)隣保班の常会を開催すること
(六)必要あるときは隣保班の連合組織を設くることを得ること
三 市町村常会
(一)市町村(六大都市に在りては区以下同じ)に市町村常会(六大都市の区に在りては区常会以下同じ)を設置すること
(二)市町村常会は市町村長(六大都市の区に在りては区長)を中心とし部落会長,町内会長又は町内会連合会長及市町村内各種団体代表者其の他適当なる者を以て組織すること
(三)市町村常会は市町村内に於ける各種行政の綜合的運営を図り其の他第一の目的を達成する為必要なる各般の事項を協議すること
(四)市町村に於ける各各種委員会等はなるべく市町村常会に統合すること
[児山忠一・播磨重男(1940)『部落会町内会等の組織と其の運営』自治館』]