ことばの物語
≪からすⅡ-烏・鴉・雅≫
カラスというとあの真っ黒な色と鳴き声ですね。
和訓の「カラス」の漢字の鴉と同じように鳴き声から
だそうです。
しかも英語のCrow(クロウ)までも、鳴き声からだそ
うですよ。
カラスはもとは白かった?
そりが何故黒くなったのか、物語があります。
<ギリシア神話ではCrowはアポロンが飼っていた白
いカラスの 名前でありました。アポロンが留守
をしている時、妻のコロニスの様子を毎日伝え
るように命じられます。そして、日々「コロニス
は無事で何も変わったことはありません」と伝え
るのですが、ある時「人間の男と浮気しているら
しい」と誤った情報を伝えます。アポロンは怒り
に任せコロニスを射殺してしまいます。これが誤
りであったと知れた後、アポロンはCrowを罰し、
色を色を黒くして「コーコー」という言葉しか話
せないようにしましたと。>
これからでしょうか、カラスは英語圏では付和の象
徴ととわれます。
日本の民話でも、カラスはもとは白かったと。
<カラスは或とき、フクロウの染物屋に綺麗な色に
塗り替えてくれと頼みました。フクロウは考えた
末、黒い下地に金銀の装飾をしようと決めました。
そして、カラスを黒く染めると、カラスは怒って
フクロウを追いかけ回しと。それからカラスはい
まだに黒く、ガーガーと苦情を言い続け、フクロ
はカラスのいない夜にしか出てこなくなったとい
うことですよ。>
烏ーからす・ウ・オ (助詞:いずくんぞ)
字の成り立ちは「鳥」の横線を欠いたもので、黒く
て目の位置が見分けがつかない鳥、カラスの意味。
烏合(うごう)の集からすの集まりのように規律のな
い集まり。
烏の雌雄
からすの雌と雄。つまり、真っ黒でおすとめすが区
別しにくいところから、物事の是非善悪がまぎらわ
しいこと。
烏喙(うかい)
喙はくちばし。このような口の持ち主は人相学で欲深い
といわれます。
長頸烏喙というと、范蠡が越王勾践の人となりを評した
言葉で、患難を共にすることはできるが、安楽を共にで
きない相の人だとして、范蠡は勾践の元から秘かに去っ
ていきます。その後、文種という人にどうして勾践のもと
を去らないのかという主旨の手紙を送った中に「狡兎死
して走狗烹られ、高鳥尽きて良弓蔵(かく)る」という成
句がありました。
范蠡は最後には大富豪となり陶朱公と称したと。
烏に反哺の孝あり
子のカラスは幼少時親に養われた恩返しに、老い
た親に食べ物を口うつしして食べさせるという孝
行を行うと。これから、子が父母の恩に報いるこ
とを言います。カラスが孝鳥と呼ばれる所以であ
ります。
鴉ーからす・ガ
字の成り立ちは「牙=ガ・からすの鳴き声」に「鳥」。
鴉鷺(がろ)
鴉と鷺で黒と白。
闇夜に鴉 雪に鷺というと、周囲のものとはっきり区
別がつかないこと。
雅ーみやび・ガ
「隹=ふるとり・小さな鳥」のこと。
詩経の大雅、小雅に音を借りて「雅」を用いたとこ
ろから、これらは貴族社会のみやびる様子を伝える
ものあるところから、みやびの意味に使われます。
<カラスの顔を持つもの>
烏天狗
山伏の装束にカラスのような口を持ちます。
小天狗、青天狗とも称され、古くは天狗の姿を代表
し、あの鼻の大きく長い天狗は近代になってから、
主に用いられるようになったと。
神通力と剣術に優れ、鞍馬山で牛若に剣術を教えた
のはこの天狗でありました。
迦楼羅天(かるらてん)
インドの神ガルダが仏教に取り入れられ、八部衆と
なる。
毒蛇を食し、毒蛇から人を守り、毒蛇が煩悩の象徴
であるところから、
煩悩の三毒を食らう霊鳥として、信仰されます。
※三毒は貪(むさぼり)・瞋(怒り)・痴(おろか)のこと。
<カラスの象徴>
カラスは古くは吉兆を示す霊長とされていました。
日本では神武天皇が東征する際、八咫烏(三本足)が
松明を灯して先導したと。また、柿の木の実を一つ
残すのは、柿の木に宿る霊を招くカラスのためのも
のでありますと。
中国では、日鳥で三本足のカラスが太陽に住んでい
る神聖な鳥とされます。三本足であるのは、奇数を
陽とするところからだそうです。
また、古代エジプトでも太陽の鳥とされ、鳥葬では
魂を天に運ぶとされています。
カラスが不吉な象徴となったのは、近年の事であり
ますと。
今日一日幸運でありますように。
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
ことばの事典(講談社/日置昌一・日置英剛)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
