ことばの物語
≪さくー割・裂≫
惜しいと思いながらも、何かを省略することを
『割愛』といいますが、何ぜ「愛を割く」と書
くのでしょうか?
本来は道元の『正法眼蔵』で使われた言葉だそう
で「愛着を断ち切る」という意味でありました。
それが惜しいながらも省略するという意で使われ
るようになったのは、明治以降でありますと。
どうも、仏典や経典の言葉を変意して用いたのは、
知識人たちのようですね。たいいちそんな難しい言
葉を、昔の一般庶民が知る由もありませんからね。
余計なことをして、本来の大切な意味を薄れさせ
てしまっていますね。
≪さく≫
割ー刃物で切り分けること。(魚を三枚に割く)
裂ー無理に二つに離すこと。(仲を裂く)
割ーわる・わり・われる・さく・カツ
字の成り立ちは「害=たちきる」に「刀」で、刃
物で断ち切るの意味。
割鶏牛刀(かつけいぎゅうとう)
「牛刀をもって鶏を割く」(=牛刀割鶏)
取るに足りない小さなことを処理するのに、大げ
さな方法を用いるということのたとえ。
割席分坐(かつせきぶんざ)
いっしょに坐っていたむしろを二つにさいて、座席
を分かつというところから、友人と絶交すること。
「男女七歳にして席を同じゅうせず」ならぬ、「絶
好の友と席を同じゅうせず」でありますね。
割を食う
不利な立場に立たされる。損をする。
割は物事を割り振ること。「割がいい」は、得す
ること。
「割が悪い・割に合わない」は、損をすること。
「食らう」は「小言を食らう」などのように、好
ましくないことを身に受けるということでありま
すね。
割り下
醤油、砂糖、酒などを前もって合わせたもの。
割り下地の略で、下地は調味料の基礎となるもの
で、主に醤油をさします。水割りは、酒を下地と
して水を合わせる(割る)となるのかな。
割符(わりふ)
札の中央に文字や印をしるし、それを二つに割っ
てそれぞれを互いに持ち、後に合わせて証拠とす
るもの。
日本では後日の証拠とするための文書や両替に用
いる手形を言う。
「豁(かつ)」という字がありますが、これは「広
く割かれた谷」ということから、ひらけるの意味
であります。ほとんど四字熟語でしかみませんね。
豁然大悟(かつぜんたいご)
疑い迷っていたことが解けて、真理を悟ること。
あるひ突然、眼の前がぱっと明るく開けるんで
すね。
石が竹に当たる音を聞いて、突然悟とったという
話がありますが。
豁達大度(かったつたいど)
度量がきわめて広く、物事にこだわらないこと。
また、あけっびろな性格で、人や物事をよく受け
入れること。
そのようにありたいものですね。
裂ーさく・さける・レツ
「衣」に「列=首を切る」で、衣を切りさくの意
味。
衣をさく音、首を切られる人の叫びに似ているん
でしょうね。
分裂(ぶんれつ)
ばらばらになる。
車裂(しゃれつ)
体を引き裂く刑。
四肢がばらばらになってしまいますね。見せしめ
と言いながらもこれは酷い!
裂果(れっか)
成熟すると皮が裂けて種などをまき散らす果実。
あぶらな、エンドウ豆の類。
裂眥(れっし)
まなじりを裂く。怒ってまなじりが裂けるほど
に大きく目を開けるてにらむこと。
まさしく仁王様、閻魔様のまなこですね。
「眥」はまなじりと読みます。
裂帛(れっぱく)
「衣を裂いたような叫び声」なんていいますが
その通りで、女性の悲鳴の形容であります。
他に、ほととぎすの鳴き声、澄んで激しい音楽
の形容。
裂膚(れっぷ)
寒くで皮膚が痛いなんて言いますが、これは寒
さが激しいことを言います。皮膚が寒さで裂け
るんですね。
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
ことばの事典(講談社/日置昌一・日置英剛)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
