【2日目】
会社のBBQで懐かしの上司たちにイジられ、酒を飲み、少しだけ肉を食べ、たくさんの人と話した。
BBQと言っても、自分たちで焼くスタイルではなく、スタッフの方々が焼いて紙皿に乗せて渡してくれる。
酒も氷水のケースから缶やペットボトル(ソフトドリンク)が入っていて自由に持っていけるし、それとは別にビールとハイボールのサーバーが使い放題だった。
これなら自分含む下々の者どもも色々動きやすくて、非常にありがたい。
札幌の彼女の一件についても多くの人から話題を振られた。
大井町にいた頃の上司からは「(子供とか結婚とか)取り返しがつかなくなる前に別れられたのは本当に良いこと。別れられてる時点で勝ち」と言ってもらった。
池袋の上司は「だっせーなー」と笑っていた。
誰だったか忘れたが、「傷心」と「昇進」を掛けてイジってきた人がいた。うーん、評価する。
とにかく、札幌で自分が浮気されて別れたという話を、なぜか関東の事業部社員の半分ぐらいが知っていた。
人の口に戸は立てられぬ、というか、みんなゴシップが好きなんだなと思った。
札幌のマネージャーはこのタイミングでコロナを貰ってしまったらしく、欠席であった。来週、あのナジーム・ハメドの息子がプロデビューするというニュースを伝えたかったので残念だ。
一通り終わってバス停にみんなで向かう時にスーパーバイザー(いわゆるSV)とどういう流れだったかボクシングの話になった。
畑山隆則や辰吉丈一郎、赤井英和など、往年の日本人ボクサーに詳しかったのが意外であった。
基本的にほぼネオヤ・イノウェイに終始しがちな話題である。これは新鮮だった。
ホテルに帰り着き、そのままベッドに沈みたいところだったが、帰り道で「あること」に気付いていたのでそうはいかなかった。
そば屋が、水曜定休なのだ。そう言えば、そうだった。
確実に酔っ払っていたが、そば屋夫婦には絶対挨拶に行きたかった(おみやげも買ってあるし、何ならそのためにホテルを大井町駅前に取ってもらったのだ)ので、その足でそば屋へ。
予約で満卓のようだったので閉店時間くらいまで待ってから入店。
まず、木枠のガラガラ引き戸だったのが自動ドアになっているのに驚いた。
正直、行きたかった一方で行ける保証はなかったので、特に先方には伝えていなかった。サプライズと言ったら大袈裟になるが、アポなしである。
「お疲れ様です、お久しぶりです、ご無沙汰しております」と三段活用すると、おおー、いらっしゃい!と喜んでくれた。
まず、買ってきた「白い恋人」バウムクーヘンバージョン的なおみやげを渡す。紙袋を見て「わー出たー白い恋人!」と奥さんが言ったが、ただの白い恋人じゃないんですよ、と伝え紙袋を開けてもらう。
確か奥さんはバウムクーヘンが好きだったはず、その記憶は間違っていなかったようで、むしろ低音気味に「えっ、バウムクーヘン?」と言った。
たぶんだが、テンションが下がったわけではなく、社交辞令なしのガチのトーンだ。
喜んでもらえたと思う。正解だ。
一缶だけ酒を胃に追加投入しつつ談笑。閉店後の片付けを手伝わせてもらった。
そばの釜を磨いていると、「あーそうだった。君はサッとでいいよって言わないと一生洗い続けるタイプの人だった!」と店主。懐かしくて温かい。
閉店作業が終わると、「時間あるんだろ?銭湯行こうよ」とあの頃と同じ感じで提案してくれた。温かくて懐かしい。
お言葉に甘えて、「いつもの」銭湯で一日の汗を流してからホテルまで送ってもらった。
約一年経て、変わった街と、変わらない人。
ちょっと無理してでも来て良かった、と思った。

