今年、所用で目黒のホテル雅叙園に行く機会がありました。
もともとは、目黒雅叙園でしたが、今はホテル雅叙園東京になっています。
10月から休館となってしまうため、その前に行けてよかったです。
トイレの中も橋がかかっていて、一面天井画があり、個室は朱塗りの扉で、螺鈿細工の千鳥柄という、ちょっと普通じゃない空間でした。
太宰治の「佳日」に登場する『目黒の支那料理屋』とは、ここがまだ目黒雅叙園になる前のお店。
『場所は、小坂氏のお宅の近くの或る支那料理屋。その料理屋には、神前挙式場も設備せられてある由で、』と書かれています。
結婚が決まった友人のために、あたふたと奔走する姿をユーモラスに描くととともに、戦時下の女性たちの切ない想いがじんわりと胸に響きます。
太宰本人も、目黒雅叙園には実際に訪れているので、私にとっては聖地巡礼のようなもの。まさに、この日が佳日となりました。
しかし時間がなくて百段階段には行けず、残念です。現存する当時の建物は、この百段階段のみ。
昭和の竜宮城と呼ばれた当時の面影を、芸術的な部屋の数々から感じてみたかった……。



