男はつらいよ 寅次郎の縁談
★★★

松竹/104分/1993年(平成5)12月25日公開 <第46作>    
原作    山田洋次    脚本    山田洋次 朝間義隆    監督    山田洋次
撮影    高羽哲夫    音楽    山本直純    美術    出川三男
共演-倍賞千恵子・前田吟・吉岡秀隆・下條正巳・三崎千恵子・太宰久雄・佐藤蛾次郎
ゲスト-松坂慶子・島田正吾・城山美佳子・光本幸子・笹野高史・西田敏行(特別出演)

 

併映作品:『釣りバカ日誌6』監督:栗山富夫 出演:西田敏行、石田えり、三國連太郎、久野綾希子、谷啓/動員数216万2000人/ロケ地:香川県琴島、高松

第17回日本アカデミー賞・最優秀監督賞/山田洋次(1994年)・最優秀脚本賞/山田洋次、朝間義隆・最優秀録音賞/鈴木功、松本隆司・優秀美術賞/出川三男、横山豊・優秀編集賞/石井巌・会長特別賞/笠智衆

★「男はつらいよ」シリーズ第46作目。

今回のアバンは嫁入りする花嫁に声をかける寅から。この回から寅は首周りにマフラーを纏った姿となっている。関敬六のポンシュウが若い嫁をもらった事を知って蹴り上げる寅でタイトルとなる。渥美清、64歳。さすがにぐっと老け込み声も枯れ枯れだ。

スタッフクレジットに今回も変更がある。「脚本 山田洋次・朝間義隆. 企画 小林俊一」が一枚となり、最後の「原作監督 山田洋次」の前に「撮影監督 高羽哲夫」と一枚看板で表示される。日本の大手の映画会社で「撮影監督」とクレジットされるカメラマンはそうそう居ない。

タイトル終わって満男が就職試験中。その後、面接落ちてしまい、嫌になり家を飛び出す。就職出来ないからと家出するとは甘えるのもいい加減にしろと言いたい。ここまでで映画始まって約20分。満男が家出することが今回の物語の始まりなのだがもう少しテンポよく描けないものだろうか。退屈してしまった。

そして寅は満男を連れ戻しに瀬戸内の島へと渡る。案の定、その島には松坂慶子が居て、いつものパターンとなる。ただ今回は後藤久美子が出演せず、代わりに満男に惚れる娘が出ているのでまだ少し面白く見れた。笹野高史や桜井センリ等の常連役者達もイイ味出している。

この回の現場カメラマンは前回とは別人となっており、人物を割とアップ気味に撮ったカットが多いと感じられた。その分、渥美清や倍賞千恵子の加齢が目立って見えていたように思える。また移動撮影が好みのようで寅がとらやの居間で階段上がる前のいつもの一芝居を、ゆっくりとしたドリーインの前進移動で撮影したり、ラスト近く、寅が電話を切った後、お遍路さんを横移動で撮ったりしている。高羽哲夫カメラマンの時には移動カットは、芝居場でもロケ先でもほとんど見たことは無かった。

今回のマドンナは第27作『浪花の恋の寅次郎』以来12年振り、41歳となった松坂慶子が二度目のマドンナを演じている。さすがに前回のような色っぽさ、艶っぽさは無いものの、それなりに魅力的に描かれている。

最後は満男も含めて振られてしまうわけだがラスト近くの「満男ーっお前は又振られたぞぉー、ザマアミロー!」には笑った。