外食でも、弁当でも、自分で作るのでも…

カツ丼が1番好きです。



そんなカツ丼なのですが…


1981年に神戸のポートピアアイランドで博覧会が有りました。



友達の親が泊まりがけで連れて行ってくれるって話になったのですが、自家用車で千葉⇄神戸のドライブ、2泊3日の家族旅行に混ぜて貰う。

そんな小旅行でした。


見るも知るも初めての事ばかりで、とても嬉しく楽しい旅行でしたが、帰路のドライブインでの話。

当時はファミレスなどはなく、今の道の駅の前身とでも言えば良いのでしょうか?

ちょっと大きめの駐車場のあるところに、食事処やお土産物屋、公衆トイレや自販機コーナーがある様な、住所的な事は記憶に無いのですが、そんな所で昼食を摂ることになりました。


まぁ私の生まれ育ちは今更な話なのですが、虐待から保護されて、施設育ちの様に思って頂いても結構なのですが、そんな育ちのおかげでとても10歳とは思えない金銭感覚を持っていました。


「好きな物を食べなさい」

そう言ってくれた友達のお母さん。

友達はハンバーグ定食、おばさんは刺身定食、おじさんは焼き魚定食だったのを覚えています。

で…

私と言えば、カツ丼に目が行ったのですが、カツ丼は570円…

旅行に連れて行ってもらい、今食事迄もご馳走になろうかってところで、悩んで悩んで340円の卵丼を指差しました。(悲しいくらいに金額覚えてるんですよねぇ…)


するとおじさんが「トイレに行くから注文もしてくる」おばさんは『ご飯食べるのに言わなくても良いのにねぇ』そう笑っていました。


他のテーブルには注文取りに来るのになぁ?

何でだろ?

そんな風に思っていたらおじさんが戻ってきて、少し間を開けて食事が運ばれてきたのですが。

私の前に出されたのはカツ丼でした…


えっ?…そう驚く私に、多分「間違ってる」って事を言いたげに口を開く友達の言葉を遮りおばさんが言いました。

『本当に食べたいのはこっち』


メニューを目で追っていたことや、遠慮していた事をお見通しだったのです。


「さあ食べよう」ニコニコ笑うおじさん


泣きながら箸をつける私。


「泣くなよ〜」と、ケラケラ笑う子供らしい友達。


『立派な人とか、お金持ちとかにならなくても良い。

食べたい時に、カツ丼を食べられるくらいの人になりな…』

おばさんにそう言われて、味が分からないほど泣いた。


周りから見たら笑顔の親子と、泣きながら食事をする子供…

ある種異様な光景だったと思う。


あれから40年以上経ち、カツ丼食べたい!って時には、どんな形にせよ食べたい時に食べられる様になった。


今も1番の好物で、ご馳走だと思っています。

ですが…

あの時より美味しいと思うカツ丼には巡り合わないんだよね。