どうも高橋です。
最近勉強ばかりですね。
債権者代位権 7/16
詐害行為取消権 9/17
■間違えたポイント
1、詐害行為取消権
(1)弁済期前の行使
詐害行為取消権は弁済期前でも行使できる。
例)私と妻が離婚し、妻は私から毎月養育費をもらう権利を得たとします。
私が持っている家を売った場合、妻は今月の養育費だけでなく、将来の養育費についても詐害行為取消権を行使できる。
☆ポイント
詐害行為取消権は自己の債権額までしか取り消せないということ。
不動産の売却は相当の価格だとしても詐害行為となること。
(2)受益者又は転得者の支払い拒絶
A300万円、B200万円の金銭債権を債務者に持っていたとき、Bが債務者から200万円の弁済を受けたものの、Bに詐害行為が成立して、Aにより取り消された。Bは受け取った200万円をAに全額引き渡さなければならない。
A(300)→債務者
、、、、、、、↓200弁済
、、、、、、、B(200)
☆ポイント
債権者平等の原則から考えると、200万円の弁済は、AとBで債権額の割合に応じて按分することになる。
3対2で分けるとA120万円、B80万円ということになる。
しかし、詐害行為の受益者であるBは、この80万円を手元に残すことができないということ。
(3)取り消せる範囲
被保全債権に対して、受益者に対する弁済額が高い場合、詐害行為の目的が可分であれば被保全債権額まで、不可分であれば全部が取消となる。
例)
A(300)→債務者
、、、、、、、↓(400)
、、、、、、、受益者
これなら、Aは300万円までしか取り消せない。
(4)保証人がいたとき
債務者に保証人や物上保証人がいても、詐害行為は成立する。
☆ポイント
保証人や物上保証人は将来債務者に対して求償権をもつ。
債権者が複数いるとして、求償権をもった保証人等が増えるのは、債権者達にとっては迷惑な話である。
(5)債務者の不動産に担保設定を受けた
この場合は、詐害行為は成立しない。担保設定を受けた債権者は、優先弁済を受けることができるから。
例)住宅ローンを組んだ私の家には抵当権が設定されています。私が詐害行為を行ったとしても、抵当権者は詐害行為取消権は行使できない。
ただし、抵当権を実行しても、住宅ローンの債権額に届かなければ、届かない額については詐害行為は成立する。
(6)特定物債権保全
詐害行為取消権は金銭債権でなければ行使できないとあるが、特定物債権保全のためにも行使することができる。特定物債権であっても、債務不履行による損害賠償請求権という金銭債権になるのだから、その後であれば取消可能としている。
私→友人(①売買)
、→妻 (②贈与、登記)
友人(損害)→私
、、、、、、、↓(詐害行為)
、、、、、、、妻
私が友人と不動産の売買をしました。
友人は売買代金を、不動産の引き渡しを受ける前に支払いました。
私はたくさん借金をしていたので、その売買代金をすべて借金の返済にあてました。
ここで私は不動産を引き渡すのが惜しくなり悪巧みをします。
まだ友人に登記を移してないのを良いことに、妻に不動産を贈与して登記を移転してしまいます。
友人に不動産の引き渡しを請求されても、私は「妻にあげちゃって登記も移したので、引き渡しは履行不能になりました!めんご!」と完全に開き直ります。
友人は、「ふざけるな履行不能に基づいて損害を賠償してもらうぞ!とりあえず払った金を返せ!」と怒ります。
しかし、私は借金の返済をしたので、友人に返すだけの金はありません。債務不履行に基づいて訴えられたところで無い袖はふれません。
裁判所から、私が友人へ○○万円支払うように!という判決がでたところで、資力のない私には痛くも痒くもありません。
むしろ、借金はなくなり、不動産も妻が所有しているという状況ですのでハッピーでしょうね。
しかし、段々とハッピーじゃなくなってきます。
ここで友人は、詐害行為取消権を使いました。
友人は履行不能に基づいた、損害賠償請求権を保護するため、私の妻への不動産の贈与を詐害行為として取り消すことが出来るのです。
本来、詐害行為取消権は、被保全債権が金銭債権でなければ行使できません。不動産の引き渡し請求権が金銭債権なのか?と疑問に思うかもしれませんが、、
不動産の引き渡し請求権は、履行不能により損害賠償請求権、すなわち金銭債権になっているので、詐害行為取消権の要件を満たすということです。
おいおい、売買の成立時は不動産な引き渡し請求権じゃねえか!損害賠償請求権になったのは詐害行為の後だから、要件に合わないだろ!と私が言ったところで無駄です。
ちいせえことでガタガタいうな!特定物債権が詐害行為前に成立してるんだからいいんだよ!と裁判所に言われて終わりです。
私は裁判に負けて詐害行為は取消されることとなりました。
妻にある登記は、友人が直接自己に移転出来るわけではなく、私に戻ります。
振り出しに戻るわけです。ここで振り出しと違う部分を確認しましょう。
①友人は不動産の売買代金を私に支払っている。
②私はその金で借金の返済をしている。
この二点が振り出しと違います。
友人は、このあと、損害賠償請求権を行使して、お金を回収することになります。
お金の無い私から何を取るかというと、私に登記が戻ってきた不動産を差し押さえて回収するわけです。
こうして、私は借金は返せたけど、家を失い、足りなければ友人への借金が追加され、きっと妻にも見放されるでしょうね。
(7)消滅時効の進行
取消原因を知ったときとは、 詐害行為の客観的事実を知った時以外に、詐害意思を知ったときからも含まれる。
(8)抵当不動産につけられた譲渡担保
抵当権が設定された不動産についてされた、譲渡担保契約を詐害行為として取り消すには、債権者は不動産の価格から抵当権の被担保債権を控除した額の価格賠償を請求することができるだけでなく、不動産の返還も請求することができる。
☆ポイント
まず、譲渡担保契約(担保供与)をしており、これが詐害行為となる。
例)私が1000万円の不動産を持っていたとします。銀行から住宅ローンとして500万円借りて抵当権を設定しています。他にも友人から600万円借りていたとします。
銀行500→私
友人600
不動産1000、所有権は私、銀行が抵当権者
ここで、私が親戚から1000万円を借りて譲渡担保契約を締結しました。不動産の所有権は親戚に移ります。
銀行500→私
友人600→
親戚1000→
不動産1000、所有権は親戚、銀行が抵当権者
銀行は、抵当不動産の所有者が変わったところで、抵当権は残るわけですから、私の返済が遅れたら競売にかけて500万円回収するだけです。
ところが友人はただの一般債権者、担保もなにもないので、親戚に所有権が移るのはまずいですね。
そこで友人は詐害行為取消権を行使します。
友人は不動産1000万円から、抵当権の被担保債権500万円を差し引いた、500万円の価格賠償をした上で、不動産の所有権の返還請求もできるということ。
もし、友人の債権額が不動産の額から抵当権の被担保債権額を差し引いた500万円以下だったら、不動産の返還請求まではできない。