◇雇用保険との調整

 平成10年4月1日以降は、特別支給の老齢厚生年金の受給権者(退職共済年金の受給権者も同様)について、雇用保険の給付と調整が行われます。それ以前に受給権が発生している人は除かれます。

 調整の対象となる雇用保険の給付は、基本手当と高年齢雇用継続給付です。基本手当を受給している間は、老齢厚生年金が全額支給停止となります。

 高年齢雇用継続給付については、厚生年金の被保険者である受給権者が高年齢雇用継続給付を受けながら働くと、在職老齢年金の支給停止と雇用の調整にかかる支給停止がされることになります。

 また、船員保険法による失業給付のうち、失業保険金や船員保険法による雇用継続給付金についても同様の調整がかかります。


◆基本手当との調整

 求職の申し込みを行った日の属する月の翌月から失業給付の受給期間が経過した日の属する月または所定給付日数を受け終わった日の属する月まで(これを「調整対象期間」といいます)、特別支給の老齢厚生年金が支給停止されます。

 ただし、調整対象期間において失業給付を受けた日とみなされる日およびそれに準ずる日が1日もない月がある場合、その月分についての特別支給の老齢厚生年金が、3ヶ月程度後に支払われます。


◆高年齢雇用継続給付との調整

 高年齢雇用継続給付を受けられる場合は、総報酬月額相当額による調整(在職老齢年金)に加えて、さらに高年齢雇用継続給付の給付額に応じて年金額の一部が支給停止されます。支給停止される年金額は、最高で賃金(標準報酬月額)の6%(平成15年4月以前は10%)に当たる額です。

◇在職老齢年金

 老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)の受給権者が厚生年金保険の被保険者となったときは、報酬と老齢厚生年金の合計額に応じて年金の支給額が調整されます。この調整されて支給される年金が在職老齢年金です。

 平成14年4月から厚生年金保険の被保険者年齢の上限が70歳に引き上げられたことから、65歳以上70歳未満の者で在職しながら老齢厚生年金を受給している人についても在職老齢年金の仕組みが適用されています。

 平成19年4月からは、70歳以上で厚生年金に適用されている会社で働いている人も、在職老齢年金の仕組みが適用されます。ただし、厚生年金保険の被保険者にはならないため保険料の負担はありません。

 在職中でも被保険者になっていなければ報酬の金額にかかわらず調整の対象になりません。

 支給停止の割合は、年金の支給額と現在の標準報酬等を合わせて計算しますが、60歳台前半と60歳台後半で計算方法が異なります。

 また、被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなく被保険者資格の喪失から1月を経過したときは、資格喪失前の期間を老齢厚生年金の額計算の基礎とする年金額の改定が行われます。(退職改定)

 ただし、70歳以上で働いている期間は年金額計算の対象となりません。


◆支給停止額の計算方法

 在職老齢年金の調整を行うために計算の基礎となる報酬と年金額を算出します。報酬については、次の方法で算出します。


「総報酬月額相当額」=標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算した額

 年金額については、月額を算出します。


「基本月額」=加給年金額・経過的加算額を除く老齢厚生年金の額を12で除して得た額

 算出された支給停止額が年金額を上回る場合、年金額は支給停止となります。



65歳未満

(1)総報酬月額相当額と老齢厚生年金を12で除して得た額(基本月額)との合計額が28万円以下の場合

 支給停止額=0円(全額支給)


(2)総報酬月額相当額と老齢厚生年金を12で除して得た額(基本月額)との合計額が28万円を超える場合


 ①基本月額28万円以下・総報酬月額相当額46万円以下

  支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額―28万円)×1/2×12


 ②基本月額28万円以下・総報酬月額相当額46万円を超えるとき

 支給停止額={(46万円+基本月額―28万円)×1/2+(総報酬月額相当額―46万円)}×1/2


 ③基本月額28万円超え・総報酬月額相当額46万円以下

 支給停止額=(総報酬月額相当額×1/2)×12


 ④基本月額28万円超え・総報酬月額相当額46万円超えるとき

 支給停止額={46万円×1/2+(総報酬月額相当額―46万円}×12


65歳以降

 支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額―46万円)×1/2×12



◆基金がある人の計算

 基金加入期間がある人は、老齢厚生年金のうち報酬比例部分の一部が代行部分として基金から支払われるため、在職老齢年金の計算をするときは、その代行部分を国に戻したかたちで計算します。

 したがって、国が支払うべき年金額に代行部分をプラスしてから基本月額を算出します。

◇加給年金

加給年金は、特別支給の老齢厚生年金(退職共済年金)や65歳以後の老齢厚生年金(退職共済年金)受給権者の被保険者期間(組合員期間)が240月以上の場合か、中高齢の特例で受給権を得た場合(以下「老齢満了」という。)に、生計維持する配偶者や18歳到達年度の末日までの間の子がいるときに受けることができます。

なお、特別支給の老齢厚生年金については、定額部分が支給されなければ加算されないため、定額部分が支給される人は、その支給開始時から加算されます。定額部分支給開始後に老齢満了となる場合は、退職改定時または65歳決定時に改定処理されないと加算されません。


加給年金は、配偶者が65歳になるまでの受給権者の年金に加算されるものですが、配偶者自身が老齢満了の老齢厚生年金(退職共済年金)や障害年金(障害共済年金)を受けられる間は停止されます。


配偶者の加給年金は配偶者が65歳到達すると消滅し、子の加算は、18歳到達年度の末日(1・2級障害の状態にあるときは20歳の到達日)で消滅します。


加給年金額は、配偶者と2人目までの子が222,400円で3人目以降の子が74,100円です。

また、昭和9年4月2日以後に生まれた受給権者には、さらに下記の額が配偶者特別加算額として加算されます。


                     配偶者特別加算額   加給年金額の合計


昭和9年4月2日~

昭和15年4月1日生まれ       32,800円       255,200円


昭和15年4月2日~

昭和16年4月1日生まれ       65,600円       288,000円            


昭和16年4月2日~

昭和17年4月1日生まれ       98,500円       320,900円

昭和17年4月2日~

昭和18年4月1日生まれ      131,300円       353,700円



昭和18年4月2日以後生まれ   164,000円       386,400円



*受給権者の配偶者が、大正15年4月1日以前生まれである場合は、旧法適用者のため、65歳になっても配偶者自身の老齢基礎年金が発生しないため、65歳以降も加給年金が支給されます。