以下に列挙する事柄は、主に「回らない方」の店、すなわちちゃんとした寿司屋(という言い方も語弊があるかも・・・)での作法になりますが、「回る方」の店でも十分に通用するのは言うまでもないでしょう。
尤も筆者自身、まだ作法を完璧にマスターしたとは言えないかも知れないし、「通」と呼べる程の者でもないので、本来なら偉そうな事は言えず、こういう記事を書くのも憚るべきなのかも知れませんが、その辺りはどうか大目に見てもらえれば・・・・
なのでもし筆者の解釈に何か間違いがあったとしたら、遠慮なく御指摘願いたいです。
それでは以下の通り、全部で24箇条も挙げてみます。
これら列挙した事柄以外にも、細々とした作法やらマナーはあると思いますし、全部網羅出来た訳でもないので、その辺りは店の人に尋ねながら確認して下さい。
やはりどちらにしろ、力を入れ過ぎて寿司の形を崩さないよう、注意を払うべきでしょうか。
手を使う時は、強く掴んだり、手全体で持つのではなく、親指・人差指・中指の三本を使い、三方向から摘むように持ちます。
箸を使う時は、箸を水平にして、寿司の両脇から挟んで掬い上げます。
すなわち寿司が神輿本体、箸が神輿本体の両脇に付いてる担ぎ棒みたいに見える形にします。
🍣2 醤油を付けるのはシャリではなくネタの方🍣
握り寿司のシャリ(酢飯)の方に醤油を付けると、シャリがポロポロと崩れたりして、折角の形の美しさを損なってしまいます。
零れ落ちたシャリが醤油皿の中に残ってしまっている光景も、これまた見苦しいでしょうし。
おまけにシャリに醤油が染み込む事で、折角締めた酢の風味が台無しになってしまいます。
🍣3 醤油を付け過ぎない🍣
2の事だけでなく、ネタに醤油を付ける時は、付け過ぎないように注意しましょう。
2の理由からシャリに付けるのは論外としても、ネタの方でも付け過ぎると、折角の風味が醤油味一色となってブチ壊しです。
だから握り寿司の場合、寿司を横に倒しながら、ネタの先端にちょっとだけ付けるのが最良でしょう。
🍣4 ネタに煮切り醤油が付いてる物は、そのまま食べる🍣
「煮切り醤油」とは別名「寿司醤油」とも呼ばれる代物で、醤油に水・酒・味醂みりん・出汁だし等を合わせて、熱を加えて煮立たせて作った醤油の事だそうです。
普通の醤油と比べると、塩分が抑えられていて、味もまろやかになっています。
店ではよくネタに予め薄っすらと、この煮切り醤油が塗られた寿司が出されます。
出された時に職人さんから、
「(煮切り醤油が引いてあるから)既に味は付いていますんで、どうぞそのまま召し上がって下さい。もし物足りないと思われましたら、どうぞ醤油を付けて下さい。」
と言われたりします。
これは個人差もあるかも知れませんが、食べてみると確かに味付いてるんで、わざわざ醤油付ける必要はないですね。
🍣5 ネタにツメが塗ってある物は、そのまま食べる🍣
「ツメ」の字は「詰め」と書くそうで。「煮詰め」とも呼ぶそうです。
主にアナゴに塗ってある、あの鰻のタレによく似た、甘辛いトロッとしたタレの事です。
ネタがアナゴの場合なんかは、大抵ネタにこのツメが塗られていますので、そういう場合は醤油を付けずにそのまま食せば良いのです。
🍣6 ガリを食べる🍣
殊更言うまでもないかとは思いますけど・・・・「ガリ」とは寿司と一緒に添えられている、あの甘酢に漬けた生姜の事です。
あの辛さと甘酸っぱさが織り交ざった強烈な味は、好き嫌いが分かれそうです(笑)。
ガリには強い殺菌消毒効果があり、筆者の個人的な体験ですけど、胃がズキズキして炎症みたいな苦痛を覚えていた時に、ガリを少し食べただけですぐに胃の痛みが消えた事がありました。あの強力な効果には驚きました。
そのように生魚による万一の食あたりを防止する為だけでなく、寿司の合間にガリを食べる事で、魚の生臭さを消したり、後味を切ったりします。
「後味を切る」とは要するに「口直し」の事で、舌に残った後味のリセットです。
トロ、サーモン、ブリなんかの脂っこいネタや、アナゴやウニなんかの味の濃いネタを食べた後、それらの後味が舌の上に残ったままだと、タイ、ヒラメ、タコ、イカ等のあっさりした淡泊な味のネタを味わい難くなります。
淡泊なネタをよく味わえるよう、ガリを食べて舌に残った後味を、キレイサッパリ消します。
以上がガリを食べる理由ですが、だからってあまり食べ過ぎるのも良くないそうで。
ましてや寿司と一緒に口に入れるなどは以ての外でしょう。
それじゃガリの強い辛味と酸味に、折角の寿司の味がかき消されてしまって、それこそ台無しになりますから。
🍣7 御茶を飲む🍣
寿司屋で御茶を飲むのは、6で語った理由と同じく、ガリと同様に後味を切る為だとか。
「後味を切るには御茶を飲むのが一番」と、あの名職人・小野二郎さんも言っているそうです。
実際に御茶を飲むと、口の中がサッパリします。
🍣8 巻き寿司の食べ方🍣
海苔とシャリの境目にちょっとだけ醤油を付けて食べます。
断面のシャリ一面に醤油を付けないようにする為、巻き寿司を斜めに傾けながら、角の部分にだけ醤油を付けます。
その理由は既に2と3で語った通り。
🍣9 軍艦巻きの食べ方🍣
巻き寿司と同じく、周囲を海苔で巻いてある軍艦巻きですが、ネタの全てがシャリの上に乗っかっているのと、上から見たら楕円形の形をしているのが、巻き寿司との違いです。
軍艦巻きに醤油を付ける所は上に乗っかっているネタですが、だからと言って軍艦巻きを引っ繰り返し、ネタを下に向けて醤油を付けようとすると、醤油皿にネタがポロポロと零れ落ちてしまいます。
だからこそ軍艦巻きの場合は、置いたまま醤油を付ける事となりますが、その時にガリか、あるいはネタに付けられているキュウリを使います。
ガリかキュウリに醤油を付けて、そこからネタに醤油を伝わらせます。
その場合は醤油を一滴ばかり、ネタにちょっと垂らすだけに止めておいた方が良いでしょう。
つまりガリは6で語った事の他にも、このような使い道がある訳です。
筆者は以前はこういう事を全く知らなかったものだから、軍艦巻きを逆さまにして醤油を付けていたものでして、その度毎にネタをポロポロ零していました・・・・😅😅😅
ネタに煮切り醤油が引かれていない握り寿司ならば、3で述べた横倒しにした付け方の他にも、寿司を置いたまま、ガリを刷毛代わりに使って醤油を引くやり方もある訳です。
この付け方は巻き寿司にも出来ますが、一般的に言えば手で持って直接醤油皿に持って行きます。
それにその方が手っ取り早いでしょうから。
🍣10 寿司を齧ったり、千切ったりしない🍣
握り寿司に限らず大抵の寿司は、一口で食べきれる程のサイズに作られています。
なので寿司を一口で食べ切らず、齧ったり(噛み切ったり)して二口に分けたりとか、手で半分に千切って食べる等と言うのはマナー違反となります。
寿司を割ったりすると、シャリがポロポロ零れたりして見苦しいですし、折角職人さんが美しく整えた形が崩れて台無しになってしまいますから。
そもそも寿司みたいな小さい物を、何でわざわざ二口に分けて食べる人がいるのか、理解に苦しみます。
太巻寿司みたいな物なら分かるんですけど。
🍣11 寿司を口に入れる時は、ネタの方を下向きに🍣
これに関しては筆者如きには何とも断言出来ませんが・・・・
何せ小野二郎さんは、「握りを引っ繰り返すな。シャリは人肌の温度になっているから、反対にして食べると舌が違和感を覚える。」と言ってるんですよね・・・・
けど一般には「ネタを下にして、舌の上にネタを乗せて食べるのが通」という話ですから、「どっちが正しいんだ?」「どっちがより美味しく味わえるんだ?」と困惑させられてしまいます・・・・😥😥😥
ちなみに筆者の場合は、いつもネタじゃなくシャリの方を舌の上に乗せて食べてますけど。
筆者の場合、個人的にその方がしっくり来ると言うか・・・・
🍣12 ワサビを醤油に溶かない🍣
まあこれは何も寿司に限った事ではなく、和食全般においてマナー違反となりますかね。
確かにワサビを醤油に溶いちゃうと、ワサビの香りや辛さと風味まで消し飛んじゃう上に、醤油皿も汚れてしまいますので。
🍣13 「剥がし」「追い剥ぎ」は最悪のマナー違反🍣
特に握り寿司の話でしょうけど、「剥がし」とか「追い剥ぎ」と呼ばれる類のマナー違反があります。
それはシャリとネタを引き離してしまう行為の事です。
つまりシャリからネタを「剥がし」てからネタに醤油を付け、シャリの上に戻してから食べるから「剥がし」と言うみたいです。
しかしシャリもネタも両方食べるだけ、まだマシかも知れません。
何しろ近年は呆れた人間も現れたみたいで、何とネタだけしか食べず、シャリは残すという、実に呆れた、非礼で非常識な人間が増えたと仄聞します。
こういうネタを剥がして、ネタだけしか食べない行為を「追い剥ぎ」と呼ぶそうです。
そんなバカな事をする理由が、「炭水化物(ここではシャリの事)はダイエットに良くないから」だとか何とか・・・・・😲😲😲。
そういう理由で、シャリ抜きでネタだけを注文するなどという、非常識な客もいるそうです。
もう「アホか!?」と・・・・「だったら何でわざわざ寿司屋なんかに来るんだ!?」と言いたくなります。
寿司の主役はネタじゃなくてそのシャリなのに・・・・😔😔😔
本当に何なんですかね?これって・・・新手の嫌がらせですかね?
何であれ、寿司屋さんに対して失礼極まりない話です。
これら「剥がし」「追い剥ぎ」は寿司における最悪のマナー違反で、これをやられると職人さんは顔色を変えるそうです。
そりゃあそうでしょうよ。職人さんのプライドを甚く傷付ける行為ですよ、これは。
寿司以外に置き換えて言えば、自分が誇りと自信を持って作った作品を、他人に好き勝手に分解されたり、いじり回されたりしたら、さすがに誰だって気分悪いでしょうに・・・・
その他にも喩えるならば、パスタ料理はパスタとソースの両方の要素から成り立っています。
パスタ料理はあくまでもパスタが主で、ソースは従。それを寿司に置き換えれば、シャリはパスタ、ネタはソースに相当します。
だから「シャリは要らないからネタだけにしろ」などという話は、パスタ料理を注文しておきながら、「パスタはなくていいからソースだけにしてくれ」と要求しているのと同じです。
そんなのもうパスタ料理でも何でもないじゃないですか・・・・😒😒😒
同様にシャリとネタが一体になってるからこそ寿司なんであって、シャリがなくてネタだけだったら、そんなの寿司でも何でもありませんよ。
そんなのもう単なる刺身に過ぎないじゃないですか・・・・
本当にそういう身勝手な動機ならば、「ハナから寿司屋なんかに来るな!」と言いたいです。
🍣14 シャリを少なめの注文は可🍣
色んなネタを味わいたい為に、少ない種類で腹一杯にならないよう、シャリを少なめに注文するのは許されるのだそうです。
尤も筆者はそんな注文は一度もした事ないですけど。
🍣15 ワサビ抜きの注文は可🍣
ワサビが苦手な場合、ワサビ抜きを注文するのも、別に失礼には当たらないそうです。
ワサビを使う理由は、魚特有の生臭さを消すのと殺菌の為です。
なのでワサビが苦手で、しかも生臭さが気にならないのであれば、抜いてもらっても構わないのだそうです。
筆者はワサビは好きですから、これまたそういう注文を一度もした事がないですが。
🍣16 ゲタは動かさない🍣
「ゲタ」とは「下駄」。寿司を盛る木製の台の事で、「寿司下駄」「寿司台」「寿司盛り台」等と呼ばれます。
台の下に二個の足が付いている形が、下駄に似てるのでそう呼ばれます。
足が付いていない板状の物は、「盛り板」と呼ばれるそうです。
これらゲタ(盛り板)の上に、職人さんが握った寿司を乗せる訳です。
ゲタ(盛り板)はカウンターの上、職人さんと客の手が届く丁度良い位置に置かれます。
だからゲタ(盛り板)は動かしてはいけません。
とは言うものの、筆者も偉そうな事は言えないんですけどね。
過去に一度だけ、誤ってこれをやらかしてしまいました・・・・😅😅😅
その時はカウンター席に座ってたのですが、そういう作法を知らなかったせいで、ついついゲタをカウンターから下してしまったのです。
そのせいで職人さんが「っと・・・」という感じで腕を伸ばし、少々不便そうに寿司を乗せていました。
その時に余計な事をしてしまった事に気付きました・・・・😅😅😅
🍣17 ゲタに寿司を溜め込まない🍣
ゲタ(盛り板)に寿司を置かれたら、すぐに食べる事です。
握り立てが最も鮮度が高い、すなわち最も美味しいからです。
いつまでも食べずに放置していると、ネタやシャリが乾いて来て、風味が落ちてしまうからです。
職人さんとの会話を楽しむのも結構ですが、喋りに夢中になる余り、肝心の寿司を食べるのを疎かにした結果、折角の寿司の風味を損なわせるのでは、それこそ本末転倒も良い所です。
🍣18 箸は箸置きに置く🍣
食事中に箸を置く時は、ゲタ(盛り板)の上とか、汁物の御椀の上に乗せないように注意しましょう。
これらは「渡し箸」と呼ばれ、行儀が悪いとされます。
これまた筆者もよくやりがちなんですけどね・・・・😥😥😥
なので箸置きがある場合はちゃんと箸置きを使い、箸置きがない時は醤油皿に乗せます。
醤油皿に乗せるとは言っても、箸全体を醤油皿の上に水平に置くと、これまた「渡し箸」になってしまいます。
なのであくまでも箸の先端付近だけを皿の上に乗せる、つまり醤油皿を箸置き代わりとします。
割り箸を出された場合は、割り箸を入れていた紙袋を折り畳んで、箸置きとする事も可です。
🍣19 寿司を食べる順番🍣
これはねえ・・・・正直言うと筆者は結構ランダムに食べてるんで、偉そうには言えませんけどね・・・・😅😅😅
ただ一般的に「通」だと言われるような順番は、まずは淡泊であっさりした味わいのネタから、徐々に濃い味わいのネタへ移行するというのが定番みたいで。
初っ端からアナゴや大トロみたいな味の濃い物を食べると、舌に味が残ってしまい、白身系のネタのサッパリした味わいが分かり難くなるから、というのが理由だそうです。
だからまずは白身系から始め、以降は赤身系、こってり系、玉子と来て、最後に巻き物と来るそうです。
巻き物を注文したら、それが終了の合図になるんだとか。
筆者はそんな事知らなかったものだから、出前を取った時とか、パックの寿司を買った時とかは、いつも真っ先に巻き寿司を食べてから握りに移っていました・・・・😅😅😅
尤もそれは、店で食べる場合の話なのでしょうかね?
ただそういうのも絶対的なルールというのでもなく、順番など気にせずに、客の好きな物を注文しても構わないそうです。
けれど敢えて通だと思わせたいのなら、以下の順番なんかが御勧めな順番だそうです。
白身系(イカ・タイ・スズキ・ヒラメ・カレイ等)
⇓
赤身系(マグロ・トロ・カツオ等)
⇓
光物・酢締め系(サバ・サンマ・コハダ・アジ等)
⇓
玉子(玉子焼き)
⇓
貝類(ホタテ・アワビ・ミルガイ・ホッキガイ等)
⇓
こってり・ツメ系(アナゴ・ウナギ等)
⇓
巻き物
以上のような順番になるそうですけど、参考資料としたページによっては、若干順番が異なったりしています。
白身が最初で巻き物が最後、という点は共通してますが、その次は酢締め(光物)や貝類で、その次が赤身だとか、どうも一定していません。
玉子(玉子焼き)は甘いから、元々はデザートみたいな位置付けだとか聞いた事があります。
けどその割には、順番が最後になってる訳でもないですね。
それに何故巻き寿司が最後になるのか、その理由までは判りませんでした。
ただ一皿盛りの場合、すなわちゲタ(盛り板)の上に一斉に何貫も並べられてる場合は、なるたけ左側にあるのから順に食べてもらいたいとの事。
「一番美味しく味わって欲しい」という店の側の配慮で、客にそういう順番で食べてもらいたいそうです。
そういう場合は決まって一番左側のネタは白身系になっていて、徐々に赤身系、光物系、貝類、というふうに、上記の順番に並んでいます。
店によっては順番が多少異なるのかも知れませんが。
寿司が二行以上に並んでる時は、一番手前の行の、一番左にある物から、順々に右へと摘んで行きます。
そして二行目以降も同じく、一番左側から右側へと摘んで行くのだそうです。
・・・・と、長々と言ってはみたものの、筆者の場合は回転寿司の店ではいつも、そんな事は特に気にする事もなく、食べたいと思った物から注文してます(ほとんど握りばかり注文してます)。🤣🤣🤣
そんな筆者でも「回らない方」の店へ行けば、また少し違って来るのかも知れませんが・・・・🤔🤔🤔
🍣20 「おきまり」「おまかせ」「おすすめ」の違いに注意🍣
「おきまり」とは「御決まり」、つまり予め決まった内容の献立、すなわちセットメニューの事。
つまりよく聞くような、「松・竹・梅(松にぎり・竹にぎり・梅にぎり)」とか「上寿司(上にぎり)」「特上寿司(特上にぎり)」とかのネーミングの献立が「おきまり」という物です。
尤も季節によって内容も若干変わるようですが。
「おまかせ」とは「御任せ」、つまり客が細々と注文せずに、握ってもらうネタを職人さんに全て一任する、というスタイルです。
「おすすめ」とはどうも今一つよく解りませんでしたが、旬のネタの事でしょうか?
それともその店が自信を持って勧められるネタの事でしょうか?
その辺りが何だかハッキリとよく解りませんでした。
ここで注意しなければならない点というのが、その店の常連という程でもなく、通うようになってからまだ日が浅いのなら、「おまかせ」を注文するのはNGだそうです。
何故なら「おまかせ」というのは、いくら客が職人さんに内容を一任しているからと言っても、決して職人さんの気まぐれで握るのではないからだそうです。
職人さんがその時の気分次第で勝手気儘に、ランダムに選んで組み立てる訳ではなく、その客の普段からの好みとかをよく知り、それに合わせて作るのが「おまかせ」だそうです。
であるから、間違って客の気に入らない物なんか出したら、却って気分を害してしまう恐れがあります。
つまり「おまかせ」で握るからには、客がそれなりに長く店に通い続けていて、職人さんとも気心が知れている事、すなわち客と職人さんとの間に信頼関係がなくてはなりません。
だからまだ馴染みが然程なく、嗜好とかも熟知してない客に「おまかせ」なんか注文されても、職人さんにしてみれば、「ええ!?どうしよう!?この御客さんの好みなんてよく知らないんだけど・・・」と、ただただ困惑させられるばかりだとか。
だからその店へ通うようになってからまだ日が浅いなら、「おまかせ」は避けて、「おすすめ」を聞くと良いようです。
ましてや一見(初めて)のくせして、いきなり「おまかせ」を注文するなど論外ではないでしょうか。
🍣21 香水・煙草等は避ける🍣
筆者は煙草が嫌いだから全く吸いませんので、近くで吸われると本当に気分が良くないです。
そして香水だけでなく、ヘアスプレー、ボディクリーム、強い匂いのする化粧品、その他あらゆる強烈な匂いを発する物を身に着けない事でしょうかね。
これらは寿司屋に限らず、和食全般でも避けた方が良いかと。
和食の繊細な香りが台無しになってしまい、他の客の迷惑にもなります。
くれぐれも「この程度のニオイなら大した事ないからいいや」などと思わないように。
匂いの強弱の問題ではなく、匂いを発する事自体がNGとなります。
🍣22 カウンターでは腕時計・ブレスレットの類は外す🍣
カウンターに座る時は、腕時計やブレスレット等の硬い物は外します。
特に高級な店のカウンターなんかは、高価な一枚板で作られている事が多い為、カウンターに傷が付く事を非常に嫌います。
それを避ける為にも、腕時計やブレスレット、その他硬い物は、外してカウンターに置くか、しまうかのどちらかにしましょう。
🍣23 通ぶって符牒を使わない🍣
「符牒ふちょう」は「符丁」とも書き、「隠語」「合言葉」と同じ意味です。
特定の社会・集団内だけで通用する、独自の意味を持たせた特殊な言葉の事であり、要するに寿司屋の業界用語になります。
寿司屋には数多くの独特な符牒(隠語)があります。
それら符牒と意味の例を、いくつか挙げると、大体以下の通りです。
『シャリ』・・・・・寿司飯
『ネタ』・・・・・シャリの上に乗っている具材
『ガリ』・・・・・甘酢に漬けた生姜
『ムラサキ』・・・・・醤油
『アガリ』・・・・・御茶
『おあいそ(お愛想)』・・・・・会計、勘定
『玉ぎょく』・・・・・玉子(玉子焼き)
『ヒカリモノ』・・・・・青魚の事。アジ、サバ、イワシ、サンマ等の背中が青く、そこ以外は全体的に銀色の魚
『ゲソ』・・・・・イカの足
『カッパ』・・・・・キュウリ
『かたおもい(片想い)』・・・・・アワビ
『漬づけ』・・・・・マグロ等を醤油ベースのタレに漬け込んだ物
『ナミダ』・・・・・ワサビ
『サビ』・・・・・上に同じくワサビ
『アニキ(兄貴)』・・・・・古くなって鮮度の落ちたネタ
『オトウト(弟)』・・・・・新鮮なネタ
こんな風に寿司屋の符牒は何ともユニークです。
これら符牒というのは店の側の人間が使うべき言葉であって、客が使うべきではありません。
特に「おあいそ」なんて符牒の由来は、店の人間が客に勘定を支払ってもらう時に、「愛想のない事で申し訳ありませんが、御会計を御願い致します。」というような意味を込めて使っていたのが由来だそうです。
そういう由来だから、客が使ったらおかしいのが分かるかと。
だからよく勘定を済ませようとする時に、客が店の人に、「おあいそ!」「おあいそ御願いします!」とか言ったりするそうですが、それは間違った使い方です。
なのでそういう時は符牒など使わずに、普通に「御勘定」とか「御会計」とか言えば良いだけです。
とは言え既に世間一般に浸透していて、客の立場でも当たり前に使ってる符牒もいくつかありますけど。
拙記事中でも「シャリ」「ネタ」「ガリ」とかを使ってますし、これらは普通に使っても差し支えないと思います。
けれど使うのはせいぜいそれ位に止めておくべきだと思います。
やたら通ぶって、御茶を「アガリ」だの、醤油を「ムラサキ」だの、その他の符牒を使ったりするのは、店の人たちに対して失礼に当たるので避けるべきでしょう。
そういうのは単なる鼻持ちならない「スノッブ」の類であって、店の人間からは軽蔑され、嫌われるだけですから。
客ならばもっと普通に、「アガリ」じゃなく「御茶」、「ムラサキ」じゃなく「醤油」と言うべきです。
🍣24 長居はなるたけ避ける🍣
寿司は元々江戸っ子が、現代で言う所のいわゆる「ファーストフード」のような感覚で食べていたそうです。
元はファーストフードだから、そんな時間を掛けて食事を取るのでもなく、せいぜいが1時間半以内、長くなっても2時間以内に終わらせて店を出るのが標準だそうです。
何も無理に急ぐ必要はありませんが、食事が終わったにも関わらず、注文もせずに話を続けてたり、いつまでも居座ったりするべきでもありません。
職人さんが休めませんし、特に混んでいる店だと、並んで入店を待っている他の客が入り辛くなりますから。
そして何と言っても「回転率」が重要となるからです。
回転率が重要なのは何も寿司屋に限らず、他のジャンルの飲食店も同じなのですが、寿司屋の場合は特に重要となります。
何しろ寿司屋は売り物の大部分が生モノですから、賞味期限が短いです。
期限までに消費、すなわち客に出せなかったら、そのネタは廃棄される事になります。
寿司屋としては出来る限り多くの客に入ってもらい、出来る限り早くにネタを消費しなければならないのです。
だからこそ寿司屋でいつまでも居座るべきではなく、店を出るのが遅いよりかは早い方が良い事になるのです。
勿論慌てる必要もないですが。
・・・・・・以上が筆者が調べた、寿司屋における作法諸々です。
たといこれらを完璧に守れなかったとしても仕方のない事かも知れませんが、それでも守るよう意識した方が良いのではないでしょうか。