上棟打ち合わせに来た大工さんは、工務店オーナーの親方。
何度か現場で見かけている。歳は還暦前後ではないかな。
下請けの受注金額に影響が出るような話は、おそらく
彼の専決事項と思われる。担当大工は部下か孫請けだろう。
この工務店が工事をすることになったのはK所長が指名したから。
「長い付き合いがあって、工事管理がしっかりしていて、
私もよくアドバイスをもらっているんです」とK所長の推薦の弁。
仕様間違い第2号の窓を指定の大きいものにする件は、
やはり吊戸棚とキッチン台との間で収まりが悪いらしい。
親方は、現場監督Fさんとしばらく話をした後、
こだわるのは吊戸棚の高さですか、それとも
前面カウンター立ち上りの高さですか、と聞いた。
巻尺を色々な高さに当てながら、しばらくじっと黙って
考えている時の横顔をみて、彼の頭の中に設計図が
出来上がっていくのが、自分自身にもわかった。
そして親方は言った。「できますよ」
この人なら任せられると直感した。
プロの技術者の横顔だった。