私がミュンヒェン音大におりましたころ
音大の学生寮で誰かの誕生日パーティーがありました。
窓を開けて夜空を見ながら皆でビールを飲んでいます。
およそ音大生とは思えない低俗な音楽が聞こえてきます。
同時刻、NATO軍がユーゴスラビアに空爆を開始しました。
その場にアルバニア人、セルビア人、クロアチア人
モンテネグロ人もおりましてお菓子をつまんでいます。
学生らしい他愛ない話をして辞去しました。
数年後に音大で彼の国の人に聞きました。
「戦争はどうなったの?」
「もう大丈夫なんだよ。」
「そう。」
淡々と受け答えし、
我々は各々の練習室に戻りました。
しかし戦地に赴き二度と練習室に戻らない人もいます。
日常と戦争の落差はこんなにも大きいのです。