「しょーちゃん・・・オレ前に言ったよね『あいしてる』って」
「・・・」
「全然わかってもらえてなくて、オレ、寂しかったんだよ」
「え・・・っと、ごめん・・・いや、でも」
「でも、じゃないよ、しょーちゃん」
俺の言葉を遮って、俺を見下ろす相葉くんから、またも言われる。
「オレがいくら愛してるって言っても、しょーちゃんにオレの気持ちが伝わるように刻み込んでも・・・そうしてたつもりだったけど、これっぽっちも納得してもらえないなら、もう受け取ってもらうのは諦める」
「そんな・・・悪かったよ・・・」
「だからさ」
「・・・だから・・・?」
「いまから、オレが、欲しいだけもらう。奪う。」
「なぁ、奪うって?奪うって、さっきからなにを・・・」
「・・・・ねぇ、これまでオレがしょーちゃんにシテあげてきたコト、覚えてる?」
そう問われて、無意識に下腹部へ力が入る。
同時に、俺の中心の、前と後ろの、それぞれが、相葉くんを思い出してしまって。
「・・・あ、やっぱ、可愛いなぁ、しょーちゃんは」
相葉くんが俺にシテきてくれたコト。
想像したこれまでの情事の思い出に反応して、俺自身が緩やかにカタチを成し始める。ソレが丸裸にされた状態で晒されている。腕は縛り上げられ、相葉くんは俺の太腿に馬乗りになっていて、完全にマウントを取られた状態。そのうえ、ヘタに動けば、ソコがむやみに揺れて、さらに痴態をつのらせる。
「しょーちゃん、どうしたの?」
と、無視はできないほどに潤みだした俺の目元を優しく親指でなぞる相葉くんは、こんな状態でなければ、どんなにカッコよくて優しいだろうと思う。
しかし、いまは。
「・・・どーしたのじゃねーよ、なんなんだよ」
「恥ずかしくて泣きたくなっちゃった?」
ちがう。
羞恥心が泣かせるのでは無い。
「ちげーよ・・・相葉くんにこんなことさせるほど、なんもわかってねぇ自分が情けなくて泣けてくるんだよ」
自分で言葉にしたことで、思いのほかダメージを受けた。
後から後から、涙が出る。
だけど、自分で拭うこともできない
情けねぇ、マジで。
こんなカッコで。
ここまでさせて。
ホントにこんな俺の何がいいんだよ、相葉くん。
相葉くんは、俺に覆いかぶさって、顔の横に肘をつく。
「ねぇ、しょーちゃんさ・・・しょーちゃんはオレのことなんだと思ってんの?」
「なんだと・・・って、相葉くんは相葉くんだよ」
「だから、そのしょーちゃんの言う『相葉くん』って、どんな人間だと思ってんのって、聞いてんの」
「そりゃ、相葉くんは・・・」
言いかけて、ふと。
俺がいま言おうとした『相葉くん』って。
それって、たぶん、『俺が知ってる相葉くん』ではない。
「・・・相葉くんは、なに?」
今にも触れ合いそうな唇を緩く躱しながら、言う。
「しょーちゃんが知ってるオレって、どんなヤツ?優しい?いつも笑顔?スーパーアイドル相葉ちゃん?」
「俺が知ってる相葉くんは・・・」
そう言って至近距離の彼を見つめれば。
熱く、劣情を滾らせ、それでいて、いまにも獲物を喰らい尽くそうとする自らの純粋な欲望を隠そうともしない、濁りのない澄んだ瞳。
欲しい、と、語りかけてくる。
そんな彼の純粋な欲望をダイレクトに受け取ってしまって、下半身がズキズキと痛むほどに血流を増している。
喰われる
と、被捕食者になる言いようもない感覚。
コトここに至っては、何を答えようと、逃れるすべは無い。
ならばもう、ただしく、正解であろうとする必要はない。
だから。
「『俺の』相葉くんは、こういうコトをするヒト」
俺の危機感に正比例して勃ち上がったモノを、腰を浮かせて相葉くんの同じところに擦り付けてみる。相葉くんのソレもデニム越しに膨らみを感じて、その事実は俺を昂らせる。
「ん・・・っはぁ、あっ、」
こうなったら恥も外聞もあるものか。
俺が自分で腰を揺らしながら快感を拾い始めると、相葉くんは嬉しそうにニヤリと笑いながら、言った。
「・・・はじめよっか」